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■■■■■ 2014.5.15 ■■■■■


概念把握型ロボットの話

ロボットの新しい形が登場。
といっても、それは年中行事のようなもの。

様々なアイデアが試されており、突拍子もない形状で耳目を集めようとしているとしか思えないものも少なくない。
エンタテインメントとしては上出来というと失礼千万だが、見ている方にとってはそれ以上ではないから致し方あるまい。
面白いだけで、それにどんな意味があるか、解説が無い限り、さっぱりわからないのである。先ずは、インスピレーションで作ってみて、そこから新たな知恵が生まれる筈との理屈を言い出したらキリがない訳で、そんな確率は極めて低いというのが経験則。

それに対して、コリャ凄いと誰でもわかったのは、ホンダのロボットだろう。
二足歩行の実現は、それこそコペルニクス的発想の転換が必要だったと見るべきだろう。

実は、手でモノをつかむ技術にも、その片鱗を感じさせるものがあったが、どうもその発展形がよくわからなかった。(簡単に言えば、鉛が入ったコーヒーカップだと、ヒトも必ず落としてしまうということ。感じた重さからのフィードバック動作をしていないのである。)

ところが、それが、見えてきたような気にさせられた。
EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の腕と手だけの新型ロボットである。

ただ、ハードウエアは汎用品なので、どこの研究室でも見かける形となんら変わりが無い。しかし、明らかに「新型」なのである。
分類的名称なら、飛行物体をつかみとる腕状ロボットか。

百聞は一見にしかずで、・・・
  Ultra-fast, the robotic arm catches objects on the fly EPFL NEWS 12.05.14

衝撃的な理由が、おわかりになれるだろうか。

日本は自動車製造ラインで働く溶接ロボットに、作業者と同じような名前がつけられることが多いが、ビデオを眺めているとそれと同じような感慨を覚えること必至。
何故かといえば、ロボットにヒトが教え込んでいるからである。

ヒトの動きを解析し、それをプログラミングするのではない。
他人の動きを物理的に真似して、すべて覚え込むことで、運動スキルを身につけるのが人間の仕草。これは理屈じゃないゾ、頭ではなく体で覚えヨとされる。
それと全く同じように、ロボットにヒトが手取り(足取り)して動きを教え込み、覚えさすのである。

従って、飛んでくるモノをつかまえる動きは、すべて、教えた人のスタイルになる。それが一番合理的な挙動とは限らない。どうして、そんな所作をするのかも定かではないこともある。しかし、目的は達しているのだからそれで十分。
それが見ていてわかるから面白いのだ。

重要なのは、センシングのデータで直接ロボットの運動をコントロールしている訳ではないこと。
何が、どのように飛んでくるかを、先ずはとらえることから始まる。ここが肝要。
出発点は、どのようにモノが飛んでくるかの予想。
なにはともあれ、最初に、概念的把握がなされる訳である。これこそがヒトのヒトたる所以でもあろう。

ロボット技術は、ココをどのようにして突き抜けるかが勝負では。

あとは、その予想に応じ、覚えた仕草をするだけ。
細かなところは、まだまだのご様子ではあるが先が楽しみ。成長すればの話だが。
おそらく、この画像を見て、インスピレーションが湧いた研究者も多かろう。

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