■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[𢊁]■■■ (一角神羊@神判) …legendary beast 小篆の字体は両耳間に一角有。「說文解字」は忠実そのものの記載。このことは、小篆創成官僚の総意として、聖なる審判役は一角たるべしと決定されたことを物語る。確かに、二者択一で一方を角で示すのだから、極く自然な考え方。 豕 ├┬┬┬┬┬┬┐ │㣇彑豚豸│易象 │ 𤉡/兕 ├┬┐ 馬𢊁鼠 └──鹿 しかし、二角の鹿も字体頭頂部からそれが自明ではなくなって行く訳で、足も恣意的に4点化するという大胆なデザイン変更を為し遂げるのだから、早くからその兆候ありと言えなくもないが。 ともあれ、ここは、文字系譜上鹿が繋がっている上に、字体の印象もあって比定が難しい。 𢊁(似山牛 一角)は、鹿と字体が似ている点があるから、麠(大鹿 牛尾一角)や麢(山羊而大者 細角)の雰囲気を持つ動物ではなかろうか。ここでの山羊とは、超高山岳部棲息で、(鹿と違って落角しない)牛属動物の大陸カモシカ/氈鹿(鬣羚)と思われ、同様に一角ではないが、山牛とすればターキン/塔金(羚牛)ではないかと推測する。(箱舟排除の暴虐な二角獣を、聖書の民は一角獣と見なしている。各国語翻訳はたいていは野獣になってしまう。)📖 しかし、甲骨では二角であり、神判役を担っていた実在動物であることは確かなようだし、にもかかわらず「爾雅」成立頃には忘却の彼方化と云うことなら、その想定はそう難しくはない。・・・荒漠冷涼な辺境 ツァイダム盆地に細々と棲息している種しかあるまい。 藏羚チベットカモシカChiru (外見はアンテロープに似ているものの全く異なる系列。) …殷代以前は、ヒトが滅多に行かない地での圧倒的優勢種。超巨大群生状況だったろうが、いくら広大な地とはいえ、一旦、手を伸ばされれば激減。一気に霊的意味も失われ、legendary beast化してしまう。 (尚、ヤク、チベットノロバ、チベットカモシカはなんらかの形で記載されている筈。できる限り目立たない形で。と云うのは、中華帝国官僚は、牛馬羊牧畜3点セットのコンセプトを移入した可能性が高いからだ。) 伝承経路上でチベットとは方角的には異なるものの、酃羊@「山海經」北山経が該当していることになる。 涿光之山区域多松柏 橿植被 栖息着酃羊等生物 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |