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2009.4.15
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洋菓子作りの第一歩[メレンゲ]…

  メレンゲの 泡立つまでの 疲労感
    メレンゲ作りは面倒そのもの。
    ミキサー無しではやはりつらいものがある。


 パンケーキを作ることで洋菓子を学ぼうと書いた。
  → 「洋菓子作りの第一歩[序] 」 (2009年4月8日)

 しかし、個人的には、パンケーキを朝食で食べるので、菓子感覚は薄い。デニッシュペストリーも、コーヒーショップや小ホールで食べることがあるが、こちらだと、コーヒーについてくる菓子というイメージがあるのだが。
 にもかかわらず、洋菓子の学びをここから始めたのには訳がある。
 本当は、“オーブン”ケーキを学びたいのだが、生地の感覚がわからないと、なかなか難しいから、パンケーキ用プレミックスを使って慣れておこうというだけ。

 というと、“オーブン”ケーキとは何かとなるが、薄力粉+砂糖+卵+バターが原材料のオーブンで焼く菓子というだけの話。
 “パン”ケーキとの原材料での違いはパターが入っていないだけ。しかし、バターをつけて食べるのだ。そうなると違いはどこか。ここが重要な点である。
 “パン”タイプとは、暖かくすることで生地を膨らませる。そのふんわりした生地を、甘さと油の旨みと卵とバターの風味で食べる点に特徴がある。
 一方、“オーブン”タイプは、冷めてから食べるから、生地自体で同じような効果があがるように工夫する必要がある訳だ。かなり高度な技術と言えよう。

 ここで学ぶことは、「ふんわり」技術。3つの方法があるが、そのうちの1つ修得することに注力することをお勧めしたい。

 一つ目の技術は、すでに経験済み。パンケーキのプレミックスには、たいていは膨張剤(脹らし粉[ベーキングパウダー])が入っているからだ。添加量さえ間違わなければ、簡単そのもの。最初にこれを勉強したところで、たいした意味はない。
 二つ目は、誰でも知っている方法。パンで使うイースト醗酵である。パン型の菓子も少なくないが、これはおいておこう。
 三つ目は、泡立てである。生地に泡を埋め込むことで、ふんわり感を出そうというもの。
 今回はコレ。

 そして、原材料だが、「無塩バター+薄力粉+グラニュー糖+卵」としたい。

 それで何をつくるかだ。
 上記の材料なのだから、カステラ(1)のように、バターを使わないタイプは駄目である。これは【ポルトガル】渡来と言われており、原型の洋菓子は“podelo”なのだろうか。もちろん、バターは使わない菓子だ。そのまた発祥はもしかすると、【スペイン】の“bizcocho”か。
 それから、【米国流】の“chiffon cake”も、バターの代替品としてサラダ油を使うから避けよう。

 正直なところなんでもよいのだが、重要なのは、以下のステップを概ね踏んでいること。
   (1) 卵白にグラニュー糖を加え徹底的に泡立ててメレンゲを作る。
   (2) 溶かしバターを作り卵黄を加えて攪拌する。
   (3) この液体に薄力粉を混ぜる。
     (ダマにならないようによく篩った粉を少しづつ加える。)
   (4) さらにメレンゲを加えて混ぜ、生地を作る。
   (5) 生地を型に入れオーブンで焼く。

 これに該当しそうな菓子で、わかり易いのは、【英国】の“pound cake”。「バター+薄力粉+砂糖+卵」の4種を等量で作る菓子ということになるからだ。ただ、ご存知のように、フルーツ等を入れる点に特徴があるが。
 同じようなものだが、何も入れないのが、【フランス】の“Madeleine”。これは形が独特。ロレーヌのコメルシー地方で長い歴史を誇るお菓子でもある。(2)日本では、マドレーヌと言えば神田精養軒だったが、2009年2月に自己破産してしまった。
 型を使わないし、形態が全く違うが、【ドイツ】の“baumkuchen”も同じような菓子と言えよう。こちらも、昔は、ユーハイム(3)と相場が決まっていたが、最近は様々なものが登場し競争激甚のようだ。東京の話だから、全国的にはどうなっているのかはよくわからないが。

 要するに、メレンゲベースのスポンジケーキを作るということ。(イースト醗酵を使い、ミルクを加えるパン型菓子ではない。そちらは、【フランス】の“brioche”、【イタリア】の“panettone”、【ベルギー】の“waffle”といったところが該当しそうだ。)

 と言うことで、ともあれ、メレンゲを作ってみることをお勧めしたい。卵白にグラニュー糖をいれながら、攪拌して空気の泡を入れるだけの単純作業である。様々なサイトに説明があるから参考にしたらよい。じっくり読んだから上手くできると言うものではない。注意点としては、砂糖を少しづつ分けて入れることと、しっかり泡立てることだけ。容器を逆さにしても落ちない、しっかりと山状の形を保っている状態になるまで頑張るしかない。(なにも混ぜない。香料も入れない。)
 どういう訳か、初めてだと、たいしたものはできないこともあるから、その覚悟で。
 文明の利器たるミキサーを使わず、泡立て器だけで行えば、時間はかかるし、えらくくたびれる。それでようやく少量のメレンゲができる。
 さらに、薄力粉を加えてケーキ作りに進みたいところだが、そこは我慢しよう。
 メレンゲをそのままオーブンで焼いてその味と性状を知ること。スプーンでクッキングシートの上にすくって、少し表面を乾燥させてから、オーブンに。
 メレンゲがまあまあのできなら、これだけでかなり美味しい菓子になる。(尚、湿気を吸うので、保存したかったら冷めたらすぐに密封容器に入れること。)
 これだけでも上出来と思ったら、ナッツを入れるとか、バニラ香料を入れ、絞り袋でお洒落な形に作ってみるのも一案。 (この続きはしばらくしてから。)

 --- 参照 ---
(1) 「福砂屋のカステラづくり」 カステラ文化館
   http://www.castella.co.jp/castella/castell3.shtml
(2) “Histoire d'une specialite : la madeleine de Commercy”
   http://www.commercy.org/telech_La%20madeleine%20de%20Commercy.pdf
(3) 「別立て法」ユーハイムのこだわり
   http://www.juchheim.co.jp/group/policy/nature/index.html
(泡立て器のイラスト) (C) SweetRoom http://www.hisaz.com/sweet/


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