■■■■■ 2013.7.6 ■■■■■

  日本医師会の話

医師会の実態を分析する本はいろいろあるようだが、本屋でバラバラと頁を捲って読む気が失せる手のものが多い。実情とうたっているものはどうもピンとこないし、データものはさらに現実感覚に乏しい話満載だからだ。それに、海外と比較が多いのも敬遠したくなる大きな要素。
その点、視野が広そうな方の、現場感覚を踏まえた話は大変参考になる。問題意識がよくわかるからである。
  → 医師会みたいな世界 新小児科医のつぶやき[2013-07-02]

上記のリンクは神戸の開業医の方のブログ。"仕事の合い間に書いてますので、エントリーの無い日は休日か、病気で倒れたかです。ついでに言えば長期に休載したら倒産を心配してやってください。"とのことだが、その経営実態は「パンパカパン 10周年♪(と8周年)」 →[2013-07-01] を読むとよくわかる。
まあ、それはともかく、要するに、
  (末端の、区や)「郡市医師会なんて
   完全に開業医のための互助組織」
  「都道府県以下のレベルの医師会の仕事は、
   ベッタリの地域のお世話であり、
   政治的と言っても自治体レベルの行政との折衝が関の山」
  そこでの理事は、
   ルチーン業務から実務まで膨大な仕事を抱えることになるが、
   「実質として手弁当」で、「ある種のボランティア」。

従って、日医との間に質的に大きなギャップが生まれてしまう。自治体レベルと国レベルの仕事とは訳が違うからだ。にもかかわらず、自治体レベルでの「雑巾がけ」を頑張ってきた人達を自動的に国政担当に起用していく制度。
このゴタ混ぜはかなわんゼということだが、それは、医師会に限った話ではなく、どこにでもある日本流と見てよいだろう。
各地域で"土着"政治を標榜している政党もこのようになりがち。しかし、地域にそれほど依存していなければ違うかといえばそうではない。地域主義に輪をかけたような目線の低さだったり。ご当人は逆に考えていたりするから"土着"型より深みに嵌っていそう。従って、狭い視野の人々を操るスキルだけがご立派な政治屋が上にのぼりつめたりしかねない訳だ。判断力を欠き、まともに国政を考えたこともないような人物がリーダーになったりするトンデモ組織化し易い訳だ。そうなったりすれば、国民はえらい目にあう訳である。

日医もただただ雑巾がけの方々が組織のリーダーになっていく仕組みのようだ。従って、もともと視野が狭くなりがちの職業なのに、それをさらに磨き上げた人々がリーダーなっていく。こまったものだ。
それに、医師全体を眺めると、こうした人達が主導する医師会なら、全体を代表できる筈もない。開業医と医療機関に属する医師は考え方が全く違うからだ。当然ながら、後者は開業医組織になんの関心も持たないのが普通。
しかも、医療機関の経営に医師が直接かかわる仕組みだから、そんな仕事をしている人は全く別な視点でものごとを考えている筈。
と言うことで、もともと、ゴチャゴチャになる宿命。医師間で対立も発生し易いが、それを解決できる仕組みは皆無と言ってよいだろう。

・・・医療産業の規制緩和を云々する人は少なくないが、この状況を無視した提案が多いようだ。開業医の役割を曖昧にしたままの規制緩和などたいしたことができる訳がないと思うが。


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