表紙 目次 | ■■■■■ 2015.6.21 ■■■■■ わからん、研究成果のブリーフィング う〜む。 ド素人には、何が凄いのかさっぱりわからぬ発表があった。詳細はNature論文だそうだから、そう感じたなら、科学の理解能力を欠く輩ということになろうか。 コリャ、こまったゾ。 と言うことで、しばらく考えていたのだが解決せず。 とりあえず、頭を整理してみたくなったので書いてみた。 発表内容をバラバラにして、文脈的に繋げずに書いてみるとこんな具合。・・・ 【うつ病の症状に似ているマウスを実験に使用した。】 疾病モデル動物作出自体が難しい課題である訳だが、病気を持ち出す表現に、なんとなくしっくりこないものを感じる。治療目的に使えるかなど、さっぱりわからぬ段階というのに。まあ、この辺りはどうでもよい話だが。 【ストレスを与え続けるとマウスの動きが鈍くなる。】 それは昔から知られていること。ココの「表現」が肝なのでご注意のほど。 【心理的に「楽しい」状態に導くと、動きが活発になる。】 ヒトの場合は、そんな現象が「事実」として知られている。但し、作用機序の「理論」が曖昧模糊としているし、「楽しい」の科学的定義や定量的測定もナンダカネ状態。心理学あるいは実践臨床学と生理科学の間には、漢方と西洋医学同様に、越えられぬ溝があるというのが小生の見方。 【ラットに「楽しい」状況がある。】 ヒト以外の生物に、この「仮説」をどこまで拡張できるかは全くわかっていないのでは。脳器官を欠くのに、植物にも感情があるという主張は論外としても、ヒトが飼う動物なら皆「楽しい」状況があると言ってよいかははなはだ疑問。ヒトの勝手な解釈でしかないと見なすべしとの意見も多い。当たり前だが、感情を持たない生物との間の線引きができていない上に、「感情」の定義もマチマチ。しかも論証できている訳でもない。科学の議論で、その程度の「仮説」を自明の如く扱い、巷の世間語的に説明するのは避けよというのが常識的な姿勢だと思うが。 【♂マウスは♀と「遊ぶ」時に「楽しい」と感じる。】 「楽しい」という感情用語はヒト以外の場合、どのように判断するのだろうか。「反応」は正確に記載できるが、それを「感情」として翻訳するのは簡単ではないと思うが。ヒトも含め、性的興奮には本能的反応が含まれており、マウスにもヒト的なウキウキする「恋」感情が生まれるのかは、なんとも。鼠族の社会文化がヒトと同じとは思えないからだ。 【「楽しい」状況が、1つしか示されていない。しかも性がからむから、特殊状況。】 ♂♀ペアでいる時だけは、確実に「楽しい」という理屈がよくわからない。 【もがく時間が健常マウス並みになったのは、楽しい記憶を想いだしたから。】 どこにその論拠があるのか。なんらかの刺激を与えれば、変化はおきるもの。素人的にはカフェイン微量投与程度でも、そうなるのではないかと想像してしまうが。 【活発に活動し、その後停滞した脳細胞を記録し、その細胞に光を当てたところ再活性化した。】 まあ、有りえそうな話である。方法論として画期的なのかどうかは、素人なのでわからぬが。 【特定の脳細胞を活性化させると活動に影響が出た。】 ソリャそうだろう。 【脳細胞刺激でなんらかの生理活性物質が出ているかの確認はされていないようだ。】 健常人の場合、良い気分になる生理活性物質が知られている。 性的興奮が発生すると、特定の脳内物質が大量に放出されることが多いと聞くが。 【特定の脳細胞に、記憶能力があり、光刺激でその記憶がよみがえる。】 有りうるだろうが、そのような証拠が提示されているとは思えない。 そもそも、記憶というのなら、記憶内容をはっきりさせる必要があろう。 とはいえ、この研究、凄すぎ。特定の脳細胞に光刺激を与えて「確実に」活性化させることができるというのだから。しかも、ターゲットを「確実に」とらえることができる。 刺激を与えると、脳のどの辺りの細胞が活性化されるのかは古くからわかっていた。それが、機器分析技術の発達で、実験的にはその詳細な位置もわかってきた。当然ながら、次の大きな一歩間近感が生まれている訳だ。 そんな折、それとは逆方向からの解析方法論が提起された訳である。荒っぽい電気的刺激とは違い、ターゲット細胞を光で活性化できるというのだ。この先、特定細胞の活性化がどのような反応に繋がるかが見えてくるのかも知れぬ。そうだとすれば、偉大な一歩である。 実験の詳細を理解する素養が無いから、はたしてそう見てよいのかはわからぬが。 (報道発表資料) 「光遺伝学によってマウスのうつ状態を改善―楽しかった記憶を光で活性化―」理化学研究所 2015年6月18日 (C) 2015 RandDManagement.com HOME INDEX |