■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[1o釋詁]■■■
"悅 懌 愉"はbe pleased、さらに"賓"を(pleasant )guestと見なすと、まとまったイメージを想い浮かべることができそうだが、これに釋や協を加えると途端に瓦解してしまう。通例clothesとして使用する【服】も、衷心信服といった用法はあるものの、このイメージの類縁語義が存在している様には見えない。しかも、「說文解字」の字義は"用"だし、字形も、月⇒舟だから、ほとんどなにがなにやらの世界。
しかし、この辺りの状況こそ、漢語の特徴と言えそう。
漢語は、１文字の音(複数音素)がママ意味を有する単語で、この単語には品詞上の区別はない。その意味にしてもイメージ的な曖昧性を容認しているため、際限なき多義化の可能性があり、核となる字義の確定は極めて難しい。
その実情を"釋"で見ておこう。・・・
≪釋≫：解也 取其分別物也＠「說文解字」
[字体] 釆[辨別]+睪[目視(橫目+幸) 令吏將目捕罪人]
[用例＠ 「詩經」大雅 生民之什 生民] 釋之叟叟 烝之浮浮 …淅米[朱熹の解説]
[Mandarin音]shì
[漢音]セキ
(エキ)
[呉音]シャク
(ヤク)
(シャ)…釋迦牟尼[佛教始祖] "Sakyamuni"
[訓](他動詞)
と-く…注釋/義解 explain ≠譯/訳 interprete (說[說 釋])
→釋明/辯解(言い訳をする) excuse
と-かす…稀釋 dilute
→釋然(疑問が溶解する) ≒消散 relieved
ゆる-す…釋放 release
す-てる…釋甲(甲を脱ぎ捨てる) ≒脱下 throw off
→釋巻 stop reading
お-く…釋奠 ceremony honouring Confucius[置祭(儒教)]
従って、こうなる。・・・
[推定原義]頭のなかでときほぐす行為
[仮借的類縁文字]
譯[傳譯四夷之言]
解[判]/觧[n.a.]
注[灌(水をそそぐ)] 註[n.a.(対象が"言葉")] 箋[表識書]
疏[通] 稀[䟽] 翼(＝翄)
⏩続
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