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オジサンのための料理講座  ↓イラスト (C) SweetRoom

2014.4.20

解剖的発想での烏賊料理…

  烏賊売りの 声まぎらはし 杜宇(ほととぎす) 芭蕉

先日、大王烏賊の話[→] を書いた際、「ダイオウイカ 窪寺」 でニュース検索した。専門家がどのように見ているか読むことが出発点と考えたから。
ただ、それは余りにまともなコメント。冗談半分を期待していたのだが。

ついでに、ニュース以外だとどんなものが並ぶのか試してみた。その結果、ついつい、一つだけ眺めてしまったのである。・・・子供に解剖ぐらいさせろヨという、まことに当たり前の発言からなる、図解付き、3頁のお話。
出来る研究者は流石と、思わず納得させられた。
  食べものとして見慣れていることもあり、
  子供たちもメスを入れることにあまり抵抗がない。
  解剖用教材として最適と思われるが、
  「イカ」がであろうか。


イイネー。
そうなのである。蛙だと、どうしても暗記的確認になりかねない。これに対して、イカは頭に足が生えているという、訳のわからぬ生物。実に面白いではないか。ついでながら、「貝」も一緒にやったらどうかネ。頭ってなんなのとか、足って一体全体なんなのと考えざるを得まい。上下とか、背腹、左右の意味も重要だし。
もっとも、そんなことを言う人は、異端扱いされかねないのが日本社会だが。

そこで、思ったのだが、オジサンも烏賊の解剖ならぬ、「イカ捌き」を注意深くやってみては如何だろう。これほど簡単なものはないし、冷凍スルメイカは一年中手に入るから。それに、夏にかけて生イカ入荷が始まるから、春は冷凍モノが大いに出回る筈。(尚、冷凍品は生との品質差はほとんど無い。)

と言うことで、今回はイカ料理といこう。
但し、加熱調理で。ただ、フライや天麩羅といった油リッチなものは避けるということで。

最初は解剖ならぬ「さばき」だが、これは絵入りの解説におまかせし、注意点のみ書いておくとしよう。
   函館市農林水産部水産課「イカ料理メモ」イカのさばき方
(1) ワタ(内臓)をぬく
   ついでに、筒の軟骨も忘れず抜く。
(2) ワタと足を切り離す
   ワタ袋につく墨袋を取り除く。
(3) 口と目玉を取る
   目を潰さぬようご用心。心配なら水中で。
   尚、イカの徹底的水洗いは避けるべし。
(4) 足の吸盤をしごく
   しごいてからゲソ部分を切り離す。
   足の先端切りは、ゲソの長さを揃えて切る時でよい。
(5) エンペラをはずす
   手でむしるようにすれば外れる。
(6) 皮をむく
   生食しないので、皮剥きしない。
要するに、切り分けて、イカのものを捨てるだけの話。
 ・目玉と周囲のブヨブヨしたもの
 ・硬質プラスチック製嘴
 ・柔軟な半透明長楊枝の如き軟骨
 ・墨の入った長細い小さな袋
 ・ワタ袋にくっ付いている少量の内臓と膜
残りは全て食べようというだけ。足の先、硬い吸盤、等々、気に喰わない部分があれば取ってしまってもよいが、そのままでもたいした影響は無い。(個人差は大きいが。)

小生の場合、ワタは加熱して、軽く焼いたイカの付け汁として、酒のツマミにする。これ以外に、お数をつくる訳である。
調理は、煮物、炒物、蒸物のどれでもお好きなものを。

【煮物】
手元にある根野菜を使うとよい。煮崩れないものならなんでも。
料理本は厚切りが多いが、熱が通り易い上に、味も速く染み込むから、薄切りの方がよい。加熱し過ぎはイカの食感と味わいを台無しにするから、なんとしても避けたい。
煮汁に出汁は使わない。醤油、味醂、酒を計ったりせずに適当に入れるだけ。実は、ココがことのほか嬉しいのである。(そうそう、煮物に砂糖を入れないと、今一歩と感じるご家庭で育った方は、それも忘れずに。)
尚、ナスとか、サトイモだと、煮浸しや、煮転がしにイカ味を追加する料理になる。名称はイカ料理で主人公の顔をしているが、実際は野菜の引き立て役に過ぎない。しかし、上質な出汁で調理されていると、ことのほか美味しい料理である。

【炒物】
葉野菜や茸等、何か一種類を選ぼう。例えば、ピーマンだけとか、生椎茸のみということ。
その理由は、味の問題ではなく、硬さが一様でないと興醒めだから。素人が、無理に熱の通りを揃えようと頑張ると、下手すると、イカの炒め過ぎを招く。イカ料理としては、これでは本末転倒。
尚、イカの味で食べるので、調味料はなんでもござれ。エスニック系もイケル。中華料理だと「湯(出汁的スープ)」を加えるが、避けたい。確かに美味しいのだが、イカ本来の味は消えてしまう。塩と胡椒のみで十分美味しいのだから、手をかけない方がよいと思う。

【蒸物】
生野菜に蒸したイカというパターンで。・・・蒸し過ぎないように注意を要するが、難しい訳ではない。
つけタレは、お好きなもので。

(参考)
窪寺恒己:「烏賊解剖学のススメ」@日本の研究者 教科研究理科 No.184 pp17-29

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