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■■■■■ 2014.5.8 ■■■■■


「自然の怖さ」教育が欠けていそう

連休になると、必ず野草中毒がニュースになる。
自然に帰ろうという気分で試す人が多いのだろう。警鐘ということで報道されているようだが、人工物危険・天然物安全ムードを煽ってきたのは当のマスコミ。実にこまった風潮である。

今回は、スイセンとニラを間違えたというもの。
素人には、ニラ、ノビル、タマネギとの違いなど、見分けられるものではない。出自がわからないこの手の植物を調理すれば確率的に中毒は発生する。お止めになった方がよいと思うのだが。
最近は、ウルイ採りがお好きな方が多いようだが、これも同じ。フキノトウやギョウジャニンニクなど、地元の人でも間違って有毒な植物を食べてしまうことがある位だから、素人が手を出すべきでないと思うが、気にしない人だらけ。

もともと、程度の差はあるものの、自然界は毒物だらけなのである。我々は、毒抜きをして食べているだけのこと。そんなことにも気付かない人だらけの時代に入ってしまったのである。なにせ、加熱処理不十分な大豆・インゲン豆や、芽が出ている緑色のジャガイモを、わざわざ食べる人がいたりするのだから唖然。

スズランやアジサイといったどこにでもある植物にもご用心である。料理の飾りに使ったりする人がいるが、それを食べたりしかねないのが、一般の人々の知識レベルである。

そうそう、シキミに不用心なのも気になる。これはサカキとは違うが、同じようにスーパーで売られている。実はアニスそっくりだが、確か日本で唯一の毒物取締法適用植物であるほどの猛毒。はたして、葉ならなんの危険性も無いと言えるのだろうか。矢鱈に緑が長持ちするから、小生は「水」に用心している。少なくとも、乳幼児がうろうろしているところに置くべきではないと思うが。どうなんだろう。

茸採りも相変わらず。
地元の人の指示に従い、対象を絞っていないと、中毒の可能性はかなり高いのだが、そんなことを気にもとめない人だからけ。しかも、人にあげたりするから始末が悪い。なにせ、専門家でも、えらい目にあった経験があるのが、この世界。四転八倒の苦しみを味わうが、どうせ死にはしないとの覚悟で食す人達の真似をしたいなら別だが。

海、山の事故も、知識不足が原因ではないかと思われるものが目立つ。

波にさらわれて死亡との記事を見て、その感を強くした。海流が強い場所では、ヒトの力など全く非力。たとえ遊泳場所であっても、潮に流され、えらい目に合うことは稀ではないのが海。一旦流されたら二度と岸に戻れない場所など至るところにある訳で、泳いで救助に向かえば一緒に遭難する。どうにもならないのである。従って、土地勘の無い場所で、安直に遊ぶべきではない。「危険」看板が無いから安全とはいかないのだ。

山も同じことが言えよう。
ちょっと挫いただけで、ほとんど歩けなくなるのだから、こちらも危険ととなり合わせ。コースにしても、本に記載されているからといって、道標が完備しているとは限らない。古い情報だったりすると、道が消滅していることもありうる。
低山のハイキングコースなら危険性は低いという訳でもない。木々が絡まる地域に迷い込んでしまえば、動きがとれなくなるからだ。小生も、藪こぎで、竹がはねて眼鏡紛失の憂き目にあったことがある。その程度はヘッチャラと言えないなら、人が通らない道の単独行など厳禁ということ。
基本的に、山野は危険だらけとの前提で対処すべきだと思う。

なにせ、「寒さ」や「強風」は、何時襲ってくるかわからないのである。天候急変に遭遇しても、すぐに逃げられない場所に行くなら、その対応装備は不可欠。

先日まで、小生は伊豆にいたが、夏を思わせるような日が続いた。はやばやと屋外プールで泳いだりした位。しかし、緯度的にはかなり南に位置する、台湾や香港は同じ時期にえらく寒かったそうである。その状況から判断すると、北アルプスなど厳寒期に戻ってもおかしくなかろう。風が吹いたりすれば、一歩も歩けなくなることもありえる。
しかし、ニュースを読むと、遭難者はそんなことは予想していなかったようである。基本的な知識がえらく不足していたのではなかろうか。

(読売新聞のニュース)
ニラと間違えスイセンの葉を調理、5人食中毒 5月6日
スイセンをニラと間違え、家族4人が食中毒 4月13日
(信濃毎日のニュース)
上越の海、県内の5人死亡 上田の児童3人と父ら 5月5日
奥穂高、長野側で8人救助 寒さや疲労「5人動けず」 5月6日


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