■■■■■ 2012.11.7 ■■■■■

  鉛の扱いには注意して欲しいもの

エレクトロニクス系のエンジニアなら、鉛問題はよくご存知のはず。そう、ハンダから鉛を追放しようと努力してきたからである。
普段の生活場面から、鉛を遠ざける動きが進んでいる訳である。

しかし、実際のところ、そうなっているのかは、よくわからないところがある。比重が大きく、柔らかくて加工し易い上、安価だから、なにかと使われ易い金属だからである。身の回りの様々な小物に紛れ込んでいる可能性は否定できない。一般家庭では、意外といってはなんだが、この辺り結構無頓着な感じがする。

そう感じてしまうのは、米国EPAが、生活場面に関係する鉛に注意するよう、熱心な啓蒙活動を進めているせいもある。もちろん、ペンキ家屋文化のせいだが。鉛含有塗料を使っていた時代の古いペンキ片が剥がれ、それを乳幼児が口に入れるので、どうしても鉛中毒が発生してしまうからだ。

日本の場合は、「なまりそく」として知られるように、労働衛生には気を遣っているため、それとの比較で、一般家庭での鉛の存在には知らん顔といった印象が生まれがち。あるいはそれが実態かも。中毒は滅多に発生しないから、注力していない可能性もあろう。確かに、欧米の子供の血中鉛濃度と比較すると半分以下と低いし。成人でも値が年々下がっていく傾向にあるようなので、それもわからぬことはないが。

と言っても、一般の人が鉛中毒に全く無関心ということではなさそう。ただ、注意の矛先はヒトではなく、動物。主には水鳥と猛禽類。鉛散弾の転換や、釣りの錘放棄が減っているらしい。結構な話。

ただ、一つ気になる点がある。無闇に様々な場所で放射線測定が行われているからだ。放射線遮蔽のため、測定器のプローブ側面を薄い鉛板で巻いたりするらしいので、なんとなく気分悪し。キャリブレーション用のキットならなくしたりしないだろうが、薄板を買って自分で巻くような手のものは、その辺りに放置されたりしかねない。そして、紛失で済まされたりするのは、大いにこまる。
こんなことを言いたくなったのは、昔の鉛水道管を入手して、自己流加工で大型遮蔽板を作っている例が散見されるから。
鉛を全国にばら撒くことにならないようにくれぐれも注意して欲しいものである。

(参考)
金魚の飾りセットに鉛のおもり!−鉛中毒の危険性、小児科医からの警告− [2009年10月7日:公表]国民生活センター
詳細リスク評価書 鉛 暫定版 平成16年度 独立行政法人産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター


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