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■■■■■ 2015.1.20 ■■■■■


国債市場から見た経済動向

日本国債の1年物利回りはマイナスだが、10年物はまだプラスである。傾向を見ると、いつまでそれが続くか。
と言うのは、ついにスイス国債の10年物がマイナスとなったから。当然ながら、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、フィンランド、オーストリアと軒並み過去最低。
原因は、スイス中銀のスイスフラン高騰防止のためのユーロ買支え停止方針だが、ユーロ圏でさらにカネがじゃぶじゃぶになれば続行できる訳もないからというだけ。利回り低下は、特殊要因ではなく、長期トレンドそのもの。

ほとんどの経済指標が好調を示している米国でも、同じように10年物の金利低下が進んでいる。一方、短期金利は常識通りに上昇。
このような現象が発生するのは、短期金利が下がり続けるとの予測が一般的になったか、先行きインフレ等が発生するリスクが大幅に低下した時だろう。

このことは、資本主義経済がまともに回らなくなった可能性もある。少なくとも、世界経済の低迷に直面するとのシグナルと見るのが自然では。

これから低成長と考えなければ、金利の低下が続くとは思えないし、インフレ化の恐れなしとはなるまい。
10年という時間的リスクは小さいと見なしているのだから、こうした流れは確実と見ているとも言える。

世界中、カネはうなるほど市場に出回っているが、投資先が欠乏しているからだ。
そうなれば、カネが行き着く先は国債しかない。日本などその典型。
2015年に入り、短期国債は名目上でマイナスに。もちろん10年債も実質金利マイナスである。

国債保有業と化している地銀はこの先、いったいどうするつもりなのだろう。預金金利をマイナスにする以外にはたして手はあるのだろうか。
経済規模が縮小する見込みしか見つからない地方に、投資チャンスが生まれる可能性は極めて低いし、そもそも、チャンス発見能力や、投資判断ができる人材が存在するかという問題もあろう。国債購入代理業兼自治体中心の金融サービス業で食べてきたから、投資家としての眼力ある人材が育っているとは思えないからだ。

ともあれ、世界の趨勢はどう見てもデフレ。
食糧は未だに生産能力過剰。先進国は補助金で生き延びさせる政策を続けており、農業にしか頼れない最貧国農業壊滅化というのが現実。
エネルギーだが、需給を考えれば、こちらも、価格上昇の可能性は低そう。そもそも、原油価格は、国際政治の覇権争奪の道具と化して久しい。だからこそ、中東戦乱が収まらない訳で。
環境問題を重視するなら、原発稼働以外に手は有りえないにもかかわらず、それを政治的に葬り去り、オイルサンドやシェールといった試験的たるべしタイプを本格稼働させたりと、滅茶苦茶だ。
無理矢理作り上げた高価格市場がほぼ崩壊した模様だから、戦争さえなければ生産量は増える一方でしかなく、価格が上がる理由はなかろう。

工業製品分野ももデフレ圧力は高い。なんといっても、世界の工場たる中国がとんでもない規模の生産設備過剰なのが大きい。これに見合う需要の掘り起こしは現実的には難しかろう。従って、デフレからの脱却は考えにくい。
巨大な若年人口だらけのインドでも、インフレ抑制策だ。工業生産の伸びは低いままだから、利下げへと進むだろう。

日本が長く続けた、低金利・低成長が世界に蔓延するということのようだ。
それをいかにして脱するかと考える気力も失われているようで、ゼロ成長で楽しく生きようという人も大量に生まれている。それは、もっぱらアッパーミドルで、当人達は、今の生活が維持できると勘違いしているようだ。
なんとかしたいなら、イノベーション創出をとことん狙うしかないのは明らかだと思うが、このような緊張感なき風土ではなにも生まれないというのが経験則である。

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 <日本国債10年物>
2015.01.16 0.241%
2015.01.05 0.326%
2014.12.11 0.405%
2014.11.18 0.512%
2014.06.05 0.612%
2014.01.08 0.701%
2013.08.02 0.811%
2013.05.29 0.937%
2012.04.05 1.007%
2011.07.26 1.107%
2011.05.02 1.219%
2011.04.13 1.320%
2010.04.07 1.402%
 <日本国債1年物>
2015.01.16
-0.020%
2014.12.24
-0.036%
2014.12.16 +0.000%
2014.12.01 +0.010%
2014.10.16 +0.030%
2014.09.30 +0.065%
2014.06.30 +0.075%
2013.11.28 +0.090%
2013.09.20 +0.100%
2012.02.10 +0.121%
2011.06.15 +0.140%
2009.11.27 +0.184%
2009.06.24 +0.202%
2009.04.14 +0.311%
2008.12.18 +0.425%
2008.12.15 +0.509%
2008.10.28 +0.657%
2008.10.16 +0.718%
2007.08.09 +0.819%
 :
2005.01.31 +0.006%


(記事) HSBCメージャー氏、米国債見通し的中-市場予想に逆行でも 2015/01/12 11:48 JST ブルームバーグ
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