■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[9d釋地]■■■
釋地の【九府】【五方】の記載パターンはココだけに限られる。"焉"は他篇では全く用いられていない。・・・
 東方美者 醫無閭c玗h
 東南美者 會稽竹箭
 南方美者 梁山犀象
 西南美者 華山金石
 西方美者 霍山多珠玉
 西北美者 崑崙虚璆琳琅玕
 北方美者 幽都筋角
 東北美者 斥山文皮
 中岱岳 與其五穀 魚 鹽生 ━━九府
 東方比目魚 不比不行 其名謂之
 南方比翼鳥 不比不飛 其名謂之鶼鶼
 西方比肩獸 與邛邛岠虚比 P邛邛岠虚 齧甘草 卽有難
  邛邛岠虚負而走 其名謂之
 北方比肩民 迭食而迭望
 中枳首蛇…【此四方中國異氣】 ━━五方
強調の置字ということで通り過ぎるところなれど、「說文解字」がそれを引き留める。

≫焉:焉鳥 黃色 出於江淮…黃鸝の亜種
明らかに部首文字だが、項目を立てていないのは、総数を540に抑えるために外されたことを意味していそう。
  ≪≫蔫:菸
  ≪≫鄢:南郡縣 孝惠三年改名宜城
  ≪≫傿:引爲賈
  ≪≫漹:水⊂出西河中陽北沙 南入河
  ≪≫嫣:長皃
  ≪非収録≫嘕 墕 漹 㥼 㯊 篶 䗡
言うまでもないが羽蟲類としての用例がある訳ではない。
  ---用例---
 焉得諼草 言樹之背 願言思伯 使我心痗
   [「詩經」國風 衞風 伯兮]
 出自北門 憂心殷殷 終窶且貧 莫知我艱 已焉哉 天實為之 謂之何哉
   [「詩經」國風 邶風 北門]
正確に訳すのは骨だが、意味するところはだいたいわかる。
従って、どうして、原義が特定地域の鳥でしかないのに、その様な字義が発生するのか、色々と考えさせられる。(e.g. 呪的に用いる鳥の象形で、そのゆえに疑問詞にも用いるのであろう。@「字通」)

しかし、参考にと思って辞書を眺めても、定番的解説がさっぱり見当たらない。その上、適応対象がかなり広いことが分かって来るので、厄介極まりないこと夥し。("安 烏 惡 於 于"は声が近く通用する。@「字通」)
・・・一体全体、この<黄色の烏@江淮>はどういう位置付けだったのだろうか。
代詞
    指示≒之 or 這this
      ≒他 她 or 它him/her/it
         ("ここに" 心不在焉)
    疑問where/what/which
         ("いずくんぞ" 不入虎穴 焉得虎児)
副詞[豈 如何]how
介詞≒於 於是 於此 or 于是so/in
連詞≒乃 or 則then
助詞@文/句末尾
    語気[肯定]≒也 or 矣
    語気[疑問]≒耶 or 嗎
    語気[感嘆]≒啊 or 呢
接尾辞@形容詞/副詞≒然 or 様子
名詞[姓名]

・・・フィクション作りにはいたって面白い題材である。
小生なら、初期倭語の"あ"とはこの黄色烏のことで、"う"とは黒色烏とする。両者は昼担当と夜担当の太陽運搬鳥。もちろん、一般身分の烏は、ヒトの生と死に関係する魂を移送する役割を担う。その後、この信仰は捨て去られたので、鳥名としては、アトリ/燕雀とウ/海鵜に変わる。前者は天上との昇降行為者で、後者は海の彼方との往来行為者ということになる。
  

     

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