■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[8c釋天]■■■
釋天巻末は<━━旌旃>で〆となる。
タイトルとはそぐわない感じがするが、空にはためく風景を想像すれば大陸的な美ということで、わからないこともない。
現代人からすれば、ここらは本来的には「說文解字」の指摘の凄さに感服仕り候の箇所である。
<旌><旃>は≪[旌旗之游(吹き流し) 㫃蹇之皃(形象)]部の所属文字だからだ。現代漢和辞典流に言えば、≪方+𠂉≫を部首にしていることになる。名付けるなら≪≫部となろう。
  <【幡】のぼり 【常】はた(黄龍 日月)>の類
そして、「爾雅」釋天とは違い、以下の文字が≪≫部の最後にあるので唸らされる訳である。なんだ、そういうことだったのか、と。・・・
  旅:軍之五百人爲旅
  族:矢鋒 束之族族

「爾雅」<旌旃>と「說文解字」≪≫の始めの項は同じ文字。9旗ありそうなものだが。
①緇廣充幅 長尋曰:旐
 :龜蛇四游 以象營室 游游而長
  長が先導…亀・蛇を描いた全幅で長い旗(黒色)
②繼旐曰:旆
 :繼旐之旗 沛然而垂
  軍の先頭標識…縁飾して裂けた尾の体裁の旗(黒色)
③注旄首曰:旌
 :游車載旌 析羽注旄首 所以精進士卒
  五采の羽飾り (旄:幢)
④有鈴曰:旂
 :旗有衆鈴 以令衆
⑤錯革鳥曰:旟
 :錯革畫鳥其上 所以進士衆 旟旟衆
⑥因章曰:旃
 :旗曲柄 所以旃表士衆
  士衆を招集…柄の上端を曲げて吊り下げた旗(赤色)
━━旌旃
⑦旌
 :游車載旌 析羽注旄首 所以精進士卒
  天子が游車で士気を鼓舞…先端に牛尾(旄) 羽毛(五色)を垂らした旗

「說文解字」の代表は<旌旗>。
 幢 幟…所属文字
 㫍[流][旚繇] 𣄠[飛揚皃][流][披靡][指麾 (周旋)]
[ref. 典型的詩作]
孑孑干旄 在浚之郊 素絲紕之 良馬四之 彼姝者子 何以畀之
孑孑干旟 在浚之都 素絲組之 良馬五之 彼姝者子 何以予之
孑孑干旌 在浚之城 素絲祝之 良馬六之 彼姝者子 何以告之

     [「詩經」國風 鄘風 干旄]
織文鳥章 白斾央央[「詩經」小雅 南有嘉魚之什 六月]
我出我車 于彼郊矣 設此旐矣 建彼旄矣[「詩經」小雅 鹿鳴之什 出車]
旐維旟矣 大人占之[「詩經」小雅 鴻鴈之什 無羊]
其旂茷茷 鸞聲噦噦[「詩經」魯頌 駉之什 泮水]

尚、上記<旌旃>の直前の記載箇所は錦地旗竿の規定だろうが、読むのに「說文解字」を辞書的に用いてもさっぱり埒が明かない。≪糸≫部所属文字が多い位がわかる程度。・・・
:白緻潤@紈:素
:襄邑織文
:繆
:牀前木
 纁:淺絳
 帛
 縿:旌旗之斿

(n.a.) ⇒升:十龠
:炊餔疾也
(n.a.) ⇒亏:於
縿
 練:湅
 旒(n.a.)
 九:陽之變
:㕞
(n.a.) ⇒㠯:用
:綬屬 其小者以爲冕纓
 維:車蓋維
 以
 縷:綫
:帛K色
:殿之大屋
:長 高 諱F充
:布帛廣
  

     

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