■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[麥夊舛]■■■
[#194㐭〜#197麥〜#205桀]は、小篆創成の考え方がよくわかる。

㐭は鍋蓋[Jp.亠]に"回"なので、字体系譜で、麥/麦とどう係るのか奇妙。ところが、嗇が間に入ってくると、それが理解できるようになる。そして、実は、來/来こそがwheatを意味していたことも知ることになる。

そうなると、麦の解釈に五行的著述が加えられているのも、真っ当と言えよう。その当時、五行だったとは限らないが、なんらかの思想で<来⇒麦>に転換する必要があったのだから、そこらに触れない訳にはいかない訳で。
ともあれ、貯蔵可能な穀物たる麦の、来訪神話が存在し、それに対応する文字が並んでいることになろう。

ここらは、いかにもありそうな動きだが、<來⇒麥>創成過程は自明ではない。
冬小麦なので、足の象形を加え、麦踏みを示すことで穀物品種の文字としているという以上の説明は難しいが、「說文解字」の文字秩序論からすれば、その辺りはどうでもよいこと。重要なのは<足>を加えることで、文字の意義を示すという方針が貫徹されていること。
夊は足の象形文字であるが、ある種の形而上的概念というか、イメージを表記する部品として措定されていることになる。それをさらに発展させると舛にもなるし、若干の変更で、夂としてもよいことになる。(楷書表記では、この辺りの流れは見えてこない。卜占官僚が、祭祀信仰とは無縁な、こうした形而上的字形化の動きを見せることは考えにくいから、甲骨文字との断絶が存在していそう。)

㐭      #194≪㐭≫【㐭】🅱🆂:穀所振入
│          宗廟粢盛 倉黃㐭而取之 故謂之㐭
│          [入 回象屋形 中有戶牖]  ≒
│        農作物収蔵廩倉@「字通」
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嗇││    #195≪嗇≫【嗇】🅱🆂:愛瀒 ≒𠻮
 ││        [來+㐭 來者 㐭而藏之 故田夫謂之嗇夫]
 ││      稼穡収蔵倉庫@「字通」
 │    #196≪來≫【來】🅱🆂:周所受瑞麥來麰
  │        [一來二縫 象芒朿之形]天所來 故爲行來之來
  │      麦@「字通」
      #197≪麥≫【麥】🅱🆂:芒穀 秋穜厚薶
  │        故謂之麥…麥金 金王 而 生 火王 而 死
  │        [來 有穗者+夊]
  │      麦ふみ@「字通」
  ├┬┬┬┐
  ││││#198≪夊≫【夊】🅱🆂:行遲曳夊夊
  │││││    [象人兩脛有所躧]
  │││││  止の倒文…
  │││││  向こうから来る、
  │││││    また上から降りてくる@「字通」
  ││││#199≪舛≫【舛】🆂:對臥[夊𡕒相背]
  │ │││  左右の足が外に向かって開く…
  │ │││  左右相違って進みえない・・・
  │ │││    相矛盾@「字通」
  │ ││ [舛+爫+冖]
  │  │ [舛+囗]
  │    ≒𠂖  …字体関連性皆無 収録意図不明
  ├┬┐
  ││  #203≪夂≫【夂】🆂:後至[象人兩脛後有致之者]
   ││    歩の倒文"夅"の上部…
   ││    上から降るときの後足@「字通」
   │ [𠂊+㇏] ≒乆[𠂈+㇏]
    │   …夂と久は極めて似ている形ではある。
    │   :以後灸之 [象人兩脛後有距]
      #205≪桀≫【桀】🆂:磔[舛在木上]

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