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■■■■■ 2014.9.2 ■■■■■


量子暗号技術進展の報を眺めて

どうなるか、ハラハラ。
日経に、次の記事が載ったから。[2014/8/31 2:00 電子版]
 「量子暗号で実用化へ

素人にとっては、「究極の安全通信」と言ってよいのかの判断はできかねるが、理屈から言えば、量子化されれば無断コピーはできなくなる。盗聴は事実上不可能だろう。
実験・検証に成功との報は目にしていたし、研究者・エンジニアが実用性を云々するのは当たり前の姿勢だから、気にもとめなかったが、今回の記事はそれとは質的に違う書き方。「実用化の動き始まる」といったニュアンスを感じさせるものだから。
一旦、動き始めると、ニーズはありそうだから一気に立ち上がる可能性もあろう。

"Quantum Key Distribution"ということでは、すでに2010年秋、情報通信研究機構/NICTの東京QKDネットワーク(NEC,三菱電機,NTTに加え、東芝[英国のToshiba Research Europe Ltd.],スイスのId_Quantique,オーストリア研究機関が参加.)が稼働。
言うまでもなく、DARPAも進めている筈だが、その実態はよくわからない。

・・・と書けば、ピンとくる人もいよう。

これがかつてのインターネットのように、デファクト化していく技術かどうかは、なんとも言えないからだ。
(世界各国がデジタル化ということで、それこそ日本を先頭にISDN型技術で世界標準化することが決まっていたにもかかわらず、軍事技術の一般転用ともいえるインターネットの登場によって、それが覆された。)

言うまでもないが、技術の流れからいえば、量子暗号が本流中の本流であるのは間違いなかろう。しかし、どのような適応場面から始めるかで、流れが大きく左右されかねないのでは。その辺りが大いに心配である。

と言うのは、漏洩リスクを無視できるようになるなら、誰でもが嬉しく感じると、つい思いがちだが、それはなんとも言い難しという現実があるからだ。

現在、世界は政治的に不安的化しており、「大国」にとっては、諜報活動が益々重要な役割を果たしつつある。それが難しくなるとなれば、嬉しいどころの話ではあるまい。自国の情報漏洩は抑えながら、他国については盗聴に勤しむというのが現実の姿なのだから。
そんな活動ができるから、かろうじて世界の安定を図れていると考えている為政者が少なくないということを示唆している訳だ。従って、「大国」が、盗聴機能喪失を黙認するとは思えないのである。

つまり、この手の技術の「一般的」普及が始まりそうとなれば、それは目の上のたん瘤以外の何物でもなかろう。早速、手を打ち始めるのでは。

そんな動きに十分注意して頑張ってほしいもの。

(2013年のリリース)
「複数送信者と単一受信器で量子暗号鍵配信するシステムを世界で初めて実証」2013年9月 東芝
(企業誌関係論文とロイターの2012年の記事)
J.ダインズ, et.al.:「高速量子鍵配送プロトタイプによる実証運用」 Vol.66(11) 2011
ハッキング不能の通信実用化に一歩、東芝が量子暗号で新研究 2012年 11月 20日 13:29 JST
(東京QKDのリリース)
量子暗号ネットワークの試験運用開始 世界初、完全秘匿な多地点テレビ会議を敷設光ファイバ網で実現 2010年10月14日
(NICT量子ICT研究室 トピックスの頁)
http://www.nict.go.jp/advanced_ict/quantum/topics/

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