■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[9aaa釋地]■■■
「說文解字」の数字系譜からすると、<方>は、二方(⇔)・三方(△)が基本で、二方x2の四方(□)と八方(🛑)がさらなる空間感を与えるが、すべてを表すための一文字用語としては九方と十方。このため、五方(⬠)の位置はどうしても外れてしまう。
にもかかわらず、重視するなら、なんらかの意義が必要であり、それを欠くなら、強制的に普及させられた創作概念と見るしかなかろう。表記も<方>とするのは釈然とはしないから、"行"に換えるしかあるまい。
  ┌────
─┼─
  └─h─┬─
      └─────────

これに気付くと、「爾雅」の<四海>記述での"夷狄戎蛮"は愉快。もっとも、そんなことに関係なく、字義を含めた真面目な通説的解釈でも十分面白い。従って、そこらでお茶を濁してもよいのだが。

<四海>とは4方の極地のさらなる遠方を意味しており、そこは夷狄のバラバラな部族が乱立している世界。その数たるやまさに6789との調子の記述。
ところが、この数字、「周禮」の意向#を無視している。<五行>的記載はどこにもないものの、意識して数字5を避けた可能性もある。それに、五畜ではなくわざわざ六畜だし。(当たり前だが、殷も夏も土着ではなく、大移動部族で、もともとは夷狄戎蛮に該当。それが周代に入り、政治的に閉鎖的部族主義からの脱皮が始まった訳で、それ以後、夷狄戎蛮の意味が変わったことになる。国号+爵(王 公 侯 伯 子 男)制度への転換を通じて、擬制の漢文字民族概念を生み出すことに成功したと言えよう。部族長が宗族長に変ったということでもある。)
#職方氏:掌天下之圖 以掌天下之地 辨其邦國 都鄙 四夷 八蠻 七閩 九貉 五戎 六狄之人民 與其財用 九穀 六畜之數要 周知其利害 [「周禮」夏官司馬]


③一〜三染 一〜三歳 一〜三成/生
四方 四時 四氣 四時 四極 四荒【四海#】四瀆
     二足・四足  言四宿
五方(四方中國之異氣) 五穀# 天下有名丘五 五采  "五行"
⓺【四海-六蠻】六畜
⓻【四海-七戎
❽八陵【四海-八狄】  "八方" "八風"
❾一〜九[馗] 九州 九府【四海-九夷】九河
     九罭 素陞齌于縿 練旒九 瓝 九葉
          {🈚九疇} {🈚九服}*
   挑兮"達"兮 在城闕兮 一日不見 如三月兮 [「詩經」國風鄭風 子衿]
   *乃辨九服之邦國 方千里曰王畿 其外方五百里曰侯服 又其外方五百里曰甸服 又其外方五百里曰男服 又其外方五百里曰采服 又其外方五百里曰衛服 又其外方五百里曰蠻服 又其外方五百里曰夷服 又其外方五百里曰鎮服 又其外方五百里曰藩服 [「周禮」夏官司馬]
❿一〜十 十藪  {🈚十干}
     玉十謂之區
 一・十・百羽
⓬一〜十二  {🈚十二支}

部族主義の考え方はご自分の頭で整理しておいた方がよい。…部族勢力には国家観は無く、長の意向とその宗教観に合わせて社会生活を営んでいるに過ぎない。聖書とは部族宗教の経典。部族主義から脱皮したのがキリスト教だが、イスラム教は部族勢力温存主義ということになろう。言うまでもないが、部族集合国家に普通選挙的民主主義を持ち込んでも何の意義もない。
どう見ても、基本は4であって5の訳がなかろう。四方あるいは四時[四季]に加えるなら、天と地で6にするのが普通の考えだと思う。釋天-祭名では、四時+天地があって、さらに、山川星風が付随するので、都合10。・・・四時に分けのわからぬ概念名称を加えて五時としても、なんらの違和感も抱かないだけでなく、素晴らしい見解と大合唱し、賛美するのが儒教型官僚制国家の特徴。別段、驚くべきことは何もない。
  

     

 (C) 2025 RandDManagement.com  →HOME