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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2009.12.22 |
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シャンパンで…Joe: “Now, what would you like to drink? ” Princess Anne: (casually) “Champagne, please.”(1) @Facade, Rocca's, in Rome シャンパンイメージはここら辺りか。 〜 寒い冬のシャンパンもありか。 〜 X'masにシャンパンという“風習”は何時頃始まったのだろうか。寒い冬なら、熱燗かホットワインという気もするが、こちらは人気薄のようだ。 シャンパンは熱い夏にベランダ等でのんびり飲むのが一番嬉しいと思うが。 → 「海産物と夏野菜でお昼に一杯」 [2008.6.4] そう言えば、上記を書いた頃、英国は、地下鉄初乗り運賃が確か\1,000近かった。バブルがはじけ、地場スパークリングフィーバーはその後どうなっただろうか。 米国の高級シャンパン市場も落ち込みが激しく、この傾向は続きそうだとの記事はよく見かけるから、それ以上の変わりぶりではないか。 シャンパン製造は資金が寝るし、宣伝費用も嵩むから、巨大資本向きビジネスである。経済ニュースの種としては外せないということでもある。
こうしたお店は公定価格に知らん顔体質だから、好評というだけなのかも知れぬが。 ちなみに、ボトル評価を知りたいなら、オーストラリアでの価格を参照するのが一番。日本と違って、公定価格は通用しないようだし、瓶のラベルを買う人も少ないようだから、信用できそう。ただ、好みは違うかも知れないので、そこだけは注意した方がよかろう。 日本酒と同じく種類豊富で、シャンパンを色々試すのはそう簡単ではない。専門家から、それならとシャンパンバーをと勧められたことがあるが、行ってみると地下にあり気分がのらないのでやめてしまった。 まあ、寒い日だったので、敬遠したということもある。炭酸が効いて、酔いが早目に回ること必定だから。それなら、一杯で済ませればと言われればその通りだが。 そういえば、家で2名で一瓶では持て余すと話したら、シャンパン好きから、残ったら果物にかけて食べると抜群に美味しいと教えて頂いたこともある。それはそうかも知れぬが、なかなかそこまで踏み切れない。 まあ、そんなことが気になるなら、廉価なスパークリングワインにすればよいだけのことか。こちらは、スーパーにずらりと並んでおり、結構飲まれているようだ。 最近は甘くないものも揃ってきたから、オジサンも手を出し易くなったし。 〜 シャンペングラスはお気に入りのものを用意したい。 〜 ただ、シャンパンには、スパークリングワインとは違う特別なイメージがある。それは、冒頭の「ローマの休日」イメージではなく、もっと古層の記憶。 そう、絶対に“シャンパン”とは呼ばない人生の先輩達の感覚。そう、“シャンペン”文化である。仏語ではなく、ハイカラ英語。そこには、戦争以前の、各人の複雑な個人史の想いが隠れている。そんな人達は、メゾンを決めていても、余り語ろうとはしない。 それに、進水式のシーンの西洋お神酒イメージも重なっていそうだ。洋風の仕事で成功した時には、シャンペンで祝わざるを得まい感があるのだろう。 それは、シャンパンシャワーで皆で大騒ぎする喜びの表現とは違う訳だ。静かななかで、フツフツと湧き上がる嬉しさをじっくり楽しむといったところか。 従って、シャンペングラスはそれなりのものを使うことになる。お祝いでなく、軽く飲む時でも、それなりの敬意を払うということ。そこには、世界の先進国になるべく苦闘した時代への懐かしさも籠っているのだと思う。 ということで、拙宅も、シャンペングラスは気に入ったものを使っている。 小生は、理化学実験用のビーカーの機能性を感じさせる、薄くて透明感溢れるRiedelの美しいフォルムが大好きだが、それではない。古典的なフルート型形状で、厚めののクリスタルグラスである。アンティークではないが、グラスの質感とその重さがなんとなく歴史を感じさせるのが嬉しい。このグラスを使うと、上昇する気泡もなんとなく美しく見える感じがするのである。 といっても、年末だから、静けさを楽しむだけでなく、多少の大騒ぎ感覚も欲しいか。 それなら、折角だから、DVDで“Die Fledermaus(こうもり)”を楽しむのもよいだろう。お勧めはCarlos Kleiber指揮版(3)。序曲から嬉しくなるが、宴会の舞曲も楽しい。とは言え、Prinz Orlofskyの美声と一緒に乾杯だろう。お話の内容から言えば、シャンペンではなく、シャンパンと呼ぶべきかな。 “Stosst an! A toast!”(4) “Die Majestat wird anerkannt, His majesty is acknowledged, Anerkannt rings im Land; Acknowledged throughout the land; Jubelnd wird Champagner He is jubilantly crowned Champagne. Der Erste sie genannt! The First! Es lebe Champagner der Erste! Long live Champagne the first!” 音楽は好き好きだが、この企画は、成熟社会の大人の愉しみを満喫しようというもの。だが、Erik Satieの小品やGeorge Winstonの四季を聴きながらスパークリング・ワインを傾けるという雰囲気とは一寸違う。もちろん、ベートーベンの7番とか、9番は程遠い。 どうしても、Kleiberの「こうもり」なのである。この作品、見方によっては、インターナショナルな都市でのドタバタもの。それを本気で楽しめる心の余裕こそが求めるものと言うこと。 ちなみに、この作品、実は大不況のまっさかりの頃にできあがったとか。まあ、状況にそぐわないが、それでもよいかということで楽しんだと言われている。当時の、アドリブ的冗談がどんなものだったか気になるところである。 〜 のんびり過ごすための準備は怠らないこと。 〜 冷やしたシャンパンでオペラ(オペレッタ)を視ながらのんびりすごす場合、問題は料理である。作りながらとなると落ち着かない。 と言って、暖め直し品ばかりでは気分がのらないだろう。お客様がいないなら、少量を作りながら楽しむのがよいのでは。 要するに、視聴や会話が一段落したところで、一品出すという形で、ダラダラと何時間もすごす訳である。 それに合わせたテーブルセッテイングをしないと折角の楽しみが半減する。 気分よく飲み続けるためには、クーラー(バケツ)と栓は必需品。もっとも、直に一瓶を飲みきれる御仁には不要だが。 栓はしっかりしたものを購入しておこう。 拙宅では、クーラーはもらい物の大きなステンレス製をそのまま使っているが、カバーの籠が欲しいところ。これに入れるのは、商品についてくる保冷剤。氷は溶けて面倒すぎるからである。そして、瓶にオマケの温度計をつける。温度は7度。 グラスはよく葺いて透明感を確認すること。それが生えるテーブルクロスか、マットを。花は好き好きだが、香りがしないもの。 重要なのは、皿である。せっかくだからと凝りたくなるのはわかるが、愉しみの中心は料理にある訳ではないから、シンプルなものを何枚も用意した方がよい。 ナプキンも、紙製使い捨ての楽しいものを使った方がよい。汚れたら、即時交換できるようにしておく訳だ。 ともかく、バタバタ動くことなく、気楽に過ごせるよう、予め考えておくこと。 〜 シャンペンに合う料理を考えよう。 〜 シャンペンは特別だと言っても、発泡性酒類の一つにすぎない。ビール同様に様々な料理で楽しむことがはできるのは言うまでもない。 しかし、文化を楽しみたいなら、真似ではなく、ご自分なりのこだわりを発揮した方が圧倒的に楽しかろう。 そういう意味では、注意すべきことなど無いが、辛口(Brut)のシャンパンを愉しみたいのだから、和風的な“さっぱり”感がある食材でいきたい。 従って、脂っぽさや、肉汁を感じる料理は、好物であっても止めた方がよかろう。言うまでもないが、香りが強いものや、辛いものは駄目。そんなことをすれば、折角のシャンペンの味わいが失われる。あと、普段気付かないのに、シャンペンに合わせると苦味を感じたりする野菜があるので、注意した方がよい。 それに、サラダ類のように酢っぱさが口に広がる料理も避けた方がよかろう。どうしても、酢系の味がないと不満という人は、レモンを用意し、その絞り汁を適宜使うようにしたらよい。 と言うことで、香りが立つハーブや野菜も原則使わない。パセリの微塵切り程度なら、影響が弱いからかまわないが。タイムやニンニクは欲しくなるが、できる限り控え目に使おう。 そして、オリーブを忘れずに。それは、西洋の神の木。「シャンペンとオリーブの木」の気分で。 “I like them all, but especially the olive. For what it symbolizes, first of all, peace with its leaves and joy with its golden oil.”(5) と言うことで、以下がメニュー例。 ポイントは魚と貝の少量多皿料理。パーティならキャビアやスモークサーモンが出されるだろうが、この手の冷製は出さないのも一大特徴。冷たい果物もよそう。ナッツや乾きモノのお摘み類は厳禁。 ■塩漬けオリーブとバージンオリーブオイル■ じっくり選ぼう。 スタッフドは駄目。種つきの新しいものがよい。 ■バケット■ 本当は焼きたてパンが欲しいところ。それだけでも美味しいが、自宅では厄介。テーブルに出せば、すぐに冷めてしまうし、暖めるのにテーブルを離れたりするのは興醒め。ということで、一応、バケットだけ購入しておこう。テーブルで切り、そのままかオリーブオイルで。食べずに終わってもかまわない。 ともかく、砂糖・卵・油・牛乳が入らないパンであること。カンパーニュのように精白されない小麦粉のものは避けること。 ■野菜類■ ミル入りの岩塩、粒胡椒をテーブルに用意し、各自好きなだけかけて食べる。もちろん、オリーブオイルも好きなだけ。 マヨネーズは酢味が入るのでお勧めしないが、欲しいならミルクで少し伸ばしたものを使おう。 それでは不満なら、アリオリソースを作るとよい。まあ、スペイン風のニンニク風味マヨネーズといったところ。 できる限り、野菜の種類を多くしよう。そして、最初からテーブルに出しておこう。例えば、以下のようなもの。 ・パルミット[Palmitos](椰子の新芯)缶詰 塩・酸味を薄くするため、短時間水に浸漬のこと。 ・冷凍グリーンピース 春なら鞘入り生野菜を使いたいが、冬は冷凍で。 少量の粗目を入れたひたひたの水につけで弱火で茹でる。 隠し味的に醤油を湯に垂らしてもよいが、入れすぎぬこと。 そのまま冷ます。(皮が寄らないようにするため。) ・ミニアスパラガス 固目に塩茹でして、笊にあけて水分を切る。 根元が固いのは古いものだが、その場合は下だけ切り捨てる。 ・ベビーキャラット(人参臭が薄いもの) 軽く塩茹でして、バターで炒める。 バターにメープルシロップを少量加えるのもよい。 ・ウド+釜揚げ桜海老(冷凍) ウドはマッチ棒状に切り水でよく晒し、軽く熱湯に通す。 桜海老をウドに乗せる。 ■肉製品デリカ■ 肉がないという方は、冷たいままで食べられる調理品を購入しよう。これなら、テーブルに出して放置してもかまわないし。 一番のお勧めは、柔らかくしっとりしているタイプの生ハム。切り立てが美味しいから、デリカで少量だけ切ったもらうとよい。リヨン風という名称だったりする。尚、風乾品の薄切りは、味が濃いので肉好きは惹かれてしまうが、塩分が強すぎるので避けた方がよい。イチジクやメロンと合わせるならわからないでもないが、そこまですることはなかろう。 尚、ハムの種類が豊富な店は、野性的な味のものが多く、かえって適当なものが無かったりする。 牛肉では、ローストビーフがお勧めとされているようだ。ただ、ホースラディッシュ無しでは食べる気がしないし、肉汁も感じるから、あえて購入する必要はなかろう。 鶏は、どうしても脂分を感じるものが多くなる。これは避けたい。塩漬けとかスモーク品ならよいのではないか。 野菜と同じで、最初からテーブルに並べておこう。 ■海産物料理■ 海産物がメインだが、懐石料理のように、少量の調理したての温かいものを、時期を見計らって供することで楽しもうという趣旨。一時的にテーブルから離れ、手早く調理することになる。 従って、良質な白身魚と貝を、できる限り多品種購入すると大いに楽しめる。青魚や赤身は向かない。赤身ではなくても、カジキのように脂分が多いものも止めた方がよい。 短時間の加熱で供したいから、生で食べられるものを、できる限り少量購入したい。 当然ながら、出されたら、温かいうちにすぐに食べてしまうのが掟。(貝類は冷えるとさっぱり美味しくないから、沢山あっても一度で調理するようなことはしないこと。) 尚、貝といっても、アワビやサザエは微妙な磯臭さを楽しむ食材なので、お勧めしない。 尚、料理を皿にもった直後、プライパンを即座に湯でざっと急いで洗って、すぐにレンジ上に返し、次回の調理に備えること。 ・ホタテ貝柱 軽くバターで表面を加熱し、塩・胡椒。 ・ツブ貝 こればかりは、ニンニクバラー炒めか。 ・ハマグリ 白ワインでフライパンで蒸し焼き。 口が開いたらバターを加える。タイムやパセリが欲しくなる。 汁がこぼれないように供するのに要工夫。(レストランなら塩の土手だが。) ・カキ 小さめの生牡蠣に小麦粉を軽くふりバターソテー(良質の塩) 魚は白身の刺身用を使おう。熱を通し過ぎないようにしたい。 ・金目鯛切り身 軽く塩胡椒をふっておく。ハーブソルトにしたいところだ。 バターで両面ソテー。(皮側を先に焼く。) ・鯛刺身 塩をふって、オーブントースターで表面を軽く焼く。 ・鱈切り身+生鱈子 タラは皮を取り、塩をふって冷蔵庫にいれておく。 キッチンペーパーで表面の水分をとり、軽く小麦粉をふり、バターでソテー。 生タラコを袋から絞ってタラに乗せる。 ■生チーズ■ チーズにはシャンペンの定番と呼ばれるものがある。白黴(Brie/Camembert系)のクリィーミィな“Chaource”(6)。産地が同じだというからにすぎない。塩味は結構きつい。 小生は、この手のチーズは熟成してドロドロ直前が好きである。要は、乳脂肪過多由来の、濃厚感が嬉しい訳で、わざわざシャンペンにあわせなくてもと思う。(よく見かけるものとしては、Saint Andre, Caprice des Dieux, BARAKA, Brillat Savarin。どれも美味しい。) ■甘味■ チョコレートやドライフルーツとシャンパンの組み合わせが有名だが、小生はお勧めしない。 デザートは簡素なものを少量にしておこう。例えば、自家製オレンジピールなどは如何。農薬が気になる人は避けるしかないが、皮を細切りにして、果汁・グラニュー糖・コアントローで煮詰めるだけなので誰でもできる。ただ、冷やす時に粗目を振るのを忘れずに。 これで最後のシャンペン一杯といこう。 瓶が空いたら、コーヒーでも淹れて、余韻を楽しもう。 --- 参照 --- (1) Roman Holiday PART 10 http://ces.ustc.edu.cn/doc/romanholiday/indx.php?nid=10 (2) “Les Grandes Marques de Champagne” UMC[シャンパーニュ・メゾン組合 http://www.maisons-champagne.com/liste_maisons/limach.htm (3) DLVC1140 1986年 バイエルン国立管弦楽団@ミュンヘン国立歌劇場 (4) [Translation by (C) Lea Frey] http://www.aria-database.com/translations/fledermaus.txt (5) “Aldous Huxley, Essays: The Olive Tree The Tree of Life” united architects http://danassays.wordpress.com/collected-essays-by-aldous-huxley/aldous-huxley-essays-the-olive-tree-the-tree-of-life/ (6) “Cheese-France chaource” http://www.cheese-france.com/cheese/chaource.htm (Gregory Peck, Audrey Hepburn and Eddie Albert in Roman Holidayの写真) [Wikipedia] http://en.wikipedia.org/wiki/File:Gregory_Peck,_Audrey_Hepburn_and_Eddie_Albert_in_Roman_Holiday_trailer.jpg 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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