■■■■■ 2012.11.20 ■■■■■

  中東大動乱がいよいよ現実化か

シリアでは、自由シリア軍が優勢に転じたようだ。兵器では政府軍が圧倒的な筈だから、一旦こうなると、あとは一気に進む可能性があろう。なにせ、ヨルダン国王が大国シリアの崩壊を憂慮していると語ったそうだし。

まあ、素人が見ても、自由シリア世俗共和国などという人工国家を作れば、大動乱の引き金になるのは自明。中東の勢力図は一変するに違いない。
結局のところ、アラウィ派(シーア系)地区の独立で収めるしかない訳で、そうなればこの地域一帯が領土を巡って大混乱することになる。
ヨルダンの王政は廃止され、パレスチナイスラム国家となるは必定。

その辺りを見越したのか、石油価格高騰抗議のデモで、ついにタブーが破られた。"Down, down with you, Abdullah," の声が上がった模様。たいしたデモではなさそうだが、場所が場所である。おそらくすでにヨルダン全土で反政府デモが勃発している筈だから、これはそれに喝を入れるための象徴的動きだろう。
ムスリム同胞団がいよいよ本格的に動き始めることになりそう。

それに呼応するかのように、ガザ地区のハマスが動き始めた。イスラエルへの攻撃が住民の圧倒的な支持を集めている状態という。この先、イスラエルとの戦争に突入したりすると、エジプトやチュニジアのイスラム教組織が全面的にハマスを支援する可能性が高い。エジプト大統領も国内と国外の2つの顔を続ける訳にもいかなくなり、身動きがとれない状況に陥ろう。
そうなると、エジプトも国内分裂の憂き目に合うかも。以下の如くに。
  ○ エジプトの分裂
  (1) エジプトイスラム共和国
  (2) シナイ半島ベドウィン自治区
  (3) ヌビア自治区(一部スーダン)
  (4) アレキサンドリア・キリスト共和国(コプト)

(ロイターの記事)
焦点:ガザ攻撃でハマスが得る「戦果」、アラブの春で追い風も by Douglas Hamilton 2012年 11月 19日 16:04
商都テルアビブにもロケット弾、湾岸戦争以来20年ぶり 2012年 11月 16日
シリアが内部崩壊すれば回復に数十年かかる─ヨルダン国王=米CBS 2012年 08月 8日 19:47
(ALJAZEERAの記事)
Egypt's new Coptic pope enthroned 18 Nov 2012 21:48
Iran warns against arming Syrian rebels 18 Nov 2012 20:32
Jordan vows 'iron fist' response to unrest 15 Nov 2012 21:40
(当サイト過去記載)中東大動乱のゴングが鳴ったようだ 2012.7.29
***想定図***
(0) 大動乱の引き金・・・自由シリア世俗共和国
(1) イラク分裂とクルド国家誕生
  (1-1)  大クルドスタン民族共和国
   ・トルコ東部PKK(クルド労働党)
   ・イラク北部クルド自治政府
   ・シリア北部PYD(民主統一党)
  (1-2) イラクスンニ共和国
   ・イラク中央部スンニ派
   ・シリアイラク国境部スンニ派
  (1-3) アラブシーア共和国
   ・イラク南部シーア派
   ・サウジアラビア北部シーア派
   ・イラクイラン国境部シーア派
  (1-4) バクダッド世俗都市国家
(2) サウジアラビア圏の分割
  (2-1) アラブ世俗王国連邦 [カタール、UAE、クエート]
  (2-2) ワッハーブ宗教国家 [サウド王家]
  (2-3) イスラム巡礼聖地特別地域 [メッカとメジナ]
  (2-4) イエメン部族連合国家
(3) ペルシアシーア共和国 [イランとイラクの一部(領土紛争地域)]
(4) イスラエル隣国のそれなりの安定化
  (4-1) ヨルダン共和国
   ・ヨルダン川東岸パレスチナ人
   ・もともとのパレスチナ難民
   ・最近流入したシリアのパレスチナ難民
   ・ベドウィン部族
  (4-2) レバノン共和国
(5) トルコの地域影響力低下
(6) イスラエルの影響力低下
  (6-1) ヨルダン川西岸地区の国連暫定統治
  (6-2) イスラエル入植地返還


(C) 2012 RandDManagement.com    HOME  INDEX