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■■■■■ 2015.11.21 ■■■■■


B2Cで堪能の夜

もうだいぶたつが、"B→C"を聴きに行って来た。

生憎と雨模様のお天気。でも地下鉄を使えば、駅からリサイタルホールまで、外に出ずに歩いていけるので有り難い限り。

クラリネットには触れたこともなければ、当該演奏家のファンでもないが、Contemoraryの曲が並んでいたので、たまにはというところ。現代曲は、聴かせるより演奏者が楽しむものが多いというのが小生の見方だが、この日はその逆で大当たり。

Cとは例えば、こんな曲。
 コッペル[→IMDb]:クラリネット・ソロのためのカプリス(2004)

元ウィーン・ フィル首席クラリネット奏者の曲も。
 プリンツ:ソナタ第2番─Es管クラリネットとピアノのための─(2002)

これらを含めてCを耳にしていると、正直なところ、冒頭のBachは嗜好がこらされているとはいえ(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための曲をバセットクラリネットで演奏可能に。)、無くてもとよかったとの感じがした。

だが、後でよくよく考えてみると、これがいわば次の「ファンタジー」の序曲でもあった。Cにしては尖ったところがないとはいえ、素人には、先ずはBachによる耳馴らしは重要だった。秀逸な企画。
ピアノの大活躍も大きかったが、クラリネットとは夢のような音が出せる楽器と納得させて頂くことになったのは、そんな思いやりがあってこそ。

そして、初演の曲。目玉である。
 西上和子:BLUE─バセットクラリネット・ソロのための

解説は宗教的文章だから、沖縄の海宮色といったところか。
これでもかというような演奏技巧には唸らされるものがあった。クラリネットを始めると、いつかはこの曲に挑戦するゾとの決意を呼び起こしそうな感じ。変奏曲的なものとは違い、アイデンティの主張ありきの作品には、輝くものがあり、聴く方にとっては嬉しい限り。

そうそう、アンコールの2曲にも驚かされた。
なんと、川上一道さんの故郷である石垣の有名な島唄「とぅばらーま」。食事処で一度聞いただけだが。
そして、悪霊除け歌「鳳仙花てぃんさぐぬはな」。
もちろん三線あり。編曲の質が高く、一気に場が和む。実は、ここらが一番コンテンポラリーということかも。

東京の夜を堪能。

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