→表紙 | 2013.10.22 |
進化分岐に基づくパンの分類…動物分類に多少触れると、「歴史的流れにおける分岐」による「進化視点分類」という見方を強制されることになる。この前提になるのが、「種」の概念だが、ズブの素人には極めて恣意的に作られているような印象があり、どうなっているのかよくわからない。この分類だが、様々な説が生まれているし、その結果、社会的に形成されてきた見方と違ってきたりする。 しかも、大まかとはいえ分岐年代推定もあるから、どのような経緯で進化したのか勝手に想像できるようになって来た。実に面白い。 → 「分類の考え方 INDEX」 タイトルの文字を見間違えないで欲しい。濁点の、クイナ(水鶏)の仲間「バン(鷭)」ではない。食品の「パン」である。小生な素養はゼロ。だが、せっかく動物分類を眺めてみたから、その発想で「パン」の「種」としての概念をベースとして、進化上の分岐による分類を試みてみたくなったということ。 この範囲がどこまで入るのか、よくわからないが、パンケーキやクレープ類は、スポンジケーキやカステラ同様に菓子の系統に入るようだ。 スコーンやパネットーネはパンの一種と見なされるのは、まあ、そうかなの部類だが、サヴァランが菓子パンとされるとどうもなじめぬ。 まあ、多種多様な菓子パンがあるのだから、なんとも線引きが難しい。 ポン・デ・ケイジョも本来は麦系ではないし、ビスケット類に近いと言えなくもなさそう。ただ、名前が「チーズパン」だから、パンにせざるを得ない。トルティーヤやコーンブレッドも、同じことが言えよう。クレープも欧州では蕎麦ベースのブルターニュのガレットが有名である。小生も好きで、表参道や神楽坂でシードルのつまみに食べたりする。麦作ができない欧州各地に見られるタイプであるから、パンに該当すると言ってもよいかも。 → 蕎麦の話 [2008.8.26] 麦ベースなので、ピザは正真正銘のパンの王道。厚手でトッピングが無く、オリーブオイルをつけるだけなら、ナンとほとんど変わらない訳である。違う系統のパンということになる。だが、麦ベースといっても、中華の饅頭、油条となると、この手のものもパンと呼ぶべきか、はなはだ難しかろう。パスタや麺はパンに属すとは流石に言い難かろう。 概念とはこの程度の曖昧なもの。従って、余り拘ったところでたいした意味は無い。 ただ、こんな話をしたくなるのは、和名が愉快だから。日本人は、後生大事に、ポルトガル語の「パン」という名前を護り続けてきたからだ。カステラやカルタとは違って、それこそ紆余曲折の歴史を持つにもかかわらず。 欧州なら、中世の宗教性を感じる言葉だから、自国語のパンという言葉を大切にするのは当然だと思うが、米飯主体の民族にとっては、どうでもよさそうな単語だと思うが、そういう訳にはいかなかったようだ。黴ずにいることが驚異的だったのだろうか。 ともあれ、海外からなんでもかんでもとりあえず取り込んでみて、ヨサゲだとすかさず自分達の文化の一部にしてしまうという柔軟性のお陰である。以下をご覧になれば自明。一種の進化史のようなものである。 安土桃山期渡来 [葡] Pão 鎖国期渡来 [蘭] Brood 侵略戦争対策で導入 [英] Hardtack (兵糧用堅パン) 開国期渡来 [仏] Le pain 明治維新期渡来 [英] White bread 第一次世界大戦後導入 [独] Toastbrot 第二次世界大戦後渡来 [米] Quick bread & Hot dog bun (仏語: coupé pain) バブル期 [伊, etc.] Pane, ・・・. 尚、現在はどうかといえば、百花繚乱状態だろう。 さて、肝心の分類に入ろう。 発祥はメソポタミアとされているので、そこから。 こんな具合か。(適当に書いただけなので、そのおつもりで。) ■自然酵母醗酵由来焙焼パン類■ ○古式丸パン科○ ▽【チグリス・ユーフラテス都市国家】 | ├─//→【ペルシア】・バルバリ bar bari ├─//→【小アジア】・エキメキ ekmek | 【エジプト】 ├・ビール酵母丸パン U ↓ ├・イースト丸パン 【ギリシア】 ├・小麦パン 【ローマ】 | 【中世期】 パン文化定着 | ├─【イベリア半島】──【南米】 | 【ルネサンス】 | 【大分裂】 カントリーブレッド(階級的) ↓ ナショナルブレッド ○減塩パン科○ | 【イタリア半島】 ├・[抜き型]ロゼッタ Rosetta └・[大型平板]フォッカッチャ Foccaccia ○岩塩硬質パン科○ | 【オーストリア】 ├・[巻き棒]ザルツシュタンゲン Salzstamgem └・[小丸]カイザーゼンメル Kaisersemmeln | 【ユダヤ系USA(N.Y.)】・ベーグル bagel ○硬皮パン科○ | 【フランス】 ├・丸パン属 田舎風 pain de campagne | ↓ ├・棒パン属 伝統型pain traditionnel | ├─【独】・[小麦オンリータイプ]Weizenbrot | 【アフリカ大陸】 ○箱型パン科○ | 【イギリス】 ├・上部膨張直方体箱型パン White bread ├・軟質円柱状パン English muffin 【北米(USA)】 └・完全方形箱型パン ○黒パン科○ | 【ドイツ】 ├・ライ麦長丸パン Roggenmischbrot ├・ライ麦雑穀箱型パン Roggen Follkorn Brot └・ライ麦高密度箱型パン Pumpernickel ○ロールパン科○ | 【デンマーク】 ├・ギフラ Gifler └・[リッチ化]デニッシュペストリー Danish ■半醗酵焙焼パン類■ ○平パン科○ ▽【チグリス・ユーフラテス都市国家】 | ├─【イタリア】・ピザ Pizza | 【ペルシア】 ├・ラバッシュ lavash ├・サンギャーギ └・[油脂塗]ナン naan | 【インド大陸】 | 【インド/スリランカ】・[ココナッツ系]ロティ ■非醗酵由来焙焼パン類■ ○薄パン科○ ▽【チグリス・ユーフラテス都市国家】 | ├【中東】[円形薄焼酵母入り] | ├・ピタ pita | ├・ホブズ khubz | | | └【ジャマイカ】・シリアン Syrian bread | ├─【エジプト】・シャミー schime ├─【エチオピア】・[イネ科]インジェラinjera | 【サラセン】・[ソバ:ble sarrasin)] | | | 【仏ブルターニュ】・[ソバ]ガレット | 【インド大陸北方高地】 └・チャパティ chapatis ■非醗酵由来蒸パン類■ ○蒸パン科○ ▽【チグリス・ユーフラテス都市国家】 | 【胡(遊牧系)】 | 【蒙古】 | ├─【満州】 | 【華北】・花巻、饅頭(中身無し) (インターネットリソーシス) 「パンの明治百年史」 刊行会 昭和45年 (WSJ記事) France's Bread Lovers Have A New Idea?and It's Half-Baked The Famously Crusty Baguette Goes Soft As Customers Demand a Doughier Loaf By David Marcelis Aug 21, 2013 文化論の目次へ>>> HOME>>> |
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