48年ぶりに東京で開催されたIMF/世銀の年次総会が終了した。
今の世を象徴するような感じ。マスコミ報道もいろいろで、それぞれが思うところに合わせて、都合のよさそうな人物の発言を引用。まあ、それしかなかろう。
要するに、1万人も集まったところで、お手上げ以上でもなければ以下でもない。とりあえず「つなぎ」政策でいこうよというだけ。先送りであり、もうどうにもならないから、後は、野となれ山となれということ。
ここまでくると、いくら会議の意義を解説してもらったところで、大笑いのタネでしかない。
しいて結論を書くとしたら、一番の期待は日本経済とオカネ。どこを押せばそんな話になるのか、呆れはてる。ま、それは部外者の見方で、参加者にしてみれば、ダルマさん状態で疲れきってしまったというところか。
こうなると、ご家族で成熟しきった日本文化をご堪能頂いてから、ご帰国してもらったことが一番の成果と言えそう。
もっとも、ホスト国の不甲斐なさを嘆く向きもある。提案もできないのか、という調子。
・マクロ経済政策はもう期待薄。
そんなものに依存するのはよせ。
・成長性を高める政策手法の可能性に賭けろ。
「民間のイノベーション」を起点
にせよ。
お怒りの気持ちはよくわかる。と言うか、仰せの通り。しかし、日本の政治は真逆であり、そんなもの無いものねだり。
国内では規制緩和どころか、さらなるルールでの縛り強化。貿易活発化どころか、農産品輸入障壁をさらに堅固にすべく画策しているのが現実。それは現政権だからという訳ではない。民間活力をできる限り削り、稼がせたオカネを撒き散らすという政治的伝統を単に踏襲しているにすぎない。
従って、「民間のイノベーション」を政府が言い出しても、単なる言葉の綾であり、およそ無理筋。
こんな状況を見ると、中国のIMF総会ボイコット姿勢は、おかしな話でもない。参加にたいした意義を認めていないとも言える。
ただ、金融資本主義でグローバル経済が成り立っているから、その枠組みを嫌っていることを示したことになる。当然ながら、その副作用は小さなものではない。中国経済の縮小はまぬがれまい。外資による投資や輸出が沈滞してしまうと、一歩間違えれば、大変なことになりかねないが、それでもかまわぬと腹をくくったことを意味していそう。しかも、米国大統領選での得意技である中国バッシングにさらに火をつけかねないことも承知の上とくる。
このことは、内乱辞せず勢力が力を持って来たことを示していると見てよいだろう。軍事独裁維持のためなら、何千万人死のうと全く気にならない思想的土壌の政権だから、いつでもそちらに舵を切る用意ができている訳だし。世界経済の基盤が揺るいだと判断すれば、中国共産党はその道を選ぶしかなかろう。そうなったらたまらぬ。
意味の薄いマクロエコノミクス論争をしている場合ではないと思うが。
(ロイターの記事/コラム)
コラム:IMF総会で千載一遇のチャンス逸したホスト国日本 By 田巻一彦 2012年 10月 11日 18:48 JST
コラム:中国のIMF総会ボイコットは「間違った選択」 By John Foley 2012年 10月 11日 18:11 JST
情報BOX:IMF世銀総会のセミナーや講演での主な要人発言
2012年 10月 10日 15:18 JST
コラム:米大統領選での中国叩き、過去と異なる「不吉な前兆」 By Ted Galen Carpenter 2012年 10月 13日 13:23 JST