■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[7c釋樂]■■■
釋樂の解釈を眺めると、どうもしっくりこない箇所があるので、そこは参考にしないことにした。
"<徒>歌"との記述は、"<単なる>歌[n.]"ではなく、S+V型ではないかと感じたから。
「說文解字」では、記載文字が2つの部に渡る場合があり、同じ情景から発生した文字であるものの、コンセプトは違うということでの記載と見るのが自然。
当然品詞も異なってくる。そういうことで、検討。・・・
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@徒手[原義]empty→白白mere simple→僅僅only[ad.]
     ├→(空的)徒手
     步行go on foot;[v.]→兵卒 or 門人clique
         →官僚差配下の部屬役人"小師"pupil[n.]
      ref.我徒我御 我師我旅[「詩經」小雅 魚藻之什 黍苗]
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徒鼓瑟謂之歩  …"徒が瑟を鼓する"ことを"步"と謂う。
[原義]n.a.
𨑒:步行
 <鼓>
 鼓:郭 春分之音 萬物郭皮甲而出 故謂之鼓
 鼓:擊[v.] …奏法
 <瑟>[絲楽器]
  <鼓瑟>
   ref.鼓鍾欽欽 鼓瑟鼓琴 笙磬同音[「詩經」小雅 谷風之什 鼓鍾]
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徒吹謂之和
[原義]相い応える(義の制約@軍門)→和声harmonious
 和:相譍
 笙:小者謂之和
 調:和
 韻:和
 龤:樂和龤
   ref.掌六樂聲音之節與其和[「周禮」春官宗伯 第三 小師之職]
   ref.遂以狩田 以旌為左右和之門 群吏各帥其車徒以敘和出
       左右陳車徒・・・
[「周禮」夏官司馬 第四 大司馬之職]
 <吹>
   ≪口≫吹:=噓
   ≪欠≫吹:出气[v.] =欨
   ref.伯氏吹壎 仲氏吹篪[「詩經」小雅 節南山之什 何人斯]
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徒歌謂之謠
[原義]n.a.→伴奏無しの歌→ folk song
[原義]徒歌(身体から発する言)
   ref.心之憂矣 我歌且謠[「詩經」國風 魏風 園有桃]
 <歌>   [注意]"歌聲"という用法は疏の類での用例のようだ。
   歌:詠[v.] =歈
   哥:聲 古文以爲謌字
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徒撃鼓謂之咢
[原義]譁訟→驚かされるほどの喧しさ
   ref.嘉殽脾臄 或歌或咢[「詩經」大雅 生民之什 行葦]
 <擊>
   擊:攴[v.] =摽 挌 打
 <鼓>[革楽器]
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徒鼓鐘謂之修
[原義]修飾→修理→修立→修禮樂(鐘鼓)
 <鼓>[v.]
 <鐘>[金楽器]
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徒鼓磬謂之寋  …一般には"単独"擊磬との解釈。
[原義]n.a.
 <鼓>[v.]
 <磬>[石楽器]
・・・6つの徒をすべて"単独"と解釈すれば、徒吹は木管吹奏楽器の独奏ということになるが、和声的効果が発揮できるかはなはだ疑問。(多)鐘楽器独奏についても、"修"とは、極めて熟達が必要であることを意味していると思うが、ハイライトを与える先は楽器ではなく、演奏者と違うか。
  

     

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