遺伝子操作したクローン乳牛を用いて、母乳には含まれないβ-ラクトグロブリン量が少ないミルクの生産に成功したそうだ。
繁殖させても変化が無いか要確認らしいが、常識的にはそんなことはなかろう。
この物質、ミルクアレルギーの元凶である。しかも、生後数週間で発生するタイプなので、厄介極まる問題だったのである。アレルゲンフリーの育児用ミルク無しでは、育児どころではない訳だ。従って、一大朗報と言ってもよかろう。
と言っても、減β-ラクトグロブリンミルクの商業化がすぐそこまで来ているという訳ではなさそう。
一つ目の関門は、今のところ、乳量が少ないから改良が必要という点。
二つ目は、遺伝子組み換え乳牛のミルクを商業販売できるかという点。
言うまでもないが、一番難しそうなのが、後者。遺伝子組み換え絶対反対論が根強い国も少なくないからだ。それを乗り越えられるかは不透明。
まあ、現実には、代替技術でなんとか対応している訳だが、それでは心もとないので、この手の技術に期待している人は少なくない。
例えば、選択的な蛋白質分解によって、β-ラクトグロブリン量が少ないミルクが開発されている。お母さんにとっては実に有難いこと。
しかし、悩ましいのは、アレルギーを発症してしまえば、微量でも反応してしまうから、このレベルの製品は使えないのである。
その場合は、酵素反応させた乳清タンパク質分解ミルクを使うしかない。はたして、そこまで加工して美味しく飲めるのかは疑問だが他に手は無いから致し方ない。
この物質、なければないにこしたことは無さそう。従って、ミルクはできれば加熱したものを飲むほうがよいと思われる。β-ラクトグロブリンの多くが壊れる可能性が高いからである。もしそうだとするなら、低温殺菌の生に近い牛乳を有難がるのはどんなものか。小生は、美味しいので、とあるブランドの低温殺菌ノンホモをそのまま飲むのが好きだが、この物質を結構な量摂取していることになる。そんなデメリットより、美味さだと考えている訳。超高温短時間殺菌を掲げる美味しい製品もあったのだが、残念ながら、スーパーの棚から消えてしまったからでもある。まあ、美味しさの評価は個人差が大きそうだし、そうなっても致し方ないのだが、残念。
(AFPの記事)
牛乳アレルギー患者の救世主となるか、クローン牛「デイジー」
2012年10月05日 18:40 発信地:ニュージーランド AFP
牛乳のアレルゲン大幅減に遺伝子操作で成功、NZ
2012年10月03日 10:40 発信地:ウェリントン/ニュージーランド
(乳業メーカーの易しい解説)
「アレルギーを起こす確率を下げた−βラクトグロブリン選択分解 明治 ほほえみクラブ