■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[11d釋山]■■■
「說文解字」≪土≫部には131文字が収録されているが、「爾雅」では"土"偏文字は目立たない存在。(垝堪埤圮揶證ェ均塊堛 坎坎 垝坫地垣塒 坎 塤 塞地 墳坰 坯)
そもそも、"土"の用例字体が少ない。・・・"
 土…【田】@釋言
 風雨土霾  乃立冢土@釋天
 石戴土謂之崔嵬 土戴石@釋山
    陟彼崔嵬 我馬虺隤 我姑酌彼金罍 維以不永懷・・・
    陟彼砠矣 我馬瘏矣 我僕痡矣 云何吁矣
        [「詩經」國風 周南 卷耳]
    崔:大高  嵬:高不平
 杜 土鹵@釋草
 土螽 土䵹鼄 土蜂@釋虫

・・・この釋山での"嵬"用例が気になった。
  塊[:墣]…【堛[:墣]@釋言
    つちくれ(團狀泥土)clod/lump of earth
     →蔓性多年草塊莖/塊根植物(百部 or 塊芋/土圞兒)
塊の異体字として、㟴があげられることがあるからだが。

と言うか、もともと、塊は凷の俗字、つまりone of themの異体字だったようだ。・・・
  【塊の同義的別字】
  凷[:墣] 𠚛 𡒽
      墤(嬇) 㙕(喟) 圦 𡉇 𡓤
      块(快 筷 駃)
  [鬼]磈 䃬 傀 𠎺 𧝛
   硊
  [山]𡸖 𡼊 𡾚 𡿈
   𣁈
  [褢]𠐤 𠐦 𤪿
  [艹](蒯 𠣲 𦬿 𦮍 䓒 𦰵 𦳋)
  [卜+𠕁](𨛖 欳)
  [會](噲 璯)
   (繲)
   (勓)
思うに、㟴は、都で日陰をつくってくれる高木を槐としたのと同様な発想で、作出された文字ではあるまいか。
こうした想定が、漢字創成の過程を解明する切っ掛けになりそうな気がしてくる。
上記の様に、同義的に使用される別字の數は半端ない。ほとんどが両書に収録されていない訳で、創字の熱意はただならぬものがある。

このため、別字問題は悩みの種だったようだ。
帝以敏博通經記 令校圖讖 使蠲去崔發所爲王莽著錄次比
 敏對曰:“讖書非聖人所作 其中多近鄙别字
        頗類世俗之辞 恐疑誤后生”
帝不納敏
 敏因其闕文摧V曰:“君無口 爲漢輔”
帝見而怪之 召敏問其故
 敏對曰:“臣見前人搗ケ圖書 敢不自量 窃幸萬一”
帝深非之 雖竟不罪 而亦以此沈滞

     [「後漢書」卷七十九上 儒林列傳第六十九上 尹敏]

書籍は残存していないものの、そんなことから官僚は文字整備に注力していたことは間違いないが、それでも別字の數はただならぬレベルに達していたと見てそさそう。・・・
「漢書」卷三十 藝文志 第十【小學】・・・
 「蒼頡」一篇五十五章
    "蒼頡"七章…丞相 李斯 所作
    "爰歷"六章…車府令 趙高 所作
    "博學"七章…太史令 胡母敬 所作
      ⇒文字多取史籀篇 而 篆體復頗異 所謂秦{篆}者也
 「別字」十三篇
  

     

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