■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[17o釋鳥]■■■
ジェンダーについて、どう見るべきかかは、政治思想と絡むので厄介だが、簡単に触れておこう。
と言うか、記載の要無しなのに、釋鳥でこの問題をわざわざ取り上げているので、致し方ない。
「爾雅」を読む場合は、儒教の社会道徳観の眼鏡をかけることと、ご注意頂いている訳で。・・・
  <鳥之雌雄不可別者 以翼右掩左 雄 左掩右 雌

もっとも、ほとんど読みとばされる箇所だろう。
おそらく、「酉陽雑俎」の著者だと、「反論の余地なし。」とポロリと言って、サロンは満座爆笑。

ということで、性について。

性別記号♂♀は占星術用文字。火星と金星。
驚くことに、雌雄同体もあって、☿。こちらは、水星。
背景説明しても意味が薄いので割愛。
もちろん、他の表記方法もある。
血脈系譜図を描くなら、□と○が便利。ただ、小生の様に、他の用途でこの記号を使っていると、避けることになろう。代替として、△とか▽をもってくる。系譜を見れば♂♀はたいてい自明だから、どうでもよいのであるが。

現代では、🚹🚺のピクトグラムも一般化している。普通は、トイレの様な男女別施設のマークだろう。(日本では、さらに色識別を重視させられる。)
しかし、文字表記だけも少なくない。その場合は、МenWomenか男女がほとんど。オトコオンナという表現はしないことになっているようだ。

ながながと書いたが、これが世間一般の性別で、この他に公的な規定としての男女が別途存在していることになろう。
バカバカしい話をしているが、「爾雅」記載と同レベルで書いてみただけ。

「說文解字」は、読者層は同じでも、対象としているのは知的に頭を使う人々なので、性別についても単純明快に定義しており、実に見事。
  男≪男≫丈夫
  女≪女≫婦人
性別とは社会的な概念とはっきり書いている訳だ。
生殖上の性など全く意味していないのである。勿論、字体を見ればそんなことは当たり前。ここが秀逸なところ。
読者がインテリだと、それでは性別文字はどこにあるのかと思わず問いかけてしまうからだ。
そこで、気付くことになる。
その用語が無かったとは思えないから、強制的に社会から消し去られた訳か、と。

そうなれば、性別用語が自動的に頭に浮かんで来ることになろう。獣の、牡牝が。
この場合、あからさまな交接行為があるからこそ、性別が峻別できる訳で、ヒトはそういう訳にはいかない。ヒトの性別文字は厄介なこと間違いなし。
そう考えていくと、牡牝の旁は、牛の性器形状を示しているに違いないとの結論に至るのでは。そうでない説明は、それを避けたいだけのこと、と。
  牡≪牛≫畜父  土≪土≫地之吐生物者
  牝≪牛≫畜母  匕≪匕≫相與比敘
さて、そこで、冒頭の釋鳥の記述になる。
こちらの性別はどうやって見分けるのだろうと、考えさせられることになる。
「說文解字」の字義は、牛同様に見える書き方。
しかし、偏が何を意味しているのか、今一歩わかり難い。
  雄≪隹≫鳥父  厷≪又≫臂上
  雌≪隹≫鳥母  此≪此≫
そりゃ当たり前で、時に交接行為を見かけるものの、性的特徴を示す器官が認識できない以上、表記は難儀を究める。

ところが、「爾雅」が、♂♀区別がつかない場合の解決策を書いてくれたのである。
 翼右を以て、左を掩ふは雄。
  左を以て、右を掩ふは雌なり。
ナンだ、男女服装規定の左前か、ということになる。

・・・こんな規定を鳥の仕草と書くのは儒教官僚しかいないのでは。「古事記」からすれば、百官は鳥らしいし。
そして、もちろん、これを読んだ全官僚がなるほどそういうことでしたか、100%納得と語ることになる。

インテリ官僚だけが、サロンで大笑いする訳である。

もちろん、性別は翼で判別するに決まっている。コレ、ほぼ常識。
雄は翼を広げて雌に最大限アピール。気に入ってもらえないと、無視されるのだから必死。
一方、雌は、翼など拡げずモソモソの態。単にじっとして眺めているだけでもよいのである。面白くなければ、早々と飛び去るのみ。
それが鳥社会の掟。
雄雌はその社会を表現していると考えられる訳で。
  

     

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