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「我的漢語」
2015年11月30日

關雎-ミサゴの番鳴く

「桃夭」[→]は漢文テキスト掲載詩なので頭の隅に叩き込まれているらしく、朧げではあるが記憶が蘇ってくるようで、今になって全文漢字で書けたりするから正直驚きである。今にして思えば、とんでもない教育を受けたものだ。なにせ、それは唐詩ではなく、詩経-國風-周南なのだから。超々古典作品だ。そんな詩が現代でも立派に通用するのだから恐れ入る。そこで、それ以外にどんなものがあるのか眺めてみたくなった。

周南は冒頭であり、そこには、關雎 葛覃 卷耳 樛木 螽斯 桃夭 兔 苡 漢廣 汝墳 麟之趾の11作品が収録されている。「桃夭」は5ッ目。
代表詩を採用するなら、先ずは「關雎」でなければ。それに、お洒落だし。
おそらく、古典詩解説本には必掲なのだろうが、生憎と、小生はその手の本を買ったことがないのでこの詩は全く知らなかった。無知をひけらかすつもりはないが。

「桃夭」は、"之子于歸"の読みになんとなく違和感を覚えるが、こちらは素直に入っていける。温泉に入る合間に、紹興酒五年の芳香を愉しみながら、勝手に翻訳。(お読みになる場合は私註を御覧になってからの方がよいかも。)

    「關雎」
 關關雎鳩、在河之洲。
  "關關"たる雎鳩は、黄河中州に在り。
 窈窕淑女、君子好逑。
  "窈窕"たる淑女は、君子好適な逑なり。

 參差菜、左右流之。
  "參差"たる菜は、左に右にと之を流す。
 窈窕淑女、寤寐求之。
  "窈窕"たる淑女は、寐ても寤ても之を希求す。
 求之不得、寤寐思服。
  之を求めるに得ざれば、寐ても寤ても思いに服す。
 悠哉悠哉、輾轉反側。
  「悠哉悠哉」、輾轉として反側す。

 參差菜、左右采之。
  "參差"たる菜は、左に右にと之 采るべし。
 窈窕淑女、琴瑟友之。
  "窈窕"たる淑女は、琴瑟にて之 友にすべし。
 參差菜、左右之。
  "參差"たる菜は、左に右にと之 らすべし。
 窈窕淑女、鍾鼓樂之。
  "窈窕"たる淑女は、鍾鼓にて之 楽しますべし。

【私註】以下、ウエブの辞書を参考にした註記。読み方を含め、勝手に変更しているのでご注意のほど。
  「關 雎クワンショ」="關"+雎

  "關 關クワンクワン"=のどかに鳴き合う声・・・"カン"は擬音として合わぬ.
  "窈 窕ヨウチョウ"=上品でしとやかな様子・・・これそ真の美しさ
  "參 差シンシ"=長さが入り混じる様子・・・"サンサ"は気にくわぬ.

  雎鳩ショキュウみさご・・・格別仲が良い夫婦の猛禽 (魚鷹/水沙子)[→]
  :伴侶・・・無関係だが,虞美人を想い.
  コウサイあさざ/浅沙("水生"菜の"花"蓴菜じゅんさい)
  寤寐ゴビ:目覚めている時と寝ている時
  輾轉テンテン:展転
  反側ハンソク:寝返りをうつ
  琴瑟キンシツ:2種の琴だが、仲睦まじき夫婦の例え
  鍾鼓ショウコ:もちろんカネとタイコ・・・"どんじゃらほい"で祝宴

  る:指で採る.・・・宴卓に供してもてなすべし.
  はびこらす:蔓延びて水面を覆う状態に

  「悠哉はるかなるかな」:悠遊でなく、静かに悠乎の意

  周南:周(東)王朝直接統治地区[洛陽,偃師,鞏縣,温縣,沁陽,濟源,孟津,等]

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