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■■■■■ 2014.12.10 ■■■■■


2015年逆張り予想評

師走になると、翌年の展望が語られるものだが、一般に語られているのとは異なると銘打った予想話が掲載されていた。
ロイターの「2015年の逆張り予想」。

予想というより、好みでの指摘という風合いを感じさせるものになっているが、それはそれで、どのようになればよいと考えているかがわかって面白い。

5つの、異端予想が並んでいるので、それぞれコメントをつけてみた。

(1)中国の経済危機
世界最大の経済規模であり、米国の指導力が落ちる一方のなかで、それを代替する方向に歩んでいる国だ。
すでにオバマ大統領は、その線で協力する旨確約した訳だし、大欧州は中国の力で経済成長路線に戻そうと頑張っているのが実情。当然ながら、アフリカやラテンアメリカの政治的指導者も、インフラ投資と交易での緊密化を大いに望んでいる訳だ。
中国経済の変調がこまるのは、共産党政権より、先進国の政権であることを、まずおさえておくべきだろう。
気候変動とクリーン・エネルギーの米中合意とは、そういう意味で、象徴的なイベントといえよう。

経済政策に関して、もともと科挙の国であり、共産党中央は有能な人材を揃えているのは間違いない。しかも、不景気で政権交代など有りえない国であり、10年スパンで政策を進めていける。従って、構造改革を進めると主席が決断すれば、それは必ず進むことになる。そして、現況を眺める限り、共産党中央は、構造改革が進まないと財政・金融危機になりかねないと考えていそう。従って、この路線は貫徹されることになろう。
いうまでもないが、輸出と公共投資の経済から、国内消費と民間投資に転換するという大事に挑戦している訳だ。一筋縄で進む訳がない。それだけの話。

もちろん、国内問題は山積。(格差、汚染、温室ガス、不良債権、少数民族、等々)それに加えて、近隣国との紛争も抱える。どれをとったところで、政権を揺るがしかねない要素はあるが、軍事独裁国家であるから、内部で権力闘争が発生しない限り、政治的安定性が揺らぐとは思えまい。

そうなら、経済的リスクは小さいと考えざるを得まい。量的緩和しかできない国とは違って、まだ金利引き下げの手がつかえる訳だし、国家の資金も潤沢だからだ。しかも、エネルギー価格がここのところ4割も低下した。雇用さえ維持できれば、あとは、なんとかなるというのが政権中枢の本音では。
そして、ことあらば、先進国の政権は必死になって中国共産党の動きを全力で支えることになろう。
リスクとして取り上げるのは当然のことだし、波乱は避けられないだろうが、大事になる可能性は一番低かろう。

(2)輝くユーロ圏
それはありえまい。
ドイツはすでに労働力不足だからだ。ユーロ圏を支える唯一の国にもかかわらず、老衰化し始めたのである。にもかかわらず、突然に輝くなど夢物語。
それに、ドイツの政策は、ユーロ圏経済を冷え込ます効果はあっても、上昇機運をもたらすことは考えられない訳で。
 ・財政赤字容認などもってのほか
 ・従って、金融緩和反対
 ・経済危機国の積極財政政策に反対
 ・インフラ積極投資に反対
日本の政権とは政策は真逆だが、ドイツも失業率は問題にならないほど低いし、家計支出と民間投資が低調なのである。インフレ率1%・成長率1%路線でのんびりという感じ。
このような国が牽引して、ユーロ圏が成長するなど、およそありえまい。

(3)ドイツ国債利回りが上昇
ECBの物価押し上げ能力を投資家が信頼し、市場金利を押し上げるというシナリオもありえるというのだが、ドイツ政府が反インフレ政策を堅持しているのだから、それは無理だろう。
人工的インフレ化を目ざす日銀の成果を見ればわかろうというもの。日本の国債利回りは圧巻。

(4)英国の政治リスク
これはありえると言うより確実。
ロイターが書いているような、保守党勝利によるEU離脱国民投票実施とか、スコットランド民族党躍進で独立問題蒸し返しという話ではない。
危険な香りが満ち満ちているのは、イギリス独立党[UKIP]が力を持つ流れが生まれているせい。その政治的主張ではなく、政治体質が危うさを孕んでいるのは間違いなかろう。主張の中味は単純な「コミュニスト」攻撃だけでしかなく、方向感なきテキトー政治を進めかねない体質が見て取れるからだ。
この手の勢力と組むと、場当たり的な動きだらけになり、なにがおきるかわかったものではない。

(5)ドル安
どうかネ。円とユーロの状況と比較すれば、ドル買が続くしかなかろう。
日本は輸出国から輸入国へと転換したのだから、為替水準は、輸出PPPには全く意味がなくなる。さらに、企業購買のPPPから離れて、限りなく消費者ベースのPPPに近づくというのが理屈。輸入物価上昇でのインフレ率向上を狙う政策が続く限り、円安は考えにくかろう。
ただ、新興国での金融危機が発生する可能性は捨てきれず、一気にマネーが円に流れ込むといった状況が考えられない訳ではない。それを見越した株高発生といえないこともない。

(コラム) アングル:来年の「逆張り」予想、中国バブル崩壊と輝くユーロ圏経済 by Jamie McGeever 2014年 12月 5日 11:41 JST ロイター

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