■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[9e釋地]■■■
釋地の【九府】一文で用いられている文字<醫>について。
 東方美者 醫無閭c玗h
   …医巫閭山は幽州の鎮山。顓頊を意味している。
「爾雅」収録の医系統文字はこの1字のみ。地名なので、避けられなかったと見える。
≪匸≫:盛弓弩矢器  ≪殳≫:擊中聲  ≪酉≫:治病工
些末な話に過ぎないが、「說文解字」の見方では≪匸≫⇔≪匚≫であって、そこにはよくわからない文字が含まれている。・・・
≪匚≫:似羹魁 柄中有道 可以注水

白川漢字論はこの辺りに触れていて、<他>文字の由来を言い切っている。(医 匜 水器 の関係はよくわからないが。)
 水器"匜"@「字統」
これに対して、「說文解字」は驚かされる見解。
 女陰
良く分からぬ象形であり、<它>[蛇]に似ているという気もする。女陰と対照的だが。
それを、もう少し細かくみている現代の辞書(「漢字源」)もあり、おそらくはこういう見方なのだろう。
 平らに伸ばした大蠍
しかし、どれにしても、それが<他>の字義とどう繋がるかの説明には難儀を要することになる。それを避けるなら、語気の図と見る手もある。口を開けて叫ぶ子供から息ならぬ意気が流出ということで。("口〜[air]")そうなると、元字が変わってくるようで、どうも今一歩しっくりこない。
 嗁

・・・字体論は、このレベルから抜け出るのはえらく難しいことがよくわかる。たまたま確実に見えることがあっても、論理的にはそれは正しいとは限らない訳で、文字宇宙全体哲学(概念論)を欠いているなら、文字暗記用の覚えやすい思い付き(分析論)との差はほとんど無いと言ってよいだろう。

「說文解字」が優れているのは、女陰イメージあればこその、<他>文字の多用、拡散的展開としている点である。
ここでのポイントは、何故に、<他>文字だらけにしなければならないのか、という点にあろう・・・それは単に後世に登場する<。>と同じである筈がなかろうと、いうこと。
女陰とは身体部位の名詞ではなく、[古事記」がいみじくも伝えてくれているように、その迫力が与える影響力を指しているとも言え、非漢語文法から見れば準動詞扱いと見ることもできよう。但し、主題提示確認ということなら、名詞ということになろうが。ただ、その意義は強調とは限らない。
途切れなく、順々に句が繋がるのが漢語の特徴なので、構造文発想など無いから、"〜他〜他〜他"であっても1文。・・・非漢語の文法世界では、これは"〜他。"として解釈しないと理解できない。

①-独立語-
②-自立句形成語-
        名詞[姓名]
③-文法風要素語-
  ❶介詞
  ❷副詞
        [同樣]またalso
        [並列]さらにas well as
        [強調]even
        [転意/譲歩]or/anyway
   助動詞
  ❸連詞
   助詞
    【構造[。]
     Aspect
    【語気
      @文/句末
        [肯定判斷]なり≒啊 呀
        [疑問]≒呢 嗎
        [詠嘆/感嘆](emphasis)≒與 哉 歟
      @文/句中
        [緩急境]
        [文調の調整]
  

     

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