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2009.2.18
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如月の和菓子作り…

 梅祭に甘酒が振舞われることが多いが、
 如月の和菓子でお茶会といきたいものだ。
 様々な梅の名前のお菓子を見るのも観梅のうちかも。

 “春は名のみの 風の寒さや”(1)ということで、衣を更に着てというのが如月の特徴とされる。
 この季節を「食」で愉しむならなにかと言えば、お菓子だろう。永井龍男の俳句の通りである。
      如月や 日本の菓子の 美しき   永井東門居(2)

 と言う事で、和菓子挑戦といこう。ただ、すでに一つお話をしていた。「蕨餅」である。
  → 「和菓子を作ってみよう 」 (2008年5月28日)
 もちろん、2月に「蕨餅」でもよいが、如月らしさという点では物足りないだろう。それに、色形が単純で余り面白くないし。
 そうなると、先ずはどんな菓子にするかだ。まあ、節分も終わったことだから、豆菓子でもよいが、やはり歴史を感じさせるものが楽しかろう。

 すぐに思いつくのが「鶯餅」。これは、茶会用に開発した珍菓だったとか。命名は秀吉とか。(3)
 これならなんとかなろう。
(1) 「漉し餡」の小さな餡玉を作る。
  -鶯であるから、形状は楕円がよかろう。
  -小さい方が食べやすい。
(2) 「白玉粉+水+パウダー砂糖」を弱火で加熱しながらよく練り、餅を作る。
  -もちろん、「上白糖」でもよい。
  -最初に粉に少しずつ水をいれて練り、絶対にダマをつくらない。
  -練ったら弱火で加熱し、砂糖を少しづつ加える。
  -砂糖は甘さではなく、餅の柔らかさを保つため。
(3) 「青きな粉(鶯黄粉)」の上に餅を落とし、餡玉を包む。
  -薄いほど上品な感じがする。(好き好き)
  -大福餅とは違うから、笑窪をつけよう。
  -上から、黄粉を十分ふりかけることも忘れずに。

 次だが、もっと古い菓子を忘れる訳にはいくまい。「椿餅」である。
 と言っても、現代は、餡入りの俵形道明寺を椿の葉ではさんだものだが、元祖は砂糖などなかったのだから、かなり違う筈。(4)
 こちらは、もっと単純。
(1) 椿の葉を切ってきて、良く洗う。
(2) 「道明寺粉」を同量の水でふやかせる。
  -寒いと30分はかかる。
(3) 水を吸ったものを、布巾に広げて蒸す。
  -せいぜい20分で柔らかくなる。
(4) 蒸しあがって熱いうちに「パウダー砂糖」を軽くふってまぜておく。
  -上白糖は均等にふるのが結構難しいからパウダーが望ましい。
  -塩を入れると甘さが引き立つという説もある。
(5) 餡を包む。
  -熱いので軽く冷まさないと作業はできない。
  -手に水をつけていないと、ベタついて上手くいかない。
(6) 椿の葉ではさむ。

 この二つでおわかりになると思うが、伝統の和菓子とは、お米から作る餅菓子。「蕨粉」を使うお菓子とは系譜が違うのである。
  → 「日本の餅文化起源仮説 」 (2007年10月31日)
 従って、この伝統を消しかねない、チョコバナナ、メレンゲ、カスタードクリーム等が入ったものは食べる気がしない。これは、味の問題ではないのである。

 ともあれ、たまには、このような手作り和菓子で、じっくり甘みを堪能したら如何。

 そうそう、鶯と雪椿では合わないという人もいよう。寒紅梅が欲しいとなるかも。
 それなら、梅酒の梅の実をあしらった、寒天流しものをつければどうか。固まるのに時間はかかるが、難しい作業はなにもない。

 --- 参照 ---
(1) 吉丸一昌: 「早春賦」 大正2年 新作唱歌
   http://www.toshiba.co.jp/care/benri/douyou/1fu.htm
(2) http://www.weblio.jp/content/
  %E5%A6%82%E6%9C%88%E3%82%84%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%8F%93%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%8D
(3) 「御城之口餅 由来」本家菊屋[大和郡山市]
   http://www.kikuya.co.jp/mochi.html
(4) 「紫式部と椿餅」 とらや 歴史上の人物と和菓子
  http://www.toraya-group.co.jp/gallery/dat02/dat02_004.html
  紫式部/與謝野晶子訳「源氏物語 若菜上」 [青空文庫]
  http://attic.neophilia.co.jp/aozora/genjimonogatari/htmlfiles/wakana1.html
  「殿上役人たちは敷物を得て縁側の座についた。
  饗応というふうでなく椿餅、梨、蜜柑などが箱の蓋に載せて出されてあったのを、若い人たちは戯れながら食べていた。」


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