表紙 目次 | ■■■ 本を読んで [2016.2.14] ■■■ 25大化石の選定眼(うち爬虫類) 「最初の化石→奇怪に映るエディアカラ生物の化石→カンブリア大爆発の化石」と勝手に分類したが、ここまでで8ッ。残り17。 [→] その続き。 続いて、上陸から爬虫類までの化石を見てみたい。 先ず、前回の再掲。 新口の代表として、カンブリア大爆発で登場した魚類の祖先が選ばれたのである。ピカイアの地位を奪った澄江動物群の化石。初期脊椎動物役も担っていることになる。 -----脊椎動物 【8】「ハイコウイクチス」(Haikouichthys) (ご注意:日本語Wikiではミロクンミンギア/豊嬌昆明魚の同一種として記載。) そうなれば、続きは決まったも同然。 ●上陸したばかりの四肢動物とその発展形の化石● 前駆四肢動物に関しては、この先も新発見による紆余曲折がありそうな感じがしないでもないが、決定的な化石が見つかりつつあり、状況が見えてきた感じがする。 -----両棲的魚 【10】「ティクターリク」(Tiktaalik) デボン紀後期の肉鰭類。鰐的格好の上陸可能魚に見える。魚類と四肢動物の間を結ぶミッシングリンクだ。 当然ながら、この先は両生類と爬虫類の誰でも知る生物の祖を並べることになる。それなら4ッかと思いきや3ッ。鰐君落選。 -----祖蛙 【11】「ゲロバトラクス」(Gerobatrachus) ペルム紀前期の陸棲両生類。有尾目と無尾目の中間体だそうだが、分椎目の特徴も加わっているとのこと。"Frogamander"はピッタリの命名。 -----祖亀 【12】「オドントケリス」(Odontochelys) 三畳紀後期と一番古いし、誰が見ても体長は40cmほどの亀らしい。ただ、甲羅は不完全とか。爬虫類の「無、単、双」による穴分類では「無」だが、その系譜が途絶えてから登場ということが混乱の始まり。この化石の存在でようやく位置付けがわかってきたということ。 → 「亀の穴について」[2013.8.9] -----祖蛇(四肢退化直前) 【13】「-」(Haasiophis) 初期の海蛇の風情だが、這いまわるものの四肢あり時代を彷彿させる。"聖域(パレスチナ西岸)"に属すHaas氏の蛇である。 → Eitan Tchernov1, et.al.:"A Fossil Snake with Limbs" Science 17 Mar 2000 後肢あり蛇は他にも、ナジャシュ(これも聖書的。)、パキラキス、Eupodophis。さらに、唯一の四肢ありのテトラポドフィスも発見されているのだが。 → Eitan Tchernov1, et.al.:"A Fossil Snake With Four Legs" by Ed Yong 07/23/2015 National Geographic 爬虫類は、ヒトへと続く哺乳類とは違った道を歩んだ訳だが、鳥という一大カテゴリーを形成したから、人気化石生物だらけである。そんななかから、恐竜等の4種類が「モンスター」として選ばれている。 数的には全体の16%。 ●モンスター爬虫類の化石● 小生は、恐竜展開催場の側には近寄らないようにしている。そこは子供の喧噪の世界だろうから。 その年代にとっての化石とは、恐竜なのだ。 従って、大型肉食恐竜として有名なから始まるのかと思いきや、これが落選。他も、小生のような門外漢が知らぬものだらけ。この程度の名前は今や常識と考えるべきなのだろう。 -----モンスター爬虫類その1:巨大肉食恐竜 【16】「ギガノトサウルス」(Giganotosaurus) 南米の肉食人種ギガースこと、巨大プレデターとか。ティラノサウルスを押しのけでスターの地位獲得か。 白亜紀後期に登場。 同じような体型で大きさの順位からいうと、「スピノサウルス→ギガノトサウルス→カルカロドントサウルス→ティラノサウルス →マプサウルス」になる模様。これらは、BBCの科学番組ではたいてい都会の自動車並みの速度で走っているが、はたして本当なのかいなと何時も思う。あの大きさでは、躓いたら則瀕死では。 -----モンスター爬虫類その2:巨大海蜥蜴 【14】「ショニサウルス」(Shonisaurus) 秀尼魚龍。もちろん最大の魚竜。小生はこの生物の概念がピンとこないので、勝手に海蜥蜴としているが、系譜的には蜥蜴とは縁遠い。 三畳紀後期登場。 -----モンスター爬虫類その3:巨大首長竜 【15】「クロノサウルス」(Kronosaurus) 海棲の長頭龍。所謂、首長竜だが、頭だけで3mとなれば、誰だって、見た瞬間恐怖に襲われよう。 白亜紀前期に登場。 ギリシャ神話に登場するゼウスの父の名前を貰っており、西洋の民はこれだけは外せまい。要するに、これ以上恐ろしき動物無しということか。 主神の地位を子に奪われるとの預言に逆らい、自分の子供達を次々と丸呑みにしたのだが、どうにもならなかったという話がそのまま当てはまるのかは定かではない。 -----モンスター爬虫類その4:巨大草食恐竜 【17】「アルゼンチノサウルス」(Argentinosaurus) 陸の最大動物ということで目出度くご当選。完全骨格化石があるフタロンコサウルスも同じ位巨大だが落選。もっとも、人気一番の草食恐竜は、角があるトリケラトプス[鳥盤類]だと思う。 白亜紀前期に登場。 骨屋にとっては垂涎の標本なのであろう。なにせ、たった1個の脊椎骨が1.3mというのだから。従って、推定体重も100t。生存可能な最大の大きさまで進化した可能性を感じさせるから、これを外す訳にはいかないのだろう。いきつくところまで一気に行ってしまうというのが、進化の鉄則ということか。 そうだとすれば、種の中間体的化石の発見は期待できないことになる。 ついでに、爬虫類その後も。 空を飛ぶ上に、音声コミュニケーションまで行うのだから、これこそモンスターなのだが、可愛いと見るべき動物とされている。これは当選確実。 -----鳥祖 【18】「始祖鳥」(Archaeopteryx) 鳥は羽類で、鱗類ではないが、分岐分類がわかってきて、恐竜類と呼べるようになった。 と言うことで、それぞれの化石の系譜上の位置はこんな具合になる。 魚的脊索動物【8】 ├─→無顎 ├─→板皮魚[原始顎] ├─→軟骨魚【9】 ├─→棘魚[顎口] ├─→硬骨魚 │ ↓・・・・・・・陸棲化開始 四肢的肉鰭動物【10】 ↓ ├─→両生類【11】 │ │↓有羊膜類 ├─→【単弓類】─→獣弓類[絶滅]→哺乳類【19〜25】 │ │↓竜弓類 ├─→中竜類 │ │↓広義爬虫類 ├─→【無弓類】(擬爬虫類) │ │↓真正爬虫類 │┌─カプトリヌス+プロトロティリス+パレオティリス └┤ ┼│ ┼│↓【双弓類】 ┼│ ┼├─<細脚形> ┼├─<魚竜>【14】 ┼│ ┼│→***鱗竜形*** ┼├┬─────コリストデラ ┼│└┬────鰭竜---首長竜【15】 ┼│┼└┬───昔蜥蜴 ┼│┼┼└───有燐類[蛇・蜥蜴]【13】 ┼│ ┼│↓***双弓類の主流*** ┼├─<亀>【12】 ┼├─<鰐> ┼├─<翼竜> ┼│ ┼│↓<恐竜> ┼│┼┌───剣竜 ┼│┼│┼┼┼┼┼・ステゴザウルス ┼│┼│┼┼┼┼┼・ファヤンゴサウルス[初期型] ┼│┌┤装盾系 ┼│││ ┼││└───鎧竜/曲竜 ┼││┼┼┼┼┼┼・アンキロサウルス ┼├┤[鳥盤類] ┼││┼┌──角竜 ┼││┼│┼┼┼┼・トリケラトプス ┼││┌┤"周飾頭" ┼││││ ┼│││└──堅頭竜 ┼│││┼┼┼┼┼・パキケファロサウルス ┼│└┤角脚系 ┼│┼│ ┼│┼└───鳥脚 ┼│┼┼┼┼┼┼┼・イグアノドン,カモノハシ恐竜 ┼│┼┼┼┼┼┼┼・ヒプシロフォドン ┼│┼┼┼┼┼┼┼・パラサウロロフス ┼│┼┼┼┼┼┼┼・ヘテロドントサウルス ┼│↓[竜盤類] ┼└┬──────・ディプロドクス,アパトサウルス ┼┼└┬─────・ ┼┼┼│↑竜脚【17】 ┼┼┼│ ┼┼┼│↓獣脚(二本足移動 肉食)【16】 ┼┼┼└┬────・アロサウルス ┼┼┼┼│┌───・ティラノサウルス ┼┼┼┼└┤┌──・ ┼┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼┼│↓原鳥類 ┼┼┼┼┼┼└┬─・デイノニクス ┼┼┼┼┼┼┼└┬・始祖鳥【18】 ┼┼┼┼┼┼┼┼└───鳥類 軟骨魚をとばしたので追加。 -----有額魚 【9】「カルカロクレス」(Carcharocles) 始新世中期〜鮮新世に生存。 歯の化石が人気。現存種の最大なものは頬白鮫だがせいぜいが5m。歯の大きさから類推すれば、化石の昔頬白鮫ことメガドロンはその3倍近かったろうから、魚類としては空前絶後の巨大さ。 ただ、体躯が巨大という点で選ばれた訳でなく、巨大な顎ということで当選。おそらく、自分より巨大な鯨を見つけたら、即、ガブリということだろう。従って、取り上げるべきは巨大鯨で巨大鮫ではなかろう。 9番目は、前駆顎魚が妥当だと思う。 (本) Donald R. Prothero: "The Story of Life in 25 Fossils - Tales of Intrepid Fossil Hunters and the Wonders of Evolution" Columbia Univ. Pr. 2015 本を読んで−INDEX >>> HOME>>> (C) 2016 RandDManagement.com |