■■■■■ 2013.8.9 ■■■■■

 亀の穴について

ワニの装甲は真皮の一部が骨状タイル化したものとされる。その内側に筋肉があり、さらに背骨が存在するのだから当然の話。
一方、カメの場合、骨が露出することはないだろうから、甲羅の一番外側は表皮が骨化したものだろう。ただ、これに脊椎と肋骨が完全に融合している。言い換えると、普通はどこかに存在する筈の筋肉が無いのである。何故にそうなったのだろうかとは、誰でも感じること。

そんな見方をしているところに、カメの背甲は肋骨が拡張したものという話が大々的にながされたりするのだが、素人にはその意義がさっぱりわからぬ。と言っても、見てきたような骨格変化を映像で見せてもらえば成る程とはなる。だdが、知りたいことに答えてくれている訳ではない。それに直感でしかないが、多少の無理を感じるせいもある。
 →Tyler Lyson: "Evolution of the Turtle Shell (Illustrated)"
 普通の爬虫類型
  Milleretta rubidgei/ミレレッタ 二畳紀
  ↓
 カメ似のミレレッタ科
  Eunotosaurus africanus/エウノトサウルス 二畳紀
  ↓
 最古のカメ
  Odontochelys semitestacea/オドントケリス 三畳紀
  ↓
 準最古のカメ
  Proganochelys quenstedti/プロガノケリス 三畳紀
  ↓
 現世系カメ
  Chelydra serpentina カミツキガメ [Snapping turtle]

背骨を持つ動物の頭蓋骨には、必ず穴が開いている。眼や鼻があるからだ。ところが、コメカミ部分にも穴がある。つまらない話に聞こえるが、これが爬虫類大分類の基本とされる。どの初等本にも必ず書いてあり、極めて重要なことらしい。

ただ、中身は単純。
無穴は両生類だが、爬虫類にも存在し、頬竜。それと亀。
1つ穴は俗に言う哺乳類型。盤竜。
2つ穴は恐竜・鰐・鳥系と蛇・蜥蜴系に繋がる。
当然、「無、単、双」の3種と考えることになるが、「単、双」の2種類という書き方がなされ、亀は例外という感じだったりする。
多分、亀が鰐・鳥と近縁ということで、亀はもともとは2つ穴だったが塞がった可能性もあり、歯切れが悪いのかも。

そりゃ、例外といっても、穴で分類しておきながら、穴がなくなる生物もあるというのでは、一体そりゃなんだとなりかねまい。哺乳動物が陸から海に入って、4脚でがなくなり、魚型になったという手の話とは訳が違うからだ。

この穴だが、顎を動かす筋肉が膨らんだ時に頭蓋骨で抑えられないようにするためのもの。顎を大きく開き、噛む力を強めるだけの効果しかないが、それが極めて大きなインパクトを与えたという説なのだ。
ところが、亀だけはそれに逆らったのである。そんなの重要じゃないよ、お馬鹿さんとばかり。

まあ、亀の場合、頭はコンパクトで余計な機構頭なしの筈である。防御は甲羅内への格納での対応だが、甲羅は徐々にしか大きくならない状況で、首の超急速伸縮を最優先するのなら、そうならざるを得まい。

頭と四肢には鱗状だから爬虫類としても違和感が生じないが、この分類が上手くないということもあるのでは。哺乳類における単孔類と同じような位置付けになるのかも知れぬが、世界中に分布しているので特殊という訳にもいかず悩ましいというところなのだろうか。


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