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2001.8.4
 
 


このままならずっとGDPゼロ成長(2)…

 「設備」はどうなるのだろうか。

 まず、既存産業だが、明らかに設備過剰である。99年以来廃棄が進んでいるが、遅れている企業も目立つから、数年はかかる。既存製品の生産能力アップを図る企業など極く例外的存在である。海外市場向けのエレクトロニクス部品と、海外工場向けの製造機械だけが、需要増に応えるために増強する位だろう。しかし、これも一時的な急増はあるだろうが、長期増加など考えにくい。
 しかも、既存設備をスクラップ化させて、生産拠点を中国に移転させる企業数は増加一途だ。競争を考えれば、中国で生産しなければ敗北しかねないと考える企業が急増している。
 既存設備の改良や更新は以上の流れと比較すれば微々たるものだ。大型新産業が生まれない限り、マイナス成長は間違いあるまい。
 唯一のプラス期待はIT投資だ。米国は設備投資の4割以上を占めるようになったことから、日本もすぐにそうなると考える楽観論者が多い。しかし、2割から上へ行く兆しは見えない。IT投資で飛躍している革新的企業は目立つが、どの産業でもほんの一部にしか過ぎない。中小企業のIT化の実態を見れば、進展するとはとても思えない。しかも、日本のIT投資は、企業毎のオーダーメイド版が多いから、効率は悪い。若干投資が増えたところで、成長余力が伸びるとは考えにくい。
 こう考えると、IT投資状況が急激に変わり、GDP成長に大きく寄与するとの予測には無理があろう。
 となると、「設備」によるプラス成長は良くても微々たるものだ。

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