トップ頁へ>>> オジサンのための料理講座
←イラスト (C) SweetRoom 
2009.4.8
「料理講座」の目次へ>>>

 


洋菓子作りの第一歩[序]…

 洋菓子の本質は甘い粉モノ。
 単純な材料しか使わなくても、結構美味しいものができる。
 と言っても、素人が挑戦すると失敗することが多い。


 砂糖の話をしたら、洋菓子作りに触れない訳にはいくまい。
  → 「素人のジャム作りについて 」 (2009年4月1日)

 洋菓子作りに興味が湧かないオジサンも多いかも知れぬが、挑戦したくなるのを期待して書いてみることにした。
 この料理講座をお読みになっている方ならお分かりだと思うが、レシピをお教えするようなサイトではない。書き手が料理の素人だから当然。と言って、専門家の指示通りに、素人が上手く料理を作るためのコツを書く気は毛頭ない。それなら、なんなのか、と言われそうだが、料理に挑戦すると、イノベーティブな発想ができるようになりそうだと見ているから。
 まあ、それほど真面目に考えている訳ではない。緊張感を持ち、“頭を使って”、料理に挑戦することをお勧めしているだけのこと。・・・直観力をベースに、論理を持ち込み、さらに全体構想を練るという過程が踏めるというだけのことだが。対立しかねない概念が並ぶが、自分の手で料理をしてみれば、納得感が生まれるのでは。もし、それができれば儲けものといったところ。

 つまらぬ話をしたが、この観点で、洋菓子を学ぶなら、まずは、パンケーキ(“ホットケーキ”)。もっとも、拙宅ではパンケーキは朝食で菓子ではないが、ここではあくまでも菓子としての位置付け。(拙宅ではバターとメープルシロップで。飲み物、茹で肉と茹で野菜、プレインヨーグルト、果物付きとなることが多い。休日の朝、のんびりした朝食での話。)

 ところで、今まで色々なパンケーキを食べたことがある。単純な原料で、単純な調理方法にもかかわらず、その価格と美味しさには相当な開きがある。結構、奥の深い料理なのである。
  ・外食
    -朝食が美味しいテラスレストラン(ホテル)
    -仕事で宿泊したホテルのコーヒーショップ
    -通りがかりに入ったファミリーレストラン
  ・冷凍食品
  ・自製
    -プレミアム調整粉(プレミックス“ホットケーキの素”)
    -廉価品調整粉
    -購入薄力粉

 はっきりわかったことは、専門家が力を入れて作ったものは格別ということ。価格と質は結構比例している感じがする。ズブの素人が粉から作ったものは、残念ながらレベルは相当落ちる。と言っても、それはそれなりの別な嬉しさがあるのだが。
 なにを言いたいかおわかりだろうか。洋菓子作りの“学び”が目的だから、専門家のレベルに近づく努力や、ゼロから作り始める作業は止しておこうということ。プレミックスを使い、学びたいところに神経を集中する訳だ。

 この場合、注意すべき点は、レシピに記載されている分量を正確に測り、指定した通りに作ること。従って、計量用カップ等は必須。(粉の分量を量る必要があるなら、秤も用意。)
 厳格に量を守らないと勉強にならないのは、ここでの眼目が、生地と焼き加減の感覚をつかむことだからである。これが身についていないと、洋菓子作りどころではないが、自習だけでその感覚を得るのは簡単ではない。そこで、プレミックスの標準仕様で、その感覚を身につけようという訳。

 さて、作業だが、さして難しいものはない。だが、成功するとは限らない。そのつもりで。
 (1) 購入品を決める。
    ・素晴らしいものができると考えず、あくまでも練習として割り切る。
    ・プレミックスはなんでもかまわない。差は出るが、好き好き。
    ・卵とミルクで質は変わるが、これも好き好き。
    ・失敗して、以後、作る気力が失せるかも知れぬので、小さいものを買おう。
 (2) パンケーキにつけるものを買う。
    ・バターとメープルシロップがお勧め。
    ・この質で美味しさは変わるが、くどいが、好き好き。
    ・あくまでも、菓子作り入門なので、バターの香り以外は避ける。
     (ジャム、クリーム類は避ける。)
    ・シロップも同じこと。尚、砂糖を溶かして煮詰めたものにしてもよい。
     (蜂蜜は香りがあるから避ける。)
 (3) テーブルの準備をする。
    ・できたてをすぐに食べられるようにしておく。
 (4) 卵とミルクをさっと混ぜて、プレミックスを加え、ざっくり混ぜる。
    ・ダマを防ぐには、液体に粉を入れた方が合理的だ。
    ●「混ぜた」感を知ること。
    ・絶対に、練らない。
    ●「生地ができた」感を知ること。
     (文章や写真で、この感覚がわかる筈はない。)
 (5) フライパン(フッ素加工)を熱し、適度に冷ましてから生地を流し込む。
    ・フッ素加工パンがなければ、油を引くだけのことだが、素人は失敗し易い。
    ・フライパンに冷たいところがあると失敗するし、熱すぎるとすぐ焦げ付く。
    ●生地の“適度な粘度”とはどの程度を意味するか知ること。
    ・適当な厚みになるように流し入れる。
    ・焼きながら、継ぎ足すと生焼け部分がでかねないので、一度に流す。
 (6) 弱火で焼き、手頃なところで裏返す。
    ・数分で表面が硬くなってくる。泡がでそうになったら、裏返す。
     (まごまごしていると焦げてしまう。逆なら生。)
     (始終裏を覗いたりすると美味しいものはできない。)
    ●生地の表面をじっくり観察し、裏返し迄の“数分”の焼け時間感覚をつかむこと。
     (火力、パン、生地の量と厚みで違うから、レシピの数字は参考にならない。)
    ・裏返ししたら、乾燥しないように、蓋をする。
    ・焼きあがった頃合を見計らって、フォークを刺し、生でないことを確認する。
     (時間感覚が鈍いと焦げたり、硬いものになる。)
    ・冷えると美味しくないので、すぐに食卓に。
    ・つくった「生地」を順次焼くこと。
     (食べきれないなら、ラップで包んで冷凍。)
 (7) じっくりとパンケーキの味を堪能する。
    ●ふっくら感、砂糖と卵の味の絡みと、バターの香りと油分を賞味すること。
     (バニラ香料が入っているものが多いので、純粋に味を知ることは難しいかも。)
     (理解できたと思ったら、後は好きな食べ方で。それこそ、ドラ焼の皮という手もある。)
 以上、失敗してもともとと考えて作業して欲しい。

 さて、食べてどう感じただろうか。これは菓子だろうか。
 この見方も重要。小生の感覚だと、パンの朝食とたいして変わらない。しかし、パンでも、デニッシュペストリーは余りに菓子に近すぎる感じがする。朝の会合の前に、コーヒーと一緒に供されれば、喜んで食べるが、どうもさっぱり感に欠ける。
 ただ、パンケーキは、“ホットケーキ”と呼ばれることでもわかるように、その本質は簡易デザート。米国に渡った貧しい清教徒がオーブンで作るべきものを、フライパンで作ったものだろうから、系譜的には大衆的な菓子である。それに、かなりの量の砂糖が入っているし。
 まあ、パンケーキの話はここまでとしよう。   → 来週に続く

 --- 参照 ---
(ボウルのイラスト) (C) SweetRoom http://www.hisaz.com/sweet/


「料理講座」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2009 RandDManagement.com