■■■■■ 2013.6.9 ■■■■■

  「アベノミクス」は応援するしかなかろう

7日の記事は、"株安と円高は止まらず、4月4日の黒田日銀による「異次元緩和」決定後の上昇幅を失いかけている。"というものだらけ。ソリャ事実なのだから、そう書くしかなかろう。
反「アベノミクス」の方々は、それみたことと大はしゃぎのようだが、こまったもの。

ルビコン河を渡ったというか、パールハーバーを始めてしまった以上、もう元には戻れないからである。「アベノミクス」失敗ということは、国の仕組みが崩れてしまうことを意味する。それが嬉しいのかナ。
国家が帝国主義戦争を仕掛けたら、敵国に勝たせ、革命をというような古典的左翼発想が今もって生きているのだろうか。もっとも、そんな話ではなく、なんの危機感もなく、単なる評論家として食べていくには好都合というだけのことか。

一番不愉快なのは、民主党側からの批判。首相になりたいだけの、どうしようもない政治屋達にかき回された結果であり、およそ馬鹿げた言い草。肝心なことは何ひとつせず、判断能力が欠落した宰相にはえらい目に合わされた。「アベノミクス」が始まってしまえば、国政における民主党の存在意義は何も無いというか、存在自体がマイナスでしかないと言ってよいだろう。
第二次安倍政権は、できそうにないことを勇猛果敢に始めた訳で、実にけしからぬが、それでも民主党よりは格段にまし。お陰で、この先も何がおきるかわかったものではないが、致し方あるまい。

パールハーバーを始めてしまったのだから、今更、それを批判しても時間と労力の無駄。今、考えるべきは、「アベノミクス」の失敗で壊滅的な被害を蒙らないようにするにはどうすべきかだ。
言うまでもないが、法人税減税など最悪。大企業には、利益の大幅増を実現し、法人税を沢山払ってもらわねばこまるからである。もちろん、消費税増税は予定通り実施。黒田バズーカは何発も打ち続けることはできないからだ。もしも、この先、税収増は無理とわかってしまえば、長期国債市場は消える運命。狼少年の言葉が現実化することになりかねない。

暗い絵は描きたくないが、それが現実なのだからどうにもなるまい。
もともと、株価は予想できる代物ではないから値動きをそう神経質に考える必要は無いが、そういうことを考えると、今回は要注意である。怖いのは、銀行株の買い手が失われること。それが、どこまで進んだか、よく見ておく必要があろう。
インフレ率を大きく下回る低利率国債の大量保有という事態が予想された瞬間、ゾンビ企業と見なされるのだ。そんな兆候があったら一大事。そんなことは杞憂と見る人は、国家資本主義が機能すると考えている人達。日本の社会では、それは少数派ではない。なにせ、資本コストを割り込みかねない、与信限度ギリギリのところに貸し込ませようと画策する人だらけなのだから。だが、今度ばかりはそれは効かない。金融業はグローバル化しているからである。

もし、こうした見方が正鵠なものなら、どこかの銀行でおかしな兆候がでたりすると、たちどころに金融システムが凍りつくことになろう。恐ろしいシナリオ。
従って、いかにして、破綻を避けるかが直面する最大の課題と言ってよいのでは。「アベノミクス」失敗は恐ろしい話だ。

もともと、自民党とは税金バラマキ政党で、国家社会主義的色彩濃厚。少なくとも、自由主義経済を信奉している人は少数派だと思われる。
簡単に言えば、資本コスト割れの企業や、税金を貰って食べているだけの地域を大切に守り続けることを最優先させる政治屋が大勢いそうというだけのこと。
そうだとすれば、まともにTPP交渉を進めることはあり得ない。日本が強い産業のメリットを極小化して、競争力無き産業の保護を容認してもらおうという方針で臨むことになろう。まあ、それでも、貿易ルールが明確化するなら、ましという考えもあるかも知れぬが。
規制緩和に至っては、小泉政権の口先だけの「特区」にも届くまい。
このままでは、えらいこと。

(記事)
黒田緩和効果を失う市場、催促相場的な株安・円高進む ロイター 6月7日(金)15時25分
S&P、金利「2%上昇で資本不足の地銀も」 IMFがセミナー 2013/5/31 17:21 日経


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