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2008.12.10
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建長汁を作ってみよう…


 豚汁とは、「建長汁」モドキ料理のこと。
 豚肉が豆腐の代替食材なのである。


〜 鎌倉五山(臨済宗) 〜
-寺院名- -創立者- -開祖-
建長寺 北条時頼 蘭渓道隆
[中国出身]
円覚寺 北条時宗 無学祖元
[中国出身]
寿福寺 北条政子 明菴栄西
浄智寺 北条師時 兀庵普寧
[中国出身]
浄妙寺 足利義兼 退耕行勇
 京の臨済宗のお寺は時の権力主導で作られた。開山の祖は国師となり尊ばれ、繁栄した。しかし、反主流化すれば、逆の憂き目に合ったりする訳で、政治的に動かざるを得ない存在だった。
 従って、賓客へのもてなし食に一番力が入った筈である。
 そんなこともあり、これらのお寺の精進料理から学ぶことはしなかった。
  → 「素食文化に触れてみよう 」 (2008年12月3日)

 しかし、同じ、臨済宗の禅寺でも鎌倉となるとだいぶ性格が違う。こちらからは、学ぶ点もあろう。
 と言っても、政治から切り離されることなど有り得ない。もっぱら、北条政権が作ったお寺と言ってよいだろう。ただ、僧侶を中国から呼んでおり、京とは違う方向感があったようである。宗教もさることながら、武士に様々な文化活動を取り入れるための拠点作りの性格もありそうだ。京に比べれば、伽藍も小さく、国家宗教としての色彩は薄く、家の菩提を弔う役割を担っていたのかも。

 寺の建築も、巨大さを誇ったり、権威的な存在を思わせるデザインとは思えない。京の寺が醸し出す、政治的な雰囲気が出ないように、配慮したのではないか。
 もしそうなら、鎌倉禅寺の料理もその考え方に沿ったものだった筈。おそらく、質素豪胆を旨とし、「鄙」を是としたろう。特に、視覚的に愉しむことを慎んだ気がする。

 この思想を、具体的な食のルールに落とせば、こうなるのではないか。
  ・膳と器の組み合わせや種類の決め事を簡素にする。
  ・汁や菜の数を無闇に増やしたりしない。
  ・皿の順番にこだわる慣習を捨てる。
  ・食材に過度に手を入れたりしない。
  ・五色五法を別々の皿にして強調する必要はない。
  ・普段の食事と宴会は別。食べることに集中し、じっくり味わおう。

 と言うことで、以下のメニューにしてみたが、如何。
■茸(シメジ)の炊き込みご飯■
■白菜柚子風味一夜漬■
■建長汁■
作り方にこだわる必要がないが、歴史を想いながら、精進料理として味わいたければ、以下の方針での調理をお勧めする。
 ・乱切り野菜を沢山入れる点に意味があるが、乱切りが望ましい。
   (銀杏切り大根、千切り人参、笹欠き牛蒡牛蒡、等はできれば避けたい。)
 ・大豆製品は豆腐とし、異なる油が入るから油揚は使わない。
 ・使用する油は一種類とし、香りがあるから胡麻油がよいのではないか。
   (摺り荏胡麻を使うと気分がでるが、このやり方にはあわないと思われる。)
 ・出汁は昆布だけで、干し椎茸は使わない。従って、椎茸は具には入らない。
 ・吸い口や香辛料類は使わない。
 ・味噌は香りが強すぎ、素材の味がわからなくなるから避ける。
【出汁作り】
 ・昆布
   -出汁昆布を細かく切る。
   -冷水ポットに入れ美味しい水を注ぎ、一晩冷蔵庫で保管する。
【具の準備】
 ・大根と人参
   -皮を剥いて乱切り。(皮ごともよいが流石に食感が落ちる。)
 ・牛蒡
   -皮を適度にこそげ落とす。
    (包丁の背、硬いブラシ、魚の鱗剥がし器、等を使うとよい。)
   -乱切りにして水にさらす。
 ・里芋
   -皮を剥き、ぬめりを取るために粗塩で揉み、丸ごとさっと茹でる。
    (準備だから煮ないように。)
   -食べれる大きさに乱切り。
 ・蒟蒻
   -手で一口大に千切る。
    (切りにくいなら糸を使う。)
   -茹でる。
 ・木綿豆腐
   -十分水切りする。(ふきんに包み絞るとよい。)
   -軽く焼く。(必須ではない。)
   -手で一口大に千切る。
【炒め処理】
 ・鍋で胡麻油を十分熱し香りを高める。
 ・根菜→芋→蒟蒻→豆腐の順に加えて炒め続ける。
【煮調理】
 ・豆腐に油分がついたら、出汁を加える。
  (豆腐は硬くなってもかまわない。)
 ・煮立ったら弱火にしてじっくり煮る。
  (蓋をせず、浮いた灰汁を取る。)
 ・根菜/芋が柔らかくなったことを確認し、塩/醤油/酒で味を調える。

 --- 参照 ---
(けんちん汁の写真) [Wikipedia] (C) Kici http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Kenchinjiru_Yoshinoya_D%26C_2007.jpg


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