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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2010.7.30 |
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自己流和式中華料理の検討…中華料理の代表は鱶鰭の姿煮と言う人もいるがどうかな。気仙沼に食べに行ったことがあるが。鱶鰭スープはレトルト化しているし。 ↑ (C) NOM's FOODS iLLUSTRATED 中華の代表的料理は何かと聞いても答えは様々。 小生は、北京ダック[烤鸭]をあげたい。 別に、大陸で食べて感激した訳ではない。それこそ、お付き合いで、西洋料理のレストランで食べたことさえある位で皿の雰囲気が中華らしいと見ている訳でもない。(真空パック製品を使うレストランもある時代であるし。) 山種美術館が広尾に移転してくるだいぶ前のことだが、そのご近所に北京ダックのお店があった。特別美味しいとは思わなかったが、立地が繁華街ではなく、製造工程が直に見れる点で魅力的だった。 そんなお店があったお蔭で、お店毎にどうして味が違うか知ることになった。 なかでも驚いたのは、炙り焼きだけでなく、蒸し焼きもあると言う点。蒸せば、当然ながら、食感が違ってくる。皮以外の部位に水分が十分残っているからそこは食べやすくなる。横浜中華街で、その手の料理を、二人で半羽食べたことがある。肉を用いた料理とスープが加わるだけだが、量的に多いのがつらかったので二度と試していない。尚、ダックすべてを味わいたいなら、本場で「全鴨料理」とか。 ところで、炙り焼き方式の場合だが、炙り加減がパリパリ感の決め手になるのは当たり前。しかし、お店の特徴が一番でるのは、それより風味らしい。燃料に風味材料を加えるという。企業秘密とか。 たった、これだけの話でしかないが、中華料理の特徴がよくでていると感じた。ご説明しておこう。 ●先ず、第一点目だが、上品な食材とは思えない皮を使った料理であること。 鶏皮など、安価品の最たるもの。そこから脂だけ取り出して使ったりするが、それだけのこと。ダックにしたところで、もともとは同じような扱いだったと思うが、そんな部位を高級料理に仕上げたのである。 言うまでもないが、ダック料理の基本は胸肉や手羽[膀、翼]だ。それを皮を一番に持ってくるのだから、すごい力量。 もちろん皮以外でも、立派な料理が知られている。首[脖]や胃[胗]も美味しいらしく、高級料理店のメニューに登場する。前者は皮としては一番質がよさそうだが、肉質そのものが良いとは思えまい。後者はおそらく砂肝。日本では、鶏の砂肝は、安価な内臓の一つにすぎない。当然ながら、心、肝、腸も使われる。要するに、日本では下手物とされる材料を名物料理に仕上げるのがコックの腕と知恵として評価される伝統が息づいているということだろう。日本とは正反対。(日本には肉食文化が根付いていないということでもある。狩猟民族は獲物のすべてを生贄にする訳で、食べ尽くすのが鉄則。) そうそう、ご存知のように、空飛ぶものは飛行機、四足は机・椅子以外は何でも食べ物にできると豪語するお国柄という点も考えておくべきだろう。ダックは水掻[掌]料理も知られている。鶏なら、さしづめ冠か。日本で、鶏冠が高級料理化することはまずなかろう。 ともかく珍しいものには目がない為政者が続いて来たのだ。熊掌、象鼻、豹胎、虎膝、鹿尾(しっぽではない.)、駱駝峰、・・・のトンデモ食世界は有名だ。これぞ中華思想の粋。 ただ、ダックなら一般的食材と侮ってはいけない。舌料理があるのだ。一羽で小さなものが一枚しかないから、明らかに貴重品。日本なら、さしずめ、好事家が珍味として、少量を“摘み”に一杯という風情が想定されるが、中華思想からすれば、そんな姿勢は唾棄すべきものだろう。大量に使わなければお話になるまい。その剛毅さが愉快なのだと思われる。(見方によっては、開放政策で、接待文化が花開いただけと言えなくもないが。) ●第二点目は、炙り焼きと、蒸し焼きを区別するセンス。 ともかく、火の通し方のこだわりは並大抵なものではない。日本の煮物のような話とちがい、方法論的な区分けがしっかりしているのである。それぞれの技量を磨く体系があると見てよいだろう。つまり、「蒸す」技術なら、それに特化してもよい訳だ。 ただ、そんなことができるのは、全てに熟知しているからでもあろう。加熱の仕方で材料がどう変化するのか、基本的知識を持っているということ。加熱用語が沢山あるのは当然である。 → 「漢語講座3 点菜」 (20100715) 加熱でいかに美味しさを引き出すか工夫に工夫を重ねているということ。飴色に変色した皮でこその北京ダック。(無駄と手間を惜しまないのが、中国王朝体質である。) ●第三点目は、食べる際に専用の独特な調味料を使う点。 付随するのは普通は薄葉餅で、甜麺醤を塗り、胡瓜、葱を挟むのが定番。醤の優劣は結構大きく響く。単なる味噌だといえば、その通りではあるが、こういうところに気を遣うのは料理命の文化だと見て間違いない。なんでもケチャップ型や、ともかく唐辛子という文化とは全く逆と言ってよいだろう。 ●第四点目は、北京ダックがテーブルに登場するが、それが華という訳ではない点。すべての皿の全体像重視なのだ。 北京ダックだけ食べて帰宅する人などいないから当たり前の話だが、この凄さは特筆ものではないか。 場合によっては、受けた注文品が、“ドカ〜”と一気にテーブルに料理が並んだりする。もちろん、一皿づつ順番に出すこともあり、自由自在。なんといっても驚きは、出来立ての熱々モノを短時間で仕上げることができる点。北京ダックにしても、皮は切り立て。 特段のマネジメント手法を取り入れている訳でもなかろうに、こんなことができる点には感服。 ●第五点目は、世界的に有名な料理にもかかわらず、あくまでも北京の地方料理という姿勢を貫いている点。(北京は元[モンゴル族]→明[南方の漢族]→清[満州族]という文化的大転換をしてきた地でもある。) 満漢全席ではないが、宮廷料理という特別なものと、それ以外でまずは一線が引かれている感じがする。どこの国でもそうなるが、中華帝国の場合は、一般料理の優れたものがあれば、それを採用して宮廷風に磨きあげるという体質がありそうだ。目黒の秋刀魚的な発想は生まれない訳だし、御用達料理などあり得ないと思われる。 そして、一般料理になると、自分達の味覚に合うものへの徹底的なこだわり。これは変えようがないよということだろう。ただ、そこに拘泥することはない。地元料理と各地料理が並存するだけの話である。地元料理を真似して改変するなら、勝手にどうぞという態度に映る。 ■■■我的点菜■■■ そんな観点で考えると、以下の方針でメニューを作るのはどうだろうか。 ・火を通した料理のみとする。 -炒めもの中心。(火を少し通す調理だが、家庭では火力が弱くそれは無理。) -中華野菜料理で行う“湯通し”はしない。(そんなスピードで調理できない。) ・安価な余り使われないが、スーパーには並んでいる食材は使いたい。 -砂肝はどうか。(内臓だが、特段の臭いは感じさせない。) ・中華料理風になりそうな食材を使う。 -乾物としては木耳がよいか。 -野菜はセロリと豆苗で。 (セロリ嫌いの方は、クレソンで代替。) -青梗菜は火力上お勧めしない。 ・加熱料理で、皿はできるだけ多く。 -家庭の設備上、炒め物中心。 -一気に次々と調理。 ・テーストとしては、さっぱりの和としたい。 -鶏がら出汁の素味を基本にする。 -塩、胡椒、大蒜、生姜で。 -醤系統の使用は避ける。 -味醂、酒は加えない。 ・料理に適当に命名して楽しもう。 -先日箱根で食べた、“雲白肉片”は美味だった。名前も素敵。 【ポイント】 このためには、手早く調理する必要がある。初心者には結構大変である。 しかし、これこそ肝心要。今回はコレを学びたいのである。 ・鶏がら味の熱いスープを作っておく。 ・材料はあらかじめ切っておき、すぐに投入できる状態にしておく。 ・溶き片栗粉や調味料はすぐそばに。 ・味をすぐに見ることができるように小皿と長箸・長スプーンを置いておくこと。 ・どのような順番で処理していくか、頭のなかで予行演習してから始める。 これが一番重要である。調理器具とコンロをどう使い回すかで結果が左右される。 具体的には以下のメニューだが、どうだろう。 ■香葱紫菜湯■ (1) 長葱の小口切り(薄い輪切)を弱火で軽く炒める。 胡麻油風味が好きなら数滴加える。 (2) 鶏がらスープを加え、沸騰したら“焼きバラ”(海苔)を入れる。 (3) 塩で味をつける。 【ポイント】 ・どんな海苔でもちぎればなんとかなる。 (若布は避けること。) ・葱は香りを出すだけ。(炒めすぎない。) ・スープはインスタントで予め作っておく。 ■歯鶏胗■ (1) 塩胡椒をふっておいた砂肝を炒める。 (2) 火が通ったら、薄切りセロリを加えて一気にいためる。 (3) 塩/胡椒で味を整える。 【ポイント】 ・火を通しすぎると砂肝は硬くなる。 (硬くてもよいよう、できるだけ薄く切る。) ・セロリの硬さに合わせて切り方は工夫。 (筋が固いなら取っておくこと。) ■木耳炒蛋■ (1) 乾燥木耳をぬるま湯で戻し処理しておく。生椎茸とともに、切っておく。 (2) 卵を炒め、多少形がついたら皿にとる。 (3) 生姜微塵切りを弱火で炒め、香りがたったら、木耳と椎茸を入れ強火で炒める。 (4) 熱い鶏がらスープを少量加え、沸騰したら、炒めた卵を入れてよくかき回す。 (5) 塩で味を調整する。 (6) 溶き片栗粉を回し入れ、軽く混ぜてトロミが出たらすぐに火を止める。 【ポイント】 ・卵を炒めて取り出す時は半生状態。 ・生椎茸や木耳は味が染み込まないから細切。 ・木耳の食感がでるように、戻す時間を十分とる。 ・火力が弱いのでスープは熱湯にすること。 ■清炒豆苗■ (1) ピーナッツオイルに薄切り大蒜を入れ、弱火で十分火を通す。 (2) 最強の火力にして、手で契った豆苗を炒める。 (3) 熱い鶏がらスープを少量加え、全体がしんなりしたら、塩で味を調える。 【ポイント】 ・大蒜の色が変わらないようにすること。 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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