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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2009.7.29 |
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生姜焼を考えてみた…鰹を生姜で頂いたあと、豚肉の生姜焼で。さらに、デザートは生姜プリン。 う〜む。生姜フルコースは、魅力に欠ける気もするが・・・。夏だからよしとするか。 ↑ (C) Hitoshi Nomura “NOM's FOODS iLLUSTRATED” 実は、夏だから、生姜焼きの話をしようと考えたのではない。 小生は、生姜は好きだが、豚肉の生姜焼きにそれほどの価値を感じているクチではない。にもかかららす、取り上げたのは、勉強の題材に最適と感じたから。 肉料理だから、文化の香りを楽しもうという訳ではなく、レシピ設計の練習ということ。 → 「生姜」 (2007年9月11日) そんなこともあり、駄文が続くがご容赦の程。 きっかけは、先日、酒屋にビールを買いにいった時。切らしたからではなく、様々な商品が登場しているので、状況視察。 ビールのついでに、トニックウオーターもと棚を探したら、棚の下の隅にほこりを被った瓶があった。人気なき証拠。夏はソフトドリンクとしても美味しいと思うのだが、そんな感覚の人は例外的な存在ということがよくわかる。 ところが、同じようなものと見なしていた、“ginger ale”は目立つところに並んでいる。 販売促進期間ではなさそうだから、その店では売れているということのようだ。ところが、その商品を見て驚いた。
家庭用は、色が綺麗で甘いタイプの方である。こちらはスーパー定番。 (“ginger ale”については、末尾参照) ジントニックが売れない店だから、甘いタイプだけを置いていると思ったが、そうではなかったのだ。 そうなると、生姜味飲み物が気に入られているということになるが、本当かいな。 ・インドネシアでは生姜紅茶「Teh Jahe」は定番だが、日本人は苦手なようだし。 (クローブやカルダモンの香りを感じるせいもある。) ・焼肉店でセンガン茶がサービスで供されたりするが、好評とは言い難いのでは。 (李朝朝鮮が「茶」文化を徹底破壊した結果流行った飲料の一つでは。イメージがどうも。) ・冬の感冒予防の健康飲料イメージが強すぎ、リフレッシュメント感が湧かぬ。 ただ、冷やし飴(麦芽の水飴+生姜漬のシロップ)は、関西では誰でもが飲んでいたらしい。(1)小生の偏見かも。 というようなことをツラツラ考えていて、夏の生姜料理を書いてみたくなった。と言っても、たいして知識もないから、生姜焼きを取り上げることにしたのである。 とりあえずレシピを見たが、色々だ。醤油・日本酒・味醂に生姜すりおろしを入れたツケ汁で、肉を揉みこんで漬け込んでから、フライパンで焼くというものが多いようだ。付け合せとしては、キャベツの千切りが好まれている。 違いは、調味料の配合割合と、漬け時間か。 これとは多少違う方法も記載されているレシピもあるが、テレビ番組で放映されたものに習ったとされているものが多い。(面倒だから調べなかった。) ここで気にかかったのは、付け合せの設定。味覚的に整合がとれていない感じがするものが多い。まあ、単にセンスの問題でどうでもよいことではあるが。 そこで考えてみたのだが、豚肉生姜焼きには、3種類あるのではないか。 ・・・そんなことに気付かされたのは、コレばかり食べ歩き、数々のお店の料理をレポートされている方々のサイトを眺めたからでもある。(2)実に様々である。 まあ、小生のセンスで分類したみたにすぎない。 順番に解説したので、ご参考になれば幸い。これを見て、自分好みの生姜焼きを作る気になったら、それだけでかいがあったというもの。 【1】 豚ロースソテーの生姜風味 [洋食] 付け合せがキャベツのことが多い。これは、カツレットの洋食版「トンカツ」の伝統に従っているのだと思う。つまり、これは日本風「ジンジャー・ポーク」(3)。洋食だから、相当違う料理になってしまうが、肉の柔らかさと、肉汁を楽しむ料理と見るとよいのではないか。 ・肉はポーク肩ロース(あるいはヒレ)の厚切り。 -ロースの脂身には筋があるから、包丁で2〜3ヶ所切り込みを入れるとよい。 -肉を叩くのもよいだろう。 ・タレには漬け込まない。 -タレに漬け込むと、肉がボロボロしてしまう。(まず間違いなく肉の美味しさは消える。) -軽く焼いた後で、タレを掛ける方法がお勧め。 ・フライパン使用なら、肉の表面に軽く片栗粉をまぶしてから焼こう。 -サラダオイルをひいて、生姜の微塵切りを炒めてから肉を焼く。 -まずは、焦げないように、両面の表面を焼くこと。(内部まで熱を通さない。) ・表面が焼けたら、タレを入れ、蓋をして、火を弱めて蒸し焼き。 -タレは醤油・酒・味醂にすりおろし生姜を混ぜたもの。 -絶対にタレを焦がさないこと。 -肉に火が通ったら皿に盛る。 ・付け合せは、洋食定番のキャベツの千切りが望ましい。 -ミニトマトをつける必要はないと思うが。 【2】 豚肉野菜生姜炒め [定食料理風] 付け合せが玉葱炒めのものがある。要するに生姜風味の豚肉野菜炒めだ。炒めものだが、生姜煮的なものに近く、味噌汁が合う。中華系和風という感じで、まさに定食的な料理。 ・肉は豚こま切れ。 ・タレに漬け込む。10〜20分程度。 -タレは醤油・酒・味醂にすりおろし生姜を混ぜたもの。 -唐辛子を入れてもよいのでは。 ・フライパンで一気に混ぜながら炒め、すぐに皿に盛る。 ・肉を炒めた後、玉葱のザク切りを炒める。 -タレを適当に加えてもよい。 ・付け合せというより、野菜と肉のまぜこぜ炒めというコンセプト。 -重要なのは、肉汁味で野菜を沢山食べること。 -玉葱だけでなく、もやしも使うとよい。 -長葱の白髭切りを加えると、味がひき立つ。 【3】 生姜味照り焼豚肉 [中華風] 甘めのタレを用いた照り焼きにするのだが、脂が多い薄切りで肉を使うので、多少の工夫が必要となる。焼いた肉を、味醂リッチなタレでからませる点が特徴。 ・肉は豚バラ薄切り。(厚切りは美味しくない。) ・タレには漬け込まない。 -薄肉なので、タレが焦げないように焼くのは困難である。 ・フライパンで焦げないように焼く。 -予め油で生姜微塵切りを炒め、生姜は捨てる。 -肉には片栗粉を軽くまぶしておく。 -肉は、一枚づつ完全に広げて両面を軽く焼く。(絶対に肉を重ねない) -焼きすぎない。焼けたら、順次皿に上げる。 ・全部焼けたら、フライパンの油を捨て、肉のすべてを戻し、一気にタレをからませる。 -タレは醤油・酒・味醂に玉葱微塵切りとすりおろし生姜を混ぜたもの。 -予め、タレを鍋で熱し、アルコールを飛ばしておくこと。(温かいもの。) -タレがからんだら、すぐに皿に盛る。 -もちろん、フライパンを使わず、皿に薄肉を敷いて、タレをかけてもよい。 ・付け合せは、薄肉を包めるようなものが望ましい。 -肉の脂味を楽しむものだから、野菜味が強調されたら失敗。 -包めるようなものとしては、レタスやサラダ菜がある。 -夏向きのものとしては、胡瓜の薄切りしかない。 ついでに、生姜デザートもお試しになったら如何。 といっても、ジンジャービールパンのようなものではなく、中華の「ジンジャーミルクプリン」。(4)ゼラチン不要。(要するに、牛乳を生姜の酵素で固めるだけ。作るのは簡単だが、ノンホモ牛乳が売っていないスーパーが多いから、難しいかも。・・・コンデンスミルクを入れた牛乳を沸騰させないように温めて、生姜汁に注ぐだけ。かき混ぜず冷やす。) 尚、お菓子なら、300年続く、生姜糖(8)もあるが、生姜焼き定食後に食べるものではなかろう。お茶うけとして、のんびりと別途楽しみたい。生姜の香りを茶道にとりいれるなど、松平不昧公のセンスは流石。 【“ginger ale”について】 もともとは、すりおろし生姜を入れたレモンフレーバーの砂糖水をイーストで醗酵させたものらしい。(5) 今の時代、こんな面倒ことをしてまで昔の味を楽しもうという気にはならないが、生姜味の原液を作り、ソーダで割って、自家製のジンジャービール味を愉しむのも悪くない。(6)ただ、日本のサイトを探しても、定番的なレシピは無いそうだ。(7) 言うまでもないが、「エール」という名称から、イギリス発祥の飲み物とわかるが、「ビール」とされているものもあり、両者の違いは定かではない。新世界で開発されたルートビアー同様の、酒類代替用大衆飲料に見えるが、多分違う。マルコポーロが、水の商業都市、蘇州で、生姜が余りに安価なのに驚いている位で、欧州では生姜は貴重だったからだ。“ginger ale”は高級品だったと思う。(9) イングランドの人々にとっては、生姜がことのほか嬉しいのは、この辺りの感覚が残っているからと睨んでいる。(ジンジャーブレッドが好まれているし、クリスマス特別料理として、ジンジャーマン[クッキー]は不可欠。) --- 参照 --- (1) 「あめ湯・冷やしあめ 手をかけ、素朴な甘さ ショウガ風味温か 関西の夏の定番」 毎日新聞 [2009年4月27日] http://mainichi.jp/life/food/again/news/20090427ddm013100004000c.html (2) 「Dying for shogayaki しょうが焼きに恋してる」 http://www.shogayaki.com/ (3) Angela Boggiano: “Angela's slow roasted ginger pork” http://www.bbc.co.uk/food/recipes/database/angelasslowroastedgi_71381.shtml (4) 薑汁撞女乃[Ginger Milk Curd] http://www.hksspc.gov.hk/ppt/2006/Ginger%20Milk%20Curd.pdf (5) David B. Fankhauser: “MAKING GINGER ALE AT HOME” http://biology.clc.uc.edu/fankhauser/Cheese/Ginger_Ale_Ag0.htm (6) Jeffrey Morgenthaler: “How To Make Your Own Ginger Beer” http://www.jeffreymorgenthaler.com/2008/how-to-make-your-own-ginger-beer/ (7) “強烈なオトナの刺激「ジンジャーエール」” http://www.ajiwai.com/otoko/make/ginger.htm (8) 來間屋生姜糖本舗@出雲市平田町 http://www.syougatou-honpo.jp/ 生姜糖博物館(二光堂)@伊勢 http://isekou.hp.infoseek.co.jp/machihaku/syoga.html (9) Marco Polo: “Il Miilione”- 147 “Della citta chiamata Sugni” http://www.provincia.ps.it/behaim/milione/mil147.htm [蘇州では・・・]、新鮮で非常に良いzezibere[=zenzero生姜]の、 重さにして40 libbre[ =単位はポンド]が、 金額にして、1 ベネチア grosso[=銀貨]で手に入る。 (生姜のイラスト) (C) Hitoshi Nomura “NOM's FOODS iLLUSTRATED” http://homepage1.nifty.com/NOM/index.htm 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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