メガソーラー計画は止めて欲しい 小生は、電力消費地での小規模分散型太陽電池設置をさらに促進すべきと考えている。夏場のピーク電力消費時の発電所負担を減らすことができるからである。個別コントロール技術が進歩すれば、トータルで見れば、十分ペイすると思う。ただ、その効果がでるようなインセンティブ設計になっていないと意味が薄い。 しかし、メガソーラーとなれば話は別。今からフィージビリティスタディを始めようかと考えている人達が大勢いるらしいが、いい加減止めて欲しいもの。 小生は、日本におけるメガソーラーは、車の走らぬ立派な道路建設と同じようなビジネスと見る。税金の食い潰しか、政府の規制で末端に電気料金という形で負担を押し付ける類の政商的事業ということ。 例外はあろうが、日本にメガソーラー適地などほとんど無かろうと考えているからだ。(発電所や変電所隣接地ならわからぬでもないが。) 従って、今のままなら、非効率で不安定な小規模発電所が乱立していくことになる。小生には、それにどういう意義があるのかさっぱりわからぬ。 この辺りの常識が通らないのは実にこまったものである。 まず、送電網に電力供給するには、メインテナンス不可欠な「送電線」を大枚はたいて架設することになる。当たり前だが、それは超高電圧線。従って、昇圧用変電所を造らざるを得ない。しかも、不安定な供給となれば、日本のような高品質電力供給が当たり前の国では電力供給コントロールが複雑化する訳で、えらく面倒だ。換言すれば、実質的にとんでもないコストがかかることを意味する。 しかも、メインテナンスフリー的に稼動するとの喧伝がなされているのも問題である。平均的な環境が続くなら、可能だろうが、常識的にはそんなことはあり得まい。自然を甘く見ているとしか思えない。 塩害など典型だが、日本のような複雑な地形だらけの国土では、表面にどんな汚れがつくかわかったものではない。しかも、架台に30度もの角度ををつけて設置すれば、竜巻的な突風が吹いたらどうなるのかネ。しかも、豪雪地帯に設置したりとくる。雪が自然に落ちる構造とされているようだが、とんでもないドカ雪があったら機能する訳がなかろう。・・・躯体が被害を受けたり、清掃や除雪に人手をかけた対応が必要になれば、たちまち大赤字のビジネス化するのではないかナ。 そもそも、長期間の安定運転を保証できる発電所を構築したければ、過酷な状態での運転経験値に基づいた、万一を想定した対応が不可欠。そんなこともあるから、発電所では、徹底的な定期補修を行う訳で、それなくしては寿命を全うすることなど不可能である。原発を止めても、なんとか供給量が確保できているのは、こうした対応が極めて質が高かったということ。本来なら、そろそろ廃棄を考えていた施設を稼動させているに違いなかろう。 メガソーラーは壊れたところで危険がないから、建設されているだけのこと。エネルギー問題にはほとんど寄与しないと見るべきだろう。安全保障という観点でも、プラスどころか、マイナスの可能性の方が高いかも。 ただ、海外には適地は少なからず存在している。電力消費産業と組み合わせた挑戦的な事業はあり得るだろう。 残念なのは、どう見ても、水素社会が当分来そうにはない点。その感覚でシナリオを作らざるを得まい。 (C) 2013 RandDManagement.com HOME INDEX |