■■■■■ 2013.4.3 ■■■■■

  H7N9型鳥インフル感染をどう見るか

3月末、突如、鳥インフル罹患で2人死亡との中国発のニュースが流れた。このことは、患者が死亡した直後から、報道管制が敷かれていたということ。おそらく、WHOとの協力を仰ぎながら対処していたのだと思われる。
発表の肝は、患者との接触者は検査済みで、「今のところヒトからヒトへの感染は確認されておらず、感染が拡大する危険性は低いとみられる」という点。情報が漏れる前に、罹患問題をリリースし、社会を落ち着かせた上で疫学調査を進めようとの目論見ということか。
しかし、死亡患者の子供が肺炎に罹患したらしいから、危険性は低いとの論理は今イチ不鮮明。知りたくなるような部分についての情報開示はゼロであり、これでは専門家もコメントのつけようがなく、なかなかの巧者ぶり。

こうした姿勢に不快感を感じる人もいるだろうが、まあ、この辺りで対処するのが実践的ということなのかも。
そう思うのは、H7N9は重篤な事態に陥るウイルスとは考えにくいからである。しかし、鳥インフルで死亡と耳にすれば、誰でも強毒性のウイルスを思い出す訳で、大騒ぎになりかねず、それだけは御免こうむりたいというのは理解できる。

しかし、変異が発生して強毒性化したからこその死亡例と見ることもできる。弱毒性での死亡例と見なすなら、確率論からいえば上海近辺は罹患者だらけということになる。呼吸器系疾患が本当に流行っているのだろうか。
この辺りはニュース報道ではさっぱりわからない。

ただ、中国政府はインフルエンザ対策に本腰を入れているのは間違いあるまい。・・・死亡患者がインフルエンザA型ということはすぐにわかる。だが、それで一件落着とはしなかったのである。どの型か調べた訳である。当然ながら、普通のキットではすべて陰性。専門機関に回され、詳細検査でついにH7N9型と判明。こうしたプロセスで疫学的調査が行われたと思われる。流石、大都会だけのことはある。
しかし、下衆の勘ぐり的に解釈することもできなくはない。死亡患者が劇症だったため、ウイルス特定を急いだとの解釈も成り立つからだ。

さて、そこで、日本だ。H7N9のワクチンがあるとは思えないし、抗ウイルス薬が効かないかも知れない。そんな時にどうするか、予めシナリオが描けているならよいが。そうでないと、判断能力が欠落している宰相だったりするとえらい目に合うこと必定。政治的災難は一度で結構。どうなっていることやら。・・・それをチェックする人がいるとも思えないから怖い。

(アラート) H7N9 avian influenza human infections in China 1 April 2013 WHO-Global Alert and Response
(ニュース記事)
上海で鳥インフル患者2人死亡、H7N9型ヒト感染を初確認 2013年 04月 1日 14:01 JST ロイター
Questions in China on how H7N9 flu strain killed 2 Monday, April 1, 2013 Boston Herald[Associated Press]
中国 「H7N9型」で2人死亡 3月31日 21時39分 NHK


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