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2008.1.31
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お茶漬け作りのお勧め…


 初心者が, いきなり一汁三菜を始めるのは無理. お茶漬け作りから始めるとよい.
 自分の頭でレシピを考え, 味の評価まで行える数少ない料理の一つである.


 料理を始めたいなら、先ずは蒸し料理から、ということでその理由を述べた。
  → 「蒸し料理の話 」 (2008年1月17日)

 野菜を中心に、素材の美味しさがわかってくれば、基礎力はついてきたと言ってよい。
 しかし、蒸し料理ばかりではつまらぬから、和食の伝統「一汁三菜」を早く始めたくなる。だが、いきなり味噌汁とおかずを作ったところで、コンビニやスーパーのお惣菜より美味しいものは作れないのが普通だ。
 もう少し、素材の美味しさを知るためのトレーニングをした方がよいだろう。

〜 有名な茶漬 〜
名古屋熱田 ひつまぶし(R) [あつた蓬莱軒] >>>
京都縄手 お茶漬けうなぎ [かね庄] >>>
松江 ぼてぼて茶 >>>
京都 ぶぶ漬け >>>
静岡三ケ日 浜名納豆茶漬 >>>
奥三河 アメ茶漬け >>>
島根 アマサギの柳かけ >>>
埼玉県小川町 忠七めし [二葉] >>>
 それには何をすればよいかというと、オジサンのお好きな、お茶漬料理への挑戦。もちろん、“お茶漬けの素”を試そうという訳ではない。
 お茶漬はどう見てもファーストフード。そんなお勧めに驚くかもしれないが、実は和食の基本に沿っているのである。その構成は“御飯+汁+具”だからだ。「一汁一菜」と見なせる訳である。
 これが料理かという気にもなろうが、有名茶漬けもあるのだから、素晴らしい茶漬作りに挑戦してみたら如何だろう。

 ともあれ、究極の目的は自炊できる力をつけること。“お茶漬けの素”や宴会最後に供される茶漬より美味しいものを作るのは、結構、良いトレーニングになると思う。それは想像以上に難しいかも知れないが。
 だが、それが実現できれば、見返りは大きい。外食、弁当、冷凍品調理、完全自炊の、コストとリターンがわかるようになるからだ。自由に選択できる余裕が生まれる。
 自炊の喜びとは何かがわかってくると言うこと。

 そのポイントは6つ。
  1 炊きたてご飯の美味しさを知る。
  2 出汁の旨みを味わう。
  3 塩の果たす役割を理解する。
  4 どのような具が自分の好みか探る。
  5 薬味・香辛料の効果を試す。
  6 トータルでの食としての価値を評価する。
 この6つを学ぶのだから、ただお茶漬けを作ればよいという訳にはいかない。それなりの準備と投資が必要である。

 ということで、前置きが長くなったが、どのようにトレーニングを行えばよいか解説しよう。

〜道具を揃える段階〜
【先ず、食器を決めよう。最初の意思決定事項である。】
  つまらぬことに思うが、食器の選定は、どのような自炊を目指すかということでもある。
  オプションは一応、3つあるから、お好きなものを。
    1 経済性重視型: 使っているご飯茶碗を使う。
    2 機能性重視型: ご飯茶碗より少し大きめの食器を1個購入する。蓋付きが望ましい。
    3 思想性重視型: 気に入ったお茶漬け用食器を探す。
              利休箸を用意。もちろん、食器に合う箸置も不可欠。
              そして、一番重要なのは、これらを置くお盆(あるいは布)である。
              美的センスを研ぎ澄まそう。
【そして、専用の道具を2つを用意すること。これが結構重要。】
  美味しいご飯を炊くために、専用の笊(ざる)を用意すること。
    お米を炊くまで水につけておかないためのもの。一度水に浸漬したら、笊にとり放置する。
    その間、笊は他のことに使えないから、専用が必要となる。
    プラスチック製なら100円から。
  出汁専用容器(ポット)を用意すること。
    出汁は一回毎にとるので専用が必要。(出汁はもたない。)
    縦長が望ましい。(平べったい急須は昆布が入れづらいし削り節が泳がないから不適。)
    他の臭いや味が付着しないように、出汁専用とする。
    冷めにくい厚手の陶器製がよいが、使い方でどうにでもなる。
    茶漉しがついていると、出し殻がとり出しやすく便利。
    100円陶器でも可能。

〜食材を準備する段階〜
【次に、素材の準備だが、「水」から始めよう。】
  特別な水を用意する必要はないが、飲んで美味しいと思える水を使おう。軟水に限る。
    臭気を感じる水は論外。自分の地域の水道水の品質をホームページで確認する。
     ・カルシウムとマグネシウム量合計が1リットル中50mg程度がおいしいとされている。(1)
     ・茶漬には、40mg以下で、マグネシウムが少ないものが向くと思われる。
  水道は塩素殺菌が義務づけられているから、炭を入れ一晩放置する位の労力は割くべきである。
    短時間濾過型の浄水器は機器で効果が大きく違うので、汲み置き型浄水ポットを使うのも手。
【優良出汁昆布と良質な鰹節を手に入れる。これが、簡単ではない。】
  一回に使う量は少量だが、商品はそれに対応できないから、結構高額になるかもしれない。
  出汁昆布の安物はひどいが、高価でも当たり外れ多し。(煮昆布と間違わないこと。)
  鰹節も同じ。削ってから時間が経ったものは絶対に駄目。
    削り器を使うのが望ましいが、初心者がそこまでする必要はなかろう。
    窒素充填の出汁用削り節パックはピンキリ。価格では良品の判別ができない。
    鰹節屋で目の前で削ったものを購入し、冷凍保存し、早目に使うのが無難。
  水産物の出汁の旨味を知ることが目的であることを忘れないこと。
   (干椎茸の戻し汁とか、ブイヨン系統の味は厳禁である。)
   (煮干はすぐに出汁がでないし、雑味が入るから、絶対に利用しないこと。)
  少し使ってみたら、化学調味料や天然だしパックと味を比較するとよい。
   (これらのなかには、なかなか優れたものもある。)
  もし、差がわからなかったら、自分の味覚が鈍いか、悪い素材を使っていると考えよう。
 尚、「通」と称する、高齢者オジサン族の出汁薀蓄発言は割り引いて聞く必要がある。
 文化的素養がある層が、化学調味料の味を昔から嫌っていたとは思えないからである。
 東京では、化学調味料は、最高級料亭で、目に見えるように“ふりかけ”られた時代があったからだ。
【お米は、精米間もないものを購入すること。これ鉄則。】
  お米の品種や産地の選定は個人の好み。皆、コシヒカリ味を狙っているから差は僅少。
  ただ、鮮度での味の違いは歴然。当たり前だが古米など埒外。ともかく、精米間もない米を選ぶこと。
   (精米後日数がかなりたっているものはトレーニングに不適。少量購入で新鮮なものを食べること。)
  精米直後の胚芽米は、お米の味がわかるからお勧めである。
〜 茶漬の代表的な具(海産物) 〜

[刺身]
“まご茶”(鯵,等)
“鯛茶”
“ゴマサバ茶漬”
“ヅケ茶漬”(鰹・鮪)
“蝦茶漬”
海胆

塩干
“鮭茶”
“鱧茶”
しらす干
鱈子
“海苔茶”
塩昆布
味付
加工品
いくら醤油漬
(明太子)
カラスミ
ふぐの子粕漬
鮒寿司
塩辛・酒盗・メフン
クサヤ
貝/小魚佃煮
【自分の好きな“具”を選ぼう。ただ、優先順位がある。】
  塩気で、蛋白質を含む海産物の味を愉しむことができれば十分。
  醤油・味噌味の前に、薄い塩味の美味しさを試すとよい。
  “海苔茶”や農産物系は蛋白質を欠くことに注意。
  “梅茶”や茸・納豆茶漬け類は味が強すぎ、トレーニングには向かない。
【漬物や佃煮を添え物として使ってもよい。】
  「ご飯+塩+海産物旨み」の世界が堪能できさえすれば後は自由。
【薬味・香辛料は必ず用意しよう。楽しくするためである。】
  先ず、無しで一口、少々加え一口、といった形で薬味・香辛料を味わう。
  酢味が強く、他の味がわからなくなるような梅肉は避けた方がよい。
  色々用意すると楽しい。(少量でよい。)
  但し、良質の新しいもの。(そうでないと、味のトレーニング効果が薄れる。)
    - 適度な刺激: 山葵、練り辛子(和)、実山椒、花山椒、七味唐辛子(粗いもの)
    - さっぱりとした香り: 葱/あさつき/わけぎ類、茗荷、大葉、三つ葉、柚子(皮)
    - 煎った味: あられ、胡麻(白)

〜調理と味わう段階〜
【炊飯道具にこだわるのはまだ早い。作業を完璧に。】
  優秀な炊飯器や、特製の釜や鍋もあるが、今の炊飯器でやってみること。
  ただ、米研ぎはきちんと。その後、笊で放置し炊く寸前で水を加える。
   (そんな気遣い不要な頭脳を持った炊飯器もあるそうだ。)
   (無洗米なら、水に浸漬してから、笊にあげるだけ。)
  炊き上がったら、シャモジでご飯に空気を入れる。
  この2つの作業を抜いたら零点。
   (少量炊くのがベスト。余ったら冷凍。)
【出汁とり作業は手抜きで十分。】
  出汁の材料を前述した専用容器に入れ、熱湯を注ぐ。それだけ。
【茶味が欲しければ、茶用の急須に熱湯を注ぐ。】
  煎茶・ほうじ茶・番茶・玄米茶、なんだろうと、適当な量を急須に入れ、熱湯を注ぐ。
   (茶を飲む訳ではない。熱湯以外は駄目。)
  余計なことは一切しない。少量でよいのである。
  「茶漬」だが、茶はなくてもよい。ともかく出汁が中心なのだ。
  出汁の量を超える茶を注いではいけない。トレーニングにならなくなる。
  繰り返すが、茶漬を食べれればよいとか、茶漬薀蓄話とは違うのである。
【炊き立てご飯に、具をのせ、出汁(+茶)を注げば完成。】
  熱いご飯を適度の量だけ盛る。ご飯茶碗なら、少量にすべきである。
   (尚、炊きたてご飯を洗ってはいけない。)
  そして、具を載せ、出汁を注ぎ、欲しければ茶を加える。後はお好み。
  ファーストフードであり、食べ方に流儀など無用。
  ただ、急いで食べても、旨みはじっくりと味わって欲しい。これが目的なのだから。

 ここまでお読み頂けたら、何故、こんなことをお勧めしているのか、その理由がおわかりになると思う。
 それを踏まえて、ご自分でお好きなように楽しめば自然に力はつくもの。
 なんといっても、食は楽しくなければ話にならないのである。

 --- 参照 ---
(1) 浄水器協会 おいしい水ってどんな水 http://www.jwpa.or.jp/j/mi/mi_oishii.htm
(全般) ☆★お茶漬け・わんだーらんど★☆ のほほんにしかた。のお茶漬けな日々。 [2007.2.25まで] http://ochaduke.fan.coocan.jp/
(食器のイラスト) (C) KANO'S FACTORY http://www.chocolat25.com/kfactory/


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