【参考になる報道特番:中国 北京電視台の約45分番組】
BTV 探秘朝鮮半島"38線" 2013-04-20 (URL: http://space.btv.com.cn/video/VIDE1366700564438731)
小生の印象:北朝鮮軍は竹槍作戦遂行中では。
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北朝鮮のブラフは、茶番劇、瀬戸際外交、こけ脅し、ポーカーゲーム、等々色々な呼び方をされているが、要するに、どうせ戦争には至らないと見ているということ。そうあって欲しいものだが、それは希望的観測と違うか。もう、手詰まり状態だし、ここまでくると、朝鮮戦争再開のシナリオ以外の代替案があるとは、とうてい思えないのだが。おそらく、そこら辺りは中国首脳もわかってはいるが、金王朝崩壊に伴う大混乱はたまらぬだけでなく、その後、わが身にもふりかかってくることになるから、できる限り放置でいくしかない。それもそろそろ限界である。
金正恩国防委員会第1委員長のお披露目からちょうと丸1年経つが、その動きは速い。対する米国は、従来の姿勢を踏襲するだけで、ほとんど、何の手も打ってこなかったと言ってよいのでは。
○ミサイル発射
← 国連制裁決議
○3度目の核実験
← 制裁強化
← キーリゾルブ演習
[ステルス機F22/核搭載型B2/高度絨毯爆撃型B52の演習参加]
○休戦協定破棄
○南北軍事通信線遮断
○先制核攻撃体制構築宣言
○在北朝鮮外交官退去命令
○在ソウル外国人退去勧告
○開城工業団地閉鎖
○予告なし対韓国報復行動宣言
これらの動きが単純なブラフと言い難いのは、政治局会議や中央軍事委員会が開催されたからでもある。しかも、党の中央委員会まで開催されたのである。こんなことは、かつてなかった。
首領様の一存での動きではなく、組織決定による休戦破棄が決まったに相違なく、戦時体制を口先だけと見なすことは無理である。ここまできて、何の成果もなく、そのまま有耶無耶にするのは難しかろう。首領様の権威が落ち、金王朝政治が崩れかねないからだ。
そう考えると、北朝鮮が打つ次の一手は、戦争状態を示すための交戦しかありえまい。ただ、2010年の哨戒艇攻撃と延坪島砲撃のような手を使えば、韓国軍は即時報復に動かざるを得ないのは明らかだから、そこまで至らない標的を狙って、成果を誇るというのが一番ありえそうなところだが、そう上手く運ぶとは限らない。
軍部が開戦急げの強硬派一色になりつつある可能性もあるし。
例によって、「無慈悲な焦土化」といった、いつもの毒々しい言葉を又発しているだけと解釈しがちだが、青年将校の感覚をそのまま表現しているだけかも知れないのである。三代目が、それを上手く操ることができるとは限るまい。北朝鮮軍部は、朝鮮戦争時の韓国軍に受けた仕打ちや、B29の絨毯爆撃で国土が灰燼に帰したことなど、思想教育として徹底的に叩き込まれている筈。そこから這い上がってきて、ついに核武装にこぎつけたのである。青年将校達がどんな気分か想像すればわかるというもの。
米国の対応とは、攻撃があれば、即時報復攻撃で支配機構すべてを壊滅させるという意思表示を繰り返しているにすぎない。それが、北朝鮮軍の動きを止める抑止力になると勝手に考えているだけ。その一方で、なるべく刺激せずという、訳のわからぬコメントが出たりする。
もうそれがどうにもならないところまできた。北朝鮮の主張は、核保有国として認知せよという一点に絞られているからだ。ここは、妥協の余地が無い。ソ連、イラク-フセイン、リビア-カダフィの政権崩壊を研究していない訳がなく、そこから引き出される結論から見て、核兵器を手放すことなどかんが得られない。その方針は自明である。
・軍事独裁の徹底。
・国内反政権勢力の撲滅。
・海外情報自由流入阻止。
・核搭載ミサイルの配備。
・近隣軍事基地を標的とした大量のミサイル配備。
どのような提案があろうと、これらを反故にすることは絶対にあり得まい。米国を信用していないからである。
しかし、北朝鮮がいくら強硬に主張しようが、米国が北朝鮮を核保有国として認定することはあり得ない。第二次世界大戦戦勝国がこれを受け入れれば、現状維持を旨としてきた方針が根底から覆されることになり、ガラガラポンで世界が一挙に不安定化してしまうからだ。
従って、両者に妥協の余地は無い。
そのため、米国も中国も北朝鮮問題はその場限りの対応に終始するしかなく、問題を先送りしてきた訳である。しかし、それももう限界である。北朝鮮側の強硬化ということではなく、今のままなら、北朝鮮の核兵器が他国に譲渡されるのはあきらかだからだ。現状では、それを防ぐ手立ては無いのだから、もう先送りはできないのである。
交渉で解決せよという、識者の意見はそこいらじゅうに溢れているが、この段階に至れば打つ手なしだろう。それでも、三代目との会談をした方がよいというのは確かに言えそう。北朝鮮上層部の動きがどうなっているのか、多少はわかるかも知れないからだ。
しかし、そのような会談でしかないことがわかっていて、会談が設定できる筈もなかろう。可能性としては、引退した中国首脳が直接コンタクトをとる位か。だが、中華思想の国がそんなことができるとは思えない。今や、八方塞がりなのは間違いなかろう。
(前回掲載) 朝鮮動乱の気配 (2013.4.15)
(Foreign Policy掲載)
The Economics of War with North Korea Would fighting Kim Jong Un be worth it? BY DANIEL ALTMAN APRIL 15, 2013
The Enabler The only way to stop Pyongyang's cycle of brinkmanship and extortion is to address the real problem -- South Korea. BY EDWARD LUTTWAK APRIL 12, 2013
How to Talk Kim Jong Un Off the Ledge Is John Kerry ready to deal with North Korea? Here's how to do it. BY JOEL WIT, JENNY TOWN APRIL 12, 2013