![]() ![]() ■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[8j釋天]■■■ 小生の色彩感覚での春夏秋冬が、五行観念とは違うのは当然だが、それだけではない。 それでは、順に。・・・ ❶【蒼blue→昊vast→旻compassion→上upwards】 春蒼天 夏昊天 秋旻天 冬上天 この表記の意味していることは、詩作ではこうした用語を用いるのが望ましいという御触れ。春夏秋冬という極めて通俗的かつ直接的表現は避けよということ。 悠悠蒼天 此何人哉! [「詩經」國風 王風 黍離] 昊天不傭 降此鞠訩 昊天不惠 降此大戾 [「詩經」小雅 節南山之什 節南山] 旻天疾威 敷于下土 謀猶回遹 何日斯沮? [「詩經」小雅 節南山之什 小旻] 明明上天 照臨下土 我征徂西 至于艽野 [「詩經」小雅 谷風之什 小明] 要するに「爾雅」とは、王朝生活上詩作能力は必須であり、それには雅語使用、經典引用、比喩や言い換えの能力を磨かねばならないとのお達し。 そんなことは、眺め始めればイの一番に気付く筈。わざわざ連語も使えるように、ご指導頂く訳で。・・・ 【始】 於我乎 夏屋渠渠 今也每食無餘 于嗟乎!不承{權輿} 於我乎 每食四簋 今也每食不飽 于嗟乎!不承{權輿} [「詩經」國風 秦風 權輿] 【壽】 公車千乘 朱英阪w 二矛重弓 公徒三萬 貝冑朱綅 烝徒曉 戎狄是膺 荊舒是懲 則莫我敢承 俾爾昌而熾 俾爾壽而富 {黃髮}台背 壽胥與試 俾爾昌而大 俾爾耆而艾 萬有千歲 眉壽無有害 [「詩經」魯頌 駉之什 閟宮] こんなものを五万と丸暗記するなど、"たまったものではない。"と感じる御仁は、儒教世界に棲めないというか、ヒトらしき文化生活は送れない。「爾雅」は暗記すべきアンチョコそのもの。それだけの話。(暗記もできない輩はヒトとはみなされない。間違えてはこまるが、紙の普及前のこと。普及後の唐代になると、俺様は"下卑たヒト"で結構との若きアウトローが市場界隈を闊歩していたことが、当代筆頭の知識人がその姿を描いていることでよくわかる。当たり前だが、上流階級のはみだし狼藉者である。) 次はよく知られる。中央の"黃"は欠いているものの。 ❷【五行-色】 春陽 夏朱明 秋白藏 冬玄英 <春 夏朱 秋白 冬玄>というに過ぎないが、小生は違和感を抱く。漢語での字義的分類観は概ね非論理的で独特な易的見方に基づいているから、読むのは難しいとはいえ、視点がバラバラ過ぎる。 芽吹き色、太陽光燦々色、との環境読みで来れば、常識的には、枯れ葉色、一面の光反射の雪色というのが倭的な見方。この感興あってこその文芸と思うが「爾雅」はそれを許容しない。結局のところ、白色が婚姻イメージではなく、葬儀色だから、秋色に当てられて、冥界的に暗いものの新しい世代を生み出す壽的色としてのK色玄が冬となったのだろうという程度の解釈しかできそうにない。 さらに分からぬのが、<春陽 夏明 秋蔵 冬英>。陽-明 蔵-英という組なのだろうが、現代常識的には冬<蔵>だろう。どうして<英>を用いるのか、はなはだ理解し難いところ。・・・そういうことを考えずにともあれ丸暗記して、思い付き的な理屈の後付けで大いに満足するのが正当な姿勢ではあろうが。 但し、小生は、この五行色彩観は四季感覚とは無縁と見ている。中華帝国の四方位観の色をご都合主義的に四時に使用したと考える。(異端的な見方なのでご注意のほど。) ❸【農歴】 春發生 夏長嬴 秋收成 冬安寧 <春生 夏長 秋收 冬_(蔵)>と見るが、上述の【五行-色】で"蔵"を使っているのでそれを避けると多分に変則的にならざるを得まい。 発生→成長となるべきところ、季節感にそぐわぬ文字が入ってくる。しかも、それは少昊氏らしいが、建国上で青陽氏とも呼ばれている帝。それなら春では。しかも、後世、秋をつかさどる神とされている。さらに、名は"玄"囂。そうなると、単に昊天の言い換え先を探してご都合主義的に当て嵌めたと言わざるを得ないが、一般には金(徳白)天と呼ばれている。一体、どうなっているのだ。 ≪女≫嬴:少昊氏之姓 …嬴土之国(肥沃的)@「山海經」大荒東經 ≪羊≫羸 ≪貝≫贏 ≪魚≫𩼊 ≪鳥≫鸁 ≪土≫𡑤 ≪立≫䇔 ≪角≫𬢙 ≪金≫𨭞 ≪口≫吂 ≪⺼≫ {凡}𣎆 {卂}𦝠 {丮}𦟀:(或曰)嘼名 以下は再記載。 ❹【獵 hunt】 春蒐 夏苗(𤝗) 秋獵/獮 冬狩 ❺【祭 feast(not festival)】 春祠 夏礿 秋嘗 冬蒸 「禮記」王制 天子諸侯宗廟之祭春礿 夏禘(始祖祭祀) 秋嘗 冬蒸 「春秋公羊傳」桓公八年春祠 夏礿 秋嘗 冬蒸 ⏩続 ![]() (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |