■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[9a釋地]■■■
東西南北とはユニバーサルに通用する概念だが、中央が設定されていないと、相対的な位置関係を示すだけなので、客観的に映る表現だが、用法上は極めて主観的。
中央に黄色を設定して、初めて、中華帝国全体の東西南北観が生まれる仕組み。(尚、「山海經」の地誌解明を避けるのは、四方の山々の配置が見えてしまうと、中央の位置がわかってしまうからでもある。)
それにしても、この優れた色彩設定には、驚かされる。現代人は黄土しか頭にないからイメージとして捉えがちだが、事実に基づく見解そのものだから。(倭国の地質の年代・性状バラエティは半端なく、大陸のこうした大雑把な見方は理解できなかっただろう。)・・・
 青緑色湿地土地帯
 西灰色乾燥土地帯
 赤色酸化金属土地帯
 黒色炭化土地帯
 黄色黄土地帯

「爾雅」の東西南北は色の設定はされていないから、中原を中央とするとの暗黙の了解のもとに設定されている訳だが、中味は極めて通俗的。
9876の次が5432であり、中央が1と示唆されている様な書き方。「山海經」に始まる東西南北書のリングセット構造を模した地誌ということになろう。荒(怪)⇒海(未開)⇒"人住居地"@九州(儒教圏)との見方。要するに、儒教感化による中華圏拡大の理念をわかり易く表現しただけで、国名や地名に意味がある訳ではなかろう。
【四極I】…極遠之地
 至靯泰遠
      🈖…{釋山}東嶽泰山を越えた地
 西至於邠國
      🈖…[周太王國 在右扶風美陽]@陝西西安府
 至於濮チ
      🈖…[水⊂出東郡濮陽 南入鉅野]@河南濮陽(百濮の地)
 至於祝栗
      🈖…祝國(栗⇒)粟{殷代以前}
【四荒】
 觚竹
      🈖…孤竹國/竹侯@河北省唐山市:殷代辺境
 北戸
      🈖…嶺南地域("南尽北戸")
 西西王母
      🈖…西王母之山 沃沃之野の民
 日下
      🈖…太陽出処(日下)@東海
【四海】…九州外の海産物献納国
  九夷[東方之人 "平"]
  八狄[言淫辟 "赤狄 本犬種"]
  西七戎[兵]
  六蠻[六蠻南蠻 蛇穜]
【四極II】
 岠齊州以
   戴日爲  丹穴
      🈖…[巴越之赤石]丹穴山(金 玉 鳳凰)出丹水
   戴斗極爲 空桐
      🈖…梁国虞縣空桐[榮]
   至日所出爲大平
      🈖…[平舒]
   西至日所入爲大蒙
      🈖…妃の国(日落処王女)
     大平之人
     丹穴之人
     西大蒙之人
     空桐之人
・・・この4ヶ所に特段の意味がある訳ではない。選ばれた後に、理屈をつけるのであって、逆ではない。儒教のヒエラルキーとはそういうもので、天子の意向を忖度して官僚が定める仕組み。
  丹穴 太蒙 反踵 空同 大夏 北戶 奇肱 脩股 之民
    是非各異 習俗相反 君臣上下 夫婦父子 有以相使也

     [「淮南子」巻十三氾論訓]
  

     

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