■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[17paa釋鳥]■■■
蜀は一般用法上は地名であり、小篆字形上の字義は虫であるにもかかわらず、大きなニワトリ種を"蜀のニワトリ"としない姿勢から考えると赤色野鶏を家禽化したのはこの地域だった可能性を感じさせる。鳥信仰では膨大な数の鳥を捧げる行為を伴っていた筈で、馴化は極めて自然なことだったかも。
それ以外としては、文字的には燭がこの信仰に係っている可能性があろう。・・・
蜀：葵中蠶[虫 上目象蜀頭形 中象其身蜎蜎]
＜屬者嶧 獨者蜀＞＠釋山
＜鷄大者 蜀 蜀子 雓 ━━鷄屬＞＠釋畜
[口]噣：喙
＜生哺 鷇 生噣 雛＞＠釋鳥
[尾]屬：連
＜孺…【屬】＞＠釋言 ＜屬者嶧 獨者蜀＞＠釋山
＜寓屬 鼠屬 齸 須屬＞＠釋獸
＜馬屬 牛屬 羊屬 狗屬 鷄屬＞＠釋畜
[犬]獨：犬相得而鬬 羊爲羣 犬爲獨也
＜屬者嶧 獨者蜀＞＠釋山
[火]燭：庭燎 火燭
＜四氣和謂之玉燭＞＠釋天
[水]濁：水⊂出齊郡厲嬀山 東北入鉅定
＜濁謂之畢＞＠釋天
---n.a.---
[走]䟉：行皃
[足]躅：蹢躅
[攴]斀：去陰之刑
[骨]髑：髑髏 頂
[角]觸：抵 㲳：觸
[韋]韣：弓衣
[衣]襡：短衣
[欠]歜：盛气怒
[斗]斣：相易物 俱等爲斣
[金]鐲：鉦 軍法…司馬執鐲
氏：巴蜀山名岸脅之㫄箸欲落𡐦者曰氏 氏崩 聞數百里
"燭"といえば、「山海經」大荒北經📖の記載が気になるところ。
---西北海外 赤水之北--- ▲章尾山
[神]燭龍・・・人面蛇身赤直目正乘
其暝乃晦 其視乃明 不食不寢不息 風雨是謁 是燭九陰
"縦目"青銅人面器はそれなりに意味はつけられるものの、牛首生贄とは違っており、神の偶像だろうから、胴体があった筈。それに当たるとすれば人面蛇身の燭龍の可能性があろう。
"縦目"が赤色着色されていないのと、瓦解した蛇体が存在していないようなので、論理的に無理があるが、細かく調べれば残渣が見つかってもおかしくないように思うが、研究は一段落しているようだからそうした兆候無しとされたのだろうか。しかし、少なくとも、胴体の有無をはっきりさせる必要があろう。
この辺りが気になるのは、天の岩戸屋譚との類似性があるから。目を突出させると太陽が出て、瞑れば夜になる訳で、祭祀者はこの偶像に祈ることで昼夜を支配する地位を確保していたことになる。意味上は天照大神。倭の場合の祭祀は、長鳴鳥まで関係してくる総合的な儀式になっており、[神]燭龍の時代の状況を彷彿させるものがある。
【速須佐之男命】天照大御神天石屋戸
常識的には、最高自然神は太陽を司っている筈で、だからこそ飛ぶ能力のある鳥への崇拝が成り立つことになるのだろう。
ただ、こうした見方は現代人が勝手に読んでいるだけなので注意が必要。＜大荒＞全体としては、明らかに、「古事記」同様の、神々的な帝の系譜譚の地誌的記述だから。(残念なことに、欠落だらけで錯綜していて、全体像は掴みようがない。皇嗣がなんとなく決まっていく倭の慣習とは違って、訳のわからぬ戦いの結果で帝が決まる社会なので致し方ないが。)
"注目 or 注意"とは、論理的説明ができないので、情緒的に同意を求めたい場合の逃げ口上でもあるから、一言付け加えておくが、次元が異なる記述を仕訳して考えた方が良いというだけの話。
①太陽信仰と付随する鳥型神の呪術王差配の世界。
②火&龍の登場。(「古事記」では火を生むことが結節点。)
③帝位争奪の世界。(「古事記」とは全く異なる。)
論理的に説明したいなら、こうした３階層†で整理するしかないが、実態に即して描けばゴチャになってしまう。
それだけのこと。
【大荒東経】禺䝞
---大荒中[1 2 3 4]日月所出---
---大荒中[5]--- ▲孽搖頵羝
扶木＠山上・・・柱三百里 其葉如芥
＠[谷]溫源谷・・・"載烏１太陽来→載烏１太陽出"
---大荒中[6 7]日月所出---
---大荒東北隅---▲凶犁土丘 應龍
【大荒南経】不廷胡余
【大荒西経】弇茲
---大荒之中[1 2 3 4 5 6 7]日月所出入---
【大荒北経】禺彊
---西北海外 赤水之北---▲章尾山[神]燭龍
＜大荒＞とは東南西北で規定される方形世界の果てを示していると考えるのが自然。以下の様に記述されていることになろう。当然ながら、中心は現在の成都で＜中山經＞とは一致していない可能性が高い。・・・
▲＿＿＿＿＿＿＿▲應
入燭 出
入 出
入 出
入 ◆ 出
入 扶木 出
入 出
入 出
▲＿＿＿＿＿＿＿▲
† ①最古層は数々のトーテム部族を統括する太陽信仰ということになろう。特に、麥/稗/粟と違い稲作の場合、日照期間が短くなりがちな成都一帯では、死活問題。②龍は風水の起源でもある。太陽信仰と直接繋がる訳ではない。谷風と水脈は立地条件の肝。朝晩に靄立ち込める湯谷の存在こそが、その見極めの鍵となる。換言すれば、山信仰ということでもある。③権力者としての帝が登場してくれば、それは儒教型信仰を基盤とする中華帝国樹立の前奏曲そのもの。神話は原則消去され、必要な部分だけ断片が残され、帝の系譜だけになってしまう。(「古事記」は系譜譚が神話そのもの。)・・・倭人は山野と海ベースの生活を原初とみなしているので、類似点はあるものの、この階層構造とは異なる。
【付録】 「山海經」の構造はこんな具合。・・・
＜山系＞
[05] 中山経
[01～04] 南山経 西山経 北山経 東山経
：
＜極東西南北＞
[18] 海内経
＜大荒＞
[14～17] 大荒東経 大荒南経 大荒西経 大荒北経
鳥信仰時代の＜大荒＞(東南西北)に合わせ、＜海内＞📖を整理すると以下の様になる。極東西南北の国々の巻ということ。・・・
▽東海之内，北海之隅
【朝鮮國 or 天毒】・・・水居 偎人, 愛人
▽西海之内，流沙之中
【壑市國】
▽西海之内，流沙之西
【氾葉國】
▲鳥山 ▲淮山
▽＿＿＿＿，流沙之東，黑水之西
【朝雲之國】
【司彘之國】
▽＿＿＿＿，流沙之東，黑水之閒
▲不死之山
▽＿＿＿＿華山青水之東
▲曰肇山
▽＿＿＿＿＿＿＿西南，黑水之閒
鸞鳥，鳯鳥，靈壽
▽南海之内，黑水青水之閒
【禺中之國】
【列襄之國】
▲靈山
【鹽長之國】
鳥民・・・鳥首人
◇９丘[陶唐之丘、叔得之丘、孟盈之丘、昆吾之丘、黑白之丘、赤望之丘、
參衛之丘、武夫之丘、神民之丘]
窫窳・・・龍首食人 猩猩・・・青獸人面
▽＿＿＿＿＿＿＿西南
【巴國】
【流黄辛氏國】
▲巴遂山
【朱卷之國】
贑巨人 黑人 羸民 苖民
神延維・・・人首蛇身，長如轅，左右有首，衣紫衣，冠旃冠，
鸞鳥 鳯鳥 翠鳥[孔鳥]
▽南海之内
▲衡山 ▲菌山 ▲桂山・・・三天子之都
▲九嶷山＠▲蒼梧之丘舜
▽北海之内
▲蛇山
鳥翳鳥・・・五彩
▲不鉅之山巧倕
【大幽之國】
▲幽都之山
玄鳥・・・
▲大玄之山玄丘之民
【釘靈之國】
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