■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[壴]■■■
字体考。

下部の"[丷+一]"は、台(脚架)を意味していそう。非漢字部品なら"ㅛ"型ということ。
そうなると、その台上に載る、中央部の"口"は、両端皮革張型ドラムを示していると見ることになる。
よくわからないのが、最上部。"土earth"ではなさそうで、字体は"士war axe"である。しかし、ドラムはレガリア的権威を示す置き物ではなく、リズム音楽演奏用器具。動詞的文字でもある。
そうなると、この箇所はドラムを叩くヒトの様子(actionではなくintellectualな意味。)を示すとか、装飾としてのシンボル(例えば羽飾り。)と考えるのがよさそう。

"支"との合字である"鼓"は、よく知られた楽器名称。この場合、"支"があるから、手で撥を持ってのドラム演奏している姿を示していると解釈できることになる。(おそらく皮張ドラム"皷"だが銅鼓の伝統を感じさせる。)
・・・と云うのが、現代人には馴染みやすい説明だろう。

しかし、小篆は、呪術時代とは違っている社会である秦代の創成文字である点を忘れるべきではなかろう。
宮廷儀式で多種多数の打楽器が壮観に並べられている情景こそが、音楽の原点だろうから、その意味での"壴"という説明が必要となってこよう。
例えば、"士"部分は飾りの標章と見なすとか。

この程度の見方で満足するしかないが、それを考えると、「說文解字」的見方も結構本質を突いた記述になっているとも言えそう。
「字通」が壴=鼓としているところを見ると、甲骨ではその用法だらけなのだろうが、小篆での壴とは多数の鼓を並べて用いる<儀礼名>とした方がしっくりくるからだ。

そうなると、[士+口+]ではなく、[屮+豆]的に考えたくなる。
それは"豈"でもあるが。
要するに、ドラム"豆"が吊るされている状況を示していると見る訳だ。(懸垂状況に意味があるのではなく、指揮系統がある大規模奏楽奉納という点にハイライトが当たる。)
ただし、そうなると、ㅛは外した時の置台とするしかないので、違和感が生まれるが。それに、"豆"はドラムではなく小さな器、しかも台ではなく、脚直付けの直立タイプ。

とはいえ、豈の楷書は[山+壴]。しかし小篆字体を見ると山とも屮とも異なっている。
"豈"は副詞的単語だが、「說文解字」は"凱music of triumph"のニュアンスでの、<おおいに愉しむ>字義と考えているようだ。いわば、戦勝祝での奏楽による大歓慶"かちどき"を意味していると見てよさそう。
  魚在在藻 有頒其首 王在在鎬 豈樂飲酒 [「詩經」小雅 魚藻之什 魚藻]

  
  ├┬┐
  壴││#160🅱㊎🆂:陳立而上見
  ││  尌 𧒕 彭 嘉
  鼓│#161🆂:郭 春分之 萬物郭皮甲而出 故謂之鼓
   │  鼛 鼖 鼙 𪔳 鼘 鼞 䶀 𪔪 𪔕
   │ #092≪攴≫:擊鼓
   豈#162🆂:還師振旅
      ト 𧰙
  

INDEX   ------------------------------------------------------
「說文解字」検討  「爾雅」検討  📖古事記を読んで

 (C) 2026 RandDManagement.com  →HOME