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「我的漢語」講座第23回 河西走廊[付録] 2010.11.20 |
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「西域−河西走廊−黄土高原」の話を、“敦煌[沙州]−酒泉[肅州] −張掖[甘州]−武威[涼州]−蘭州←・・・←西安[长安]”ルートを取り上げて素人話をしていたら、“丝绸之路”構想の記事が登場した。 中国(北京)−カザフ(アルマトゥィ)−キルギス(ビシュケク)−ウズベク(タシケント)−アフガン(カブール)−イラン(テヘラン)−トルコ(アンカラ)の大陸回廊である。漢語とは離れるが、ついでに解説しておこう。 → 「“シルクロード鉄道構想”浮上 中国とイランが主導」 産経新聞【上海=河崎真澄】 (2010.11.18)
つまらない話だが、ポイント・・・。 ・脱露(シベリア鉄道) ・イラン-中国連携 ・二重内陸国ウズベキスタン囲い込み ・不安定政権のキルギス経由 ・トルクメニスタンは除外 ・アフガニスタン鉄道敷設前提 ・モンゴルは考慮外 ・トルコ-イラン緊密化 ・太平洋直結化視野(北朝鮮) よくわかる動き。 要するに、上海合作组织(中,露,カザフ,キルギス,ダジク,ウズベク)が実体として現われてきたということ。 もともと、資源国である中央アジアの国々がCISの影響を弱めるために、エネルギー多消費国である中国主導の組織に加盟したようなもの。ただ、露はつけたしではなく、地域安全保障の軍事同盟化にはなくてはならない存在として入っているということだろう。 言うまでもないが、米国のオブザーバー参加は拒否され、モンゴル、イラン、印、パキスタンは承認されている。尚、アフガニスタンは客員。 この構想の焦点はウラン等の資源国のウズベクでは。 もちろん、天然ガスパイプラインの併設もありえないではないが、治安安定後の話だろう。 エネルギー不足が予想される中国にとって、資源の確保は解放軍関連ビジネスの至上命題でもあり、運送ルートの確保は緊要とされているのは間違いない。 それにしても鉄道を通すにしてもえらく厄介な地域である。 地形の問題もあるが、それよりはスターリンの後遺症が大きすぎる。鉄道を恣意的に各共和国をまたがるように敷設したからである。交通は軍事案件であり、共和国が手を出しにくくしたということ。 統治方法も過酷。各共和国の拠点都市にはロシア人を大挙移住させると同時に、一部民族を移動させ、民族団結を難しくさせた。しかも、各共和国の経済自立化を防ぐために単品産業化を強制したのである。 ウズベキスタンがトルクメニスタンの鉄道を利用したくないのは当然だろう。スターリン型国家は、弱みがあれば、すかさず搾取する体質だからだ。二重内陸国家から絞りとるだけ搾り取れ政策になるのは自然な話。 実際、鉄道路線も自国内で完結するように、ソ連時代のルートを変えたりしている。 もともと、帝政ロシアが米国南北戦争で綿花を輸入できなくなり、どうしてもここら辺りを支配する必要に迫られたりした訳で、今もって、大国の草刈場である。現時点は、中、露、イランの角逐と協調の地域になったというにすぎまい。(これは、武器取引の構図が大きく変わり、地殻変動が始まったということでもあろう。露にとってはイランは大きな輸出先になったが、中国は自国生産が可能となり露の大市場ではなくなってしまった。) ともあれ、この時代になっても、軍事独裁国家にとっては、鉄道は軍事上の最重要インフラである。そして、人と物資運搬をコントロールすることで支配力を高め、外交・内政の武器にする訳だ。従って、どの様に交通網を整備するか眺めていると、この先の軍事的な動きを読めることが多い。 ---ご参考までに、南の鉄路網もある。--- 香港−Hanoi−Ho-Chi-Minh−Bangkok−Yangong−Mandalay−【印Patna−Varanasi−Delhi】−Lahore−Multan−【イランZahedan−Tehran】 と言うことで、漢語と全く関係ない話になってしまったが、第二十三回はこれまで。 |
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