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2009.7.15
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夏の麺料理…



  全日本冷し中華愛好会の話が盛り上がったのは、一昔前。
  今はとうなのだろうか。


 「家庭用流しそうめん器」を見た話をしたので、夏の麺料理を考えることにした。
  → 「料理玩具を眺めて」 (2009年7月9日)

 素麺や冷麦、あるいは、冷やし狸・狐は、お蕎麦屋さんでは季節モノ。しかし、「ざる」はもともと冷たいもので、季節に関係ない。蕎麦は、冷たい水でよく洗えば洗うほど喉越しがよくなり、蕎麦の味がわかり易くなるのだから、当然だと思う。冷やし中華に対抗して、冷たい具を載せたのだろうが、蕎麦の味が弱まってしまうから、余りお勧めしたくない料理である。やはり蕎麦は、「ざる」でいきたい。(ただ、鴨とか蒲鉾の別皿をつけ、ついでに一杯となりがちだが。)
 ただ、饂飩はこれに当てはまらない。細いものは早く茹で上がるし、色の白さが目立つから、盛り付けを工夫すると涼しげに感じるのは確かだ。しかし、氷水を張った器に入れると、麺が細いから、すぐに伸びてしまう。ここは問題だが、まあ、急いで食べるべしということか。
 さて、肝心の夏向きの麺料理だが、愛好者が美味しい店を紹介してくれるものだ。
  ・「盛岡冷麺」---\900 食道園 @盛岡 >>>
  ・「冷し中華ワンタンメン」---\900 わんたんや @熱海 [アットエスの紹介] >>>
  ・「五色涼拌麺[冷やし中華]」---\1,470 揚子江菜館 @神保町 >>>
  ・「ジャージャン麺(手打麺)[炸醤麺]」---\1,380 全聚徳 @新宿 >>>
  ・「ぶっかけ」---\600 根の津 @根津 [柴田書店の紹介] >>>
  ・「ボタン海老とカラスミの冷製カッペリーニ」---\2,400 カノビアーノ 東京 @東京八重洲 >>>

 しかし、時間と交通費をかけて食べに行くのも一興とはいえ億劫。暑い日中に、自宅で廉価な“自分好み”を作ったらどうか。短時間で作れるし。

〜夏向の干麺〜
小麦粉系[和] 太饂飩
ひもかわ・きしめん(平型)
細饂飩(丸/角)
稲庭饂飩(透明感)
冷麦(極細饂飩)
JAS素麺(油無し超極細饂飩)
伝統素麺(油塗熟成)
小麦粉系[中華]干中華麺
小麦粉系[伊]カッペリーニ(細)
米粉系ビーフン
フォー
豆/芋系緑豆春雨
春雨(馬鈴薯/薩摩芋)
 さて、麺だが、乾麺としよう。ただ、茹でてから冷水で洗う方法になじまないものは対象外である。当然ながら、茹で時間が短いものを使うべきである。ただ、腰のある太い饂飩は例外的に茹で時間は長い。

 さてレシピだが、これは「麺」+「乗せる具+汁+香味」の組み合わせでしかない。麺だけ変えることも可能だが、組合わせの妙というものがあるから、麺ごとに考えるべきだと思う。代表的なものについて、素人レシピを考えてみようか。

■■■腰のある太饂飩の冷ぶっかけ■■■
【ポイント仮説】 狙うのはあくまでも饂飩の食感。汁に余りこだわらぬこと。
         具としては、肉は避けた方がよい。他の蛋白質とそれを引き立たせるものを。
         生姜は強いので避ける。(「ざる」饂飩が望ましい。)
【麺】 腰のある饂飩を選ぶこと。太いほど美味しい。(できる限り、茹で時間10分以上のもの。)
    ともかく徹底的に水洗いしてヌメリを取り去ること。
【汁】 自分好みの麺汁を作り冷やしておく。(再仕込み醤油の香りだけで食べる手もある。)
    カボス絞り汁を加えるのもよい。
【具と香味】
  (1) 「夏の心地よい刺激」
     小粒納豆(辛子を入れよく練る)+大根おろし(辛味)+万能葱(小口切を山盛に)
  (2) 「マッタリと卵味」
     温泉卵+削り鰹節(山盛り)+貝割れ大根(根元を切って束で)
  (3) 「海の香りでサッパリ感」
     黒蒲鉾(魚らしさ)+若布(磯の味)+天カス(油分)+茗荷(縦に千切りを山盛り)

■■■冷やし細饂飩のポン酢がけ■■■
【ポイント仮説】 柑橘系の刺激で肉と一緒に麺を食べることで夏らしさを堪能する。
         肉にもかかわらず、サッパリ感がでるところが喜び。
【麺】 稲庭饂飩から冷麦まで、細目か薄目な饂飩系ならなんでも。茹で過ぎ厳禁。
    伝統素麺は独特の臭いがでる。よく洗えば消える。
    (伝統素麺は付け汁で味わいたい。鰻の白焼きの別皿を山葵か柚子胡椒で頂く。)
【汁】 醤油+柑橘系絞り汁+柔らかい米酢を混ぜて冷やしておく。
【具と香味】
  (1) 「豚冷シャブ」
     豚ロースのシャブシャブ(一口の大きさに切る)+大根おろし(山盛)+大葉(細切り山盛)
  (2) 「ささみ」
     蒸した鶏ササミ(ほぐす)+水菜(一口の大きさに切り山盛)+茗荷(千切り山盛)

■■■肉味噌かけ冷やし中華麺■■■
【ポイント仮説】
【麺】 中華干麺を茹でて徹底的に水洗い。茹ですぎるとどうにもならない。よく水を切る。
    麺をボールにあげ、ラー油を垂らし、味をつける。(麺の付着を防ぐ。)
【汁】 不要。水気厳禁。
【具と香味】
  (1) 「麻婆茄子」
    茄子入りの、豚挽肉と大蒜/香辛料・中華スープ・甜麺醤の効いた“炸醤”をのせる。
    長葱の白い部分の千切りをかぶせる。炸醤麺定番の胡瓜はよそう。
  (2) 「鶏味噌」
    鶏挽肉と生姜(薄切)/葱(小口切)・中華スープをサラダ油で炒める。
    醤油/味醂・酒で甘めに味付け。水溶き片栗粉を加える。
    貝割れ大根(根元を切って束で)をのせる。

■■■冷製カッペリーニ■■■
【ポイント仮説】 見かけの涼しさではなく、実際に冷たい料理にすること。
         皿を冷凍庫に入れるとよい。麺、汁も冷たく。
【麺】 2分程度で茹で上がる太さにする。だからカッペリーニに限る。絶対にゆですぎないこと。
    芯がなくならないうちに、冷水で洗う。その後、笊にあけ氷をのせるのもよい。
【汁・具と香味】
  (1) 「冷やし完熟トマトの美味しさ」
     生トマト(湯剥したものをぶつ切)+生バジル(適当に切った葉を沢山入れる)
     掛け汁は冷やさない(オリーブオイル/ワインビネガー/すりおろし大蒜/塩・胡椒)
  (2) 「冷えたスープの深み」
     冷やしたミネストローネスープ+生パセリ(葉を手で千切って入れる)
     スープはよく冷えていること。濃い場合は氷を入れても。

■■■冷しフォー■■■
【ポイント仮説】 いかにも涼しげな麺と甘みのある汁の組み合わせが楽しい。葉(サラダ菜やレタス)を敷くとよい。
         玉葱の刺激が重要だと思う。海藻は要らない。
【麺】 フォーは水で戻し(規定時間遵守)、ザルに入れて流水で洗う。そんなもので食べることができる。
【汁】 鶏スープ+ナンプラー+レモン汁+黒砂糖+胡麻油(香り)+粉唐辛子(微)
【具】
  (1) 「エスニックな蛸味」
     茹でタコ(薄切)+水で晒した玉葱(薄切)+生人参(千切)
  (2) 「タイ王国風の味」
     茹でエビ+水で晒した玉葱(薄切)+生セロリ(千切)
【香味】 香菜が不可欠。砕きナッツを加えると香ばしさが増す。

■■■春雨冷サラダ■■■
【ポイント仮説】 春雨の透明感が美しい。これをドレッシングの美味しさで頂く。
         薄い色の具を使おう。(濃い色の海藻は避ける。)汁も暗さが出ないものに。
         半熟ゆで卵、水煮ツナ缶、マッシュポテトは具としては重すぎるのでは。
【麺】 春雨は規定時間水で戻し、ざっと湯に通し、すぐに水洗い。水をよく切る。
【汁】 お好みのドレッシングで。マヨネースや梅肉が好きならそれも手。
【具】
  (1) 「烏賊のヌメリ感サラダ」
    生イカ(烏賊ソーメンでも)+山芋(細い拍子木切)+茹で隠元
  (2) 「和風サラダ」
    炙った油揚げ(千切)+大根(細い拍子木切)+水菜
【香味】ドレッシングに合うものを使おう。無いと実につまらぬ。

 ということで、冷やし中華だけでなく、他の冷たい麺もお試しになったら如何かと。

 --- 参照 ---
(冷やし中華のイラスト) (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/


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