![]() ![]() ■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[9aaax釋地]■■■ 四方プラス1方を進めること自体はなんらおかしなことでは無いが、そのコンセプトを用いて、四季に突然に1季を加えて五季とするのはかなりの無理筋。 五行とはその類の思弁的創造で成り立っていることがよくわかる。 天子が白とみなすなら、Kを白とせざるを得ない社会ならでは。 しかし、儒教ベースの天子独裁-官僚統治国家である以上、そうした事実上の強制は嫌われるどころか大歓迎されるのが普通。当たり前だが、黒猫と白猫のどちらだろうが、利が妨害されないなら、天子の言う通り。 もちろん、これが面白くない知識人もいよう。しかし、反社会的思想を振り撒いていると見なされれかねないから、それを口にするのは馬鹿者だけだろう。 と言うことで、ここらについて少々補足しておくことにした。 先ず、結論から・・・。<五行>とは輸入コンセプト。 「爾雅」に五行観などないから†、中原の王朝言語にその発想は入っていなかった訳で。 このことは、"素晴らしき"思想の存在を知って、突然、それを思想基盤に取り入れることに決定したことになる。 一旦、それが固まれば、官僚間の権力闘争は熾烈なので、一気に内容が濃くなっていくことになる。・・・中原とは、そういう地。一歩そこから出ると、完璧な部族社会だった筈。そこでは私有財産という考え方がある筈もなく、交易というコンセプトさえ生まれていなかったと考えるべき。もちろん部族間戦乱が日常の世界。 そのなかで、中原は、四方からヒト・モノ・情報が集まってくる地として頭角を現した訳だ。 それは、地理的必然性もあるものの、部族勢力をバラバラと抱えながら、いち早く脱部族の統治の仕組みを作り上げたからでもある。部族宗教を棄てさせ、婚姻禁忌がある男系の宗族信仰に替えることに成功したからこそ、部族勢力が征服王朝に取り込まれてしまう結果につながったとも言えよう。 これが<五方>感覚に繋がっていると見る。 そう考えるなら、漢字でさえも、輸入品ということになろう。それを上手に利用することを王朝官僚が思いついたと考えるのが一番自然。(この取り込みこそ、科挙的官僚制発足の原動力。・・・文字を駆使した、膨大な知識量を誇り、抜群の情報収集能力が飛びぬけていて、既知の分析方法を駆使することに長けた、超能才を集め、王朝の政治経済的機能を高めるのは理にかなっている訳で。ただ、これは"利に聡い"模倣的取り込みの仕組みでしかなく、創造力とは無縁な活動。思想を生み出すのではなく、上手な解釈で、王朝体制を揺るぎなきものにすることこそが肝。) 要するに、五行が設定されれば、一気にそれを活用した様々な動きが生まれることになる。 (「說文解字」の六書分類の解説や、「爾雅」の配列方針でわかるが、レベル同一性、網羅性、論理性を勘案する必要は無い。従って、その本質は心象風景的分類論。換言すれば、解釈はいかようにも可能。そのかわり、一旦、政治的に認知されれば社会的に絶対視される見方になることができる。と言うか、儒教国家の民にとっては、上も下も、余計なことを考えなくて済むので、それが一番心地良い訳で。) <火水木金土>というコンセプトの大元は、天竺〜ギリシアでの宇宙根源論。四元素説といった難しい話を持ち出さなくとも、仏教国で生活していれば、なんとなしに頭に入っている程度のもの。 要するに、宇宙が物質から成るという当たり前の自然観をコンセプト化して、空気・水・火・土と表現した思想を導入しただけ。(空気は近代の概念と混交しがちだから、感覚上は風とした方がよい。陰陽とはもともと無関係だが、dry-wet/hot-cold的な2x2流の様々な解釈が生まれるのは当然の流れ。) これに5番目の魂的な項目が入ると完成形となる。 (<五行>では風は無い。木と、土の派生と言わざるを得ない金が加わる。) ここらは後世の五輪塔でわかるが、視覚的思弁が威力を発揮してきた領域でもある。例えば、基本は四方(正□六面体)だが、究極は五方(正⬠12面体)といった解釈がなされる。付随的に正△面の4・8・20面体があり、都合5種との、美しい理論なるものが作られることになる。 ここらは<五行>の"解釈"でしかなく、どう説こうが自由自在の世界。儒教型官僚(学者)の腕の見せ所。 †「爾雅」の動物分類篇は、蟲-魚-鳥-獣(-畜)。後世、磨き上げられて基本思想の地位を確立した「五行」の分類観とは不一致。 (鳳@鳥、麟[非収録]、龜@魚、龍[非収録]) 羽蟲--鳳 毛蟲--麟 甲蟲--龜 鱗蟲--龍 倮蟲--人 [「孔子家語」卷六 執轡第二十五] 毛虫西方 羽虫南方 甲虫北方 鱗虫東方 倮虫中央 [「五行大義」卷五 第二十四論禽蟲 第一者論五靈] (・・・蛙や鰻は裸蟲なのか、貝はどの蟲か、爬虫類と魚類は同属か、という当たり前に発生する質問はしてはいけないことになっているが、そんなことなど気付かなかったとの振りをするしかないのが儒教社会である。もちろん、非儒教社会でも、儒教社会礼賛所が少なくない場合は、身を護るために同様な対処が必要だろう。) 動物分類を胎生 卵生 湿生 化生の「四生」として体系化しているのは、儒学者貝原益軒が実証的博物学として著した「大和本草」@1709年。これは現代的には非科学の極みだが、方法論的には科学。これを植物に援用できるとする論法も難ありではあるものの、五行に当て嵌めるための解釈とは違い、生物としての両者の相動性を議論するスタイル。 尚、「說文解字」では、虫と風が系譜的に繋がっていると示唆していそう。・・・ 一1丄示三王玉玨气士 │h屮艸蓐茻 ││ │▲小2八釆半牛犛告 │口凵吅哭走止癶步此正是辵彳廴㢟行齒牙足疋品龠冊 │├─┬───┐ │▲㗊3 │__▲舌干𧮫只㕯句 丩古十卅言 │___誩音䇂丵菐𠬞𠬜共異舁𦥑䢅爨革鬲䰜爪丮鬥 │___又𠂇史支𦘒聿畫隶臤臣殳殺𠘧寸皮㼱 │攴教卜用爻㸚 ││__│ │ │▲𡕥4目䀠眉盾自𪞶鼻皕習羽隹奞雈𦫳𥄕羊羴瞿雔雥鳥烏𠦒冓幺𢆶叀玄予放𠬪𣦼歺 │死冎骨肉 ││筋 │││刀刃㓞丯耒 │││││ │ │││▲角5 ││▲竹箕丌 ││ ▲左工㠭巫 ││_____│ ││_____▲甘曰乃丂可兮号亏旨 ││_____喜壴鼓豈豆豊豐䖒虍虎虤皿𠙴去血丶丹青井 ││_____皀鬯食亼會倉入缶矢高冂𩫖京亯㫗㐭嗇來麥夊舛舜韋弟夂久 ││桀 │││ ││木6 ││├─┐ ││東林才叒之帀出𣎵生乇𠂹𠌶華𥝌稽巢桼束㯻囗員貝邑𨛜 │││_│ ││▲日7旦倝㫃冥晶月有朙囧夕多毌 ││__▲𢎘𣐺𠧪齊朿片鼎克彔禾秝黍香米毇臼凶 ││__朩𣏟麻尗耑韭瓜瓠宀宮呂穴㝱疒冖𠔼冃㒳网襾巾巿帛白㡀黹 ││ │人8𠤎匕从比北丘㐺𡈼重臥身㐆衣裘老毛毳尸尺尾履舟方儿兄兂皃𠑹先禿見覞欠㱃 │└┬─┐ │┌──── │㳄旡頁 │││_│ ││▲𦣻9面丏首𥄉須彡彣文髟 ││┌_│ │││_▲后司卮卩印色𠨍辟勹包茍鬼甶厶嵬山屾屵广厂丸危石長勿冄而 ││豕㣇彑豚豸𤉡易象 │││ ││▲馬10𢊁鹿麤㲋兔萈犬㹜鼠能 ││_熊火炎K囪焱炙赤大亦夨夭交尣壺壹㚔奢亢夲夰亣夫立竝囟思心惢 ││ │▲水11沝瀕𡿨巜川泉灥永𠂢谷仌雨雲魚𩺰燕龍 │飛 ││非卂 │││ │▲𠃉12不至西鹵鹽 │_▲戶門耳𦣞手𠦬女毋民丿𠂆乁氏氐戈戉我亅珡乚亡匸匚曲甾瓦弓弜弦 │系 ││ │▲糸13素絲率虫䖵蟲風它龜黽卵 二 │土垚堇里田畕黃男力 ││ │▲金14幵勺几且斤斗矛車𠂤𨸏𨺅厽 ▲四宁叕亞五六七九禸嘼甲乙丙丁戊己巴庚辛辡壬癸子了孨𠫓丑寅卯辰巳午未申酉酋戌亥 ⏩続 ![]() (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |