10月28日、衆院鹿児島3区補選が行われた。もちろん、最低の投票率。
政局報道がお好きなマスコミがこの状況を指弾していたので、この話を取り上げてみたくなった。
この選挙、下馬評と違い自民党の圧倒的勝利とは程遠い結果。ざっくりした数字だと以下のようになる。
自民党候補・・・7万1千票弱
国民新党候補・・・6万5千票
共産党候補・・・6千票
幸福実現党候補・・・3千票
流石、小選挙区制度。与野党伯仲選挙状態。ただ、両者の主張に違いはほとんどなく、政策選択とは全く無縁な選挙だった。
従って、野党は「政権奪回」気分で大騒ぎ。これに対して、与党は、「弔い合戦+世代交代」で対抗。
これが地方の実態とは言え、なんだかね。
4候補得票の合計で14万5千票弱。前回投票した約4万5千人が棄権に回ったことになる。薩摩川内市長選/市議選のトリプル選挙の上、自民党新幹部が大挙して応援にかけつけたにもかかわらず、さっぱり盛り上がらず。
そりゃそうだろう。「政権奪回」できそうなので旧政権側の議員達は嬉しくてハイになっているが、またハコもの工事再開で頑張るゾと言われて喜べる訳があるまい。長期低迷路線が待ち構えているとしか思えまい。この選挙区辺りでは雇用も失われつつある筈で、先が見えなくなっている状態ではなかろうか。にもかかわらず4万5千人しか棄権しなかったのだから、都会の人間にはまさに驚き。これぞ保守王国。
そこを目ざとくついて、第三極形成の動きが始まったようだ。しかし、これには大笑い。
反企業感覚濃厚でTPP絶対反対・老人層へのバラマキ推進を政策の中核としている一派と、TPP推進で歳出カット派が大合同する目論見だと言うからだ。こんなんで、まとまるとしたら、ヘンテコな国粋主義しかあるまい。民主党代表、自民党総裁、第三極リーダーがナショナリズムの旗を振り合って、集票を競おうという算段。威勢のよい話をすることで、現実の経済の話を避けることができるから万々歳ということ。
衆院鹿児島3区の状況を見ると、それは成り立つ話かも知れぬ。いい加減な算数でしかないが。・・・
まずコアとなる基礎票を大胆に推定。(4万2千票)
民主・国民新党 = 2万2千票
自民・公明 = 2万2千票
残りは、既存政党シンパ票。(9万2千票)
民主・国民新党 = 4万3千票
自民・公明 = 4万9千票
今回棄権票は既存政党不快層。(4万5千票)
後は、その他の政党支持者。(9千票)
ナショナリズムを煽って、ブームを生み出すことに成功したなら、第三極善戦はあり得そう。
棄権票(4万5千票)の8割近くを集票というのが大前提。
民主・国民新党 = 5千票
自民・公明 = 5千票
第三極 = 3万5千票
シンパ票(9万2千票)のうち保守サイドが流れてきそうだし。
民主・国民新党 = 3万3千票
自民・公明 = 2万9千票
第三極 = 3万票
そうなると、基礎票があっても、自民党は苦杯を舐めそう。
民主・国民新党 = 6万票
自民・公明 = 5万6千票
第三極 = 6万5千票
第三極の目論見とはこういうことだろう。とらぬ狸の、・・・ということ。ただ、政治はさらに混迷を深めることになるのは間違いない。なにせ、既存政党は政策を打ち出す力を失っており、新たに加わる第三極は、そもそも政策で一致していない人達の集まりなのだ。もう滅茶苦茶。
(西日本新聞 記事/社説)
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