■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[1b釋詁]■■■
「爾雅」冒頭巻はいかにも辞書。
しかし、"安"文字を例にとって眺めると、そうとは思えない。
「古事記」では、固有名詞の音表記以外では、安置と安平の2語彙が使われているが、見ただけで意味は想定できるが、もし何の知識もなかったら、「說文解字」の安=靜との表示とは違って、「爾雅」から推定するのはかなり難しい。

・・・現代辞書的に記載すると、その辺りが実感できると思うが、かなりバラけた意義の併記になってしまい、どれに当たるのかの判定はそう簡単ではない。
その上、漢語は形容詞・名詞・動詞の表記/表音上の区別が全く無いので、そこらまで細かく記載でもしようならとんでもない数の意義を並べざるを得なくなる。そのどれに当たるかなど考えていたら時間ばかりかかってほとんど実用性ゼロ。

そこらの特質を釋詁が示していると云ってもよいのかも。字義で分別すると、4つの概念が存在しており、その原義はこの4つの重なり合った辺りということになるのだろう。
@豫[象之大者][願詞][車中把][n.a.][木曲直]
       …【[靜]
A貉 嗼
       …【定[安]
B妥
       …【坐[止]
C訖 徽 妥 懷 按 替 戾 底 厎 尼 定 曷 遏
       …【止[下基]

国語辞典風に以下の様ににまとめたとしても、上記の4つに当て嵌まる解説になっているとは思えない。釋詁はそう簡単に読める手の書ではないことがわかる。
客観的状況判定calm系
 安穩stable
 安定tranquil
 安全safe
主観的影響評価secure系
 安於accustomed to do
 安心not worry about
心情comfortable系
 安逸at ease
動詞的fix系
 停止stop
 徐緩unhurried
 安置place
 安装install
文章用文字
 疑問代詞 "how"(≒如何) "where"(≒何處) "what"  "who"
 連詞 "so"(≒於是)
量詞@広東ounce
(⇒固有名称化)
疑似音素表記 ān(⇒翻訳語)

A=B型で字義を表記している以上、理解するのは簡単ではないということで〆れば、単純であるが、そこから一歩も進まなくなる。
「說文解字」 安:静  (靜:審)
倓 侳 億 預 寍 定 宓 宴 聑 妟 撫 坦
:古通用

𧾚 徐
步㢟㢟
:尤
身之坐者

:所
:亭

:不
𦨉:船行不
𦤙:𣙗𦤙不
  

     

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