久しぶりの快挙、というか、実に愉快。
ノーベル生理学・医学賞の話である。
John Gurdon卿のことはよく知らなかったが、BBCニュースはイイネ・・・。
<引用> ----- Gurdon school report, aged 15 -----
"I believe Gurdon has ideas about becoming a scientist; on his present showing this is quite ridiculous; if he can't learn simple biological facts he would have no chance of doing the work of a specialist, and it would be a sheer waste of time, both on his part and of those who would have to teach him."
ご存知の方もおられると思うが、すでに冠研究所も存在している。それでおわかりだと思うが未だ現役なのだ。
流石、基礎研究命の国。
一方、異端児の道を歩んで来たとの印象が強い、山中伸弥教授(50)の会見も秀逸。
<引用> ガードン先生との同時受賞が、一番うれしいと言っても過言ではない。ガードン先生はカエルの研究で、大人の細胞が受精卵の状態に戻るということを核移植技術で証明した。まさに、私のしている研究を開拓してもらった。ガードン先生が実験したのは1962年。私はその年の9月に生まれた。同時に受賞できたのは、研究者の人生として大きい。ガードン先生もまだ現役で活躍している。iPS細胞が本当の意味で、医学、創薬の応用に実現できる日まで頑張っていきたい。
そうなのだ。
こちらも基礎研究だし、まだまだ萌芽期の世界。しかし、そのパトスは医療への応用研究。
しかも、その情熱は一部の研究者がシェアしているレベルをはるかに通り越し、今や世界的に熱病蔓延状態。凄い話だ。
ただ、思わず、彼我を感じてしまった。
「私が受賞できたのは、国の支援のお陰」と語ったからである。そして、「今後、何日間かで、受賞の意味を国民の皆さんにできるだけ私の言葉で話したい」と言うのである。
物真似仕事ではないのだから、成功も失敗もあるもの。ドングリの背比べを援助してもらっている訳ではないのだから、俗世間に、そこまで配慮しなくとも、と感じてしまう一言。しかし、それを怠れば碌なことがない社会であることも確か。
研究者としてはやりたい事だらけではないかと思うが、説明のためだけに、暫く、貴重な時間を割く所存と語っている。頭が下がる。
一国民としては、さらなる飛躍を祈念する位しかできないのが実に辛い。
(記事)
Gurdon and Yamanaka share Nobel prize for stem cell work By James Gallagher 8 October 2012 Last updated at 13:58 GMT BBC News
山中教授「まさに日本という国が受賞した賞」◆ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった京都大の山中伸弥教授の会見要旨◆ 2012年10月8日22時59分 読売新聞